原田敬一のレビュー一覧
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ネタバレ日本近代史において、初の近代的戦争であった日清戦争。これは朝鮮を巡る戦争であり、そして東アジア内の列強の動きを大きく変えた事項であり、日本