クリステン・R・ゴドシーの作品一覧
「クリステン・R・ゴドシー」の「あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない」「エブリデイ・ユートピア」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「クリステン・R・ゴドシー」の「あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない」「エブリデイ・ユートピア」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
『家父長制の起源』に出てきた本で、タイトルからしてもっとカジュアルなエッセイか何かかと思って手に取ったんだけど、中身はかなり本格的なフェミニズム書だった。『家父長制の起源』で少し触れられていた、旧共産圏の国々の方が女性の社会参加度が高く、男女がより平等に扱われていたという論点を、ここでは徹底的に掘り下げている。単なる理論ではなく、聞き取りや各種データをもとにして描かれており、社会主義の再評価、資本主義の限界、そして女性を取り巻く環境について、非常に意欲的かつ挑戦的なアプローチをとっている。もちろん国家社会主義の全体主義性を肯定しているわけではないし、失敗に終わった社会主義にも限界はあったとしつつ、そこに「見るべき点があったのではないか」とするスタンスで、現在の資本主義が抱える無理や軋みに対するひとつの応答として社会主義的視点を提示してくる。
中でも「セックス経済論」の部分は本当に考えさせられた。大きく言えば、資本主義社会では女性が経済的に自立しづらく、出産・育児などの不可避的な負担を女性だけが背負わされていることが構造化されている。その結果として女性の賃金は男性よりも低く、生活のためには男性に経済的に依存せざるを得ず、その見返りとしてセックスを提供する構図が生まれてしまう。つまり資本主義下においては、セックスは女性が「与える」ものであり、それによって生活保障や愛情を「受け取る」という構造になりがちだと。これがセックスの価値を過度に高め、結果として女性が自身の性的欲求や快楽を置き去りにしたまま、満足できない性行為に応じざるを得ない、という話に繋がっていく。
例えば現代日本でもよくある「デート代はどちらが払うべきか」という議論も、双方が経済的に完全に独立していればそもそも成立しない。だが実際には、男性が支払うことが当然視される場面が多く、それは裏を返せば「何かの対価」として位置づけられかねない。その何かが、無意識のうちにセックスである可能性を考えると、奢るという行為そのものにどこか濁りが生まれる気がして、自分自身にも問わずにはいられなかった。
印象的だったのは、旧東欧の社会主義国では、女性の経済的自立が保障されていた結果、こうした「対価としてのセックス」が成立しづらかったという点。実際に、女性の性的満足度(オルガズムの達成率や、行為後の幸福感など)に関しても、資本主義国家より社会主義国家の方が高いというデータが示されていた。これには驚いたし、めちゃくちゃ考えさせられた。アメリカのナンパ師がハンガリーでは全く成果をあげられなかったというエピソードも、構造的な違いが浮き彫りになっていて面白い。
そして何より衝撃的だったのは、現代アメリカで「女性から参政権を取り上げよう」とするような議論が一部で現実に起きているという事実。これには背筋が寒くなった。読後感としては、とにかく「考えることが多すぎる」という一言に尽きる。フェミニズムの文脈にある本ではあるけれど、同時に資本主義の構造的問題を照射する批評でもあり、社会主義の経験を用いた刺激的な論考でもある。とても面白かった。
じゃあ、ここから先、我々が明日からパートナーにもっとセックスを楽しんでもらうために何ができるのか?ミクロな視点で言えば家事や育児の分担、マクロな視点ではクォータ制の導入や、出産・育児を社会全体で支える体制の整備などが必要になってくる。そして皮肉なことに、これらはかつて旧社会主義国がある程度実現していたことでもある。なるほどな、と思わされた。
とはいえ、仮に社会全体が完全に平等で、すべての人が経済的に独立できるようになったとき、本当にこの「男がさせてもらっている/女がさせてあげている」という構造は根本から崩れるのだろうか?理屈では理解できるけど、どうしても実感としては掴みきれない。自分の中にも、長年その構造の中で育まれてきた価値観が深く染み込んでいるんだろうなと痛感した。
ベトナムでダナン行きの飛行機の中で読み終わる。
Posted by ブクログ
とても読みやすくわかりやすい。英語翻訳の本は読みにくいものが多いと思っていたが、翻訳者の力量にかなり左右されるようだ。もっとも本書は著者が初めて一般向けに書いた本だそうで、原著の段階で一般人にも伝わる言葉で書いてあるおかげもあるかもしれない。
本の概要としては、冷戦下の東側諸国の社会主義政策にも学ぶところがあるよ、冷静に評価して民主社会主義を取り入れていこうよ、というもの。
西側諸国における社会主義アレルギーはすさまじく、公的扶助を充実させましょうと言うだけで、貴様は独裁主義を擁護するのか!?といったバッシングが飛んでくる。ところが当時の東側諸国で暮らした女性たちに聞くと、冷戦下のほうが暮らしやすかったという声が多数あるという。
資本主義が跋扈する現代社会で、セックスは資本化され、男性に経済的に依存せざるを得なくされた女性たちは、純粋にセックスを楽しむこともできない。
他方冷戦下では、暮らし向きは貧しく生理用品が手に入らないなど不便なことも多くあったが、労働力として女性に目をつけた政府による、女性のキャリア形成が進み、女性が重要ポストに着くことも珍しくなかったという。
こうした事実を私たちが知る機会は本当に少ない。日本でも、社会主義や共産主義は悪!という呪いに取り憑かれている人は山ほど見かける。しかし今や資本主義は破綻しかかっている。一部の金持ちが政治と結びつき、金持ちだけがどんどん富を増やし、貧乏人はいつまで立っても貧乏なままだ。
女性から参政権を取り上げろ。女が経済力を持ったから、セックスの資本価値が下がって若者はセックスをしなくなった、などと称える保守政治家が決して無視できないほどの支持を集めている。100年前ではなく現代の話だ。
国家社会主義の失敗を反省しつつも、当時の東側諸国が行っていた社会主義政策の良い面を、民主主義国家の枠組みの中で取り入れていく構想は、特に女性にとって希望に満ちている。長い人類の歴史を見れば、世界は何度も大きな変革を遂げてきた。どうせ世の中は変わらないと諦めるのでなく、声を上げ続けること、政治に参加すること、投票に行くこと。そうした積み重ねが世の中を変えるのだ。
この本、どれくらい売れているんだろう?
もっと流行ってほしい。
Posted by ブクログ
Everyday Utopia
What 2,000 Years of Wild Experiments Can Teach Us About the Good Life
【目次】
第1章 未踏の知に向けて勇敢に踏みだす
社会の夢は混沌から生まれる/冷笑家はいつだって笑うもの/クレイジーな人が世界を変える/家父長制の2つの父ワード/政治的なことは個人的なこと/キング牧師と宇宙大作戦
第2章 家庭とは壁のあるところ?
床下の骨が語ること/信仰生活と学生寮/ファランステールへ行け!/労働者たちの宮殿/鉄筋コンクリート造りの夢/人とつながる都会生活/コハウジングの豊かな暮らし/家母長制のエコビレッジ/家事を社会化する住宅設計/近所づきあいのリアルな事情/足りない住宅、余るペントハウス
第3章 子どもは社会の公共財
子育てのコストを担うのは誰か/プラトンの理想の子育て/共産党宣言よりも過激な提案/愛を共有する完全主義者/ガリラヤ湖畔の「子どもの家」/そのためでなければ、国家に何の意味がある?/早期保育のポジティブな効果/親は誰だって不公平
第4章 学校は何を教えるのか
教育が投資商品になる社会/見過ごされたアインシュタイン/中世のウィキペディア/ウクライナのユニークな自立教育/あらゆる学校を農場にする/米国ハンディキャップ省/イェール大学で一番人気の授業/詩を読みに街へ出よう
第5章 所有のない世界を想像する
「所有、それは盗みである!」/主人のために働くことなかれ/富める者がますます富むしくみ/もしもウィキペディアが営利企業になったら/生産者を生産するのは誰か/信仰深いコミュニストたち/ユートピアの税金問題/世界に広がるエコビレッジ/もっともプライベートな場所を共有する/シェアリング・エコノミーの先にあるもの
第6章 君をボス猿に喩えようか
核家族というブラックボックス/チンパンジーの精巣が教えてくれること/あなたの祖先はチンギス・ハンかもしれない/一夫多妻は重罪なのか/独身者の怒りをなだめる装置
第7章 幸せな家庭はどれも似ていなくていい
古代スパルタの女たち/誰にも苗字のない世界/核家族は一種の牢獄?/恋愛を結婚から解き放つ/非婚式とクリスマスケーキ/自分で選んだ家族/3人で親になる/家族の定義を拡大する
第8章 スタートレックの未来へ
戦闘的オプティミズム/認知能力としての希望/ディストピアのフルコース/庶民にとっておなじみのもの/もしも楽園ではなく、地獄だとしたら?/ラディカルな希望を行使する/すべては可能
もっと知りたい人のための読書案内
Posted by ブクログ
色々と考えさせられた。
筆者の友達ケンの話は面白い。
資本主義と社会主義のバランスがないと女性は特に幸せになれないのかもしれない。
最近では女性の活躍推進をしていたり、海外では女性の比率や役員の比率まで決められていたり。
それは社会主義的な側面もある気がする。
資本主義は男性にとってもセックスが気持ち良いもの、感情が動かされるものになるのは社会主義的に、男女平等に働く必要のある社会で実現できるのかも。
筆者の友人が自分と同じような給与やキャリアを追ってる女性を選んだ人の方が幸せそうというのは家庭内に格差がない、社会主義的な側面があるからだ。
全てがお金に変わること、セックスを売ること、
性別の役割を売ること。全てが損得で決まってしまう世の中は幸福を生まないと思った。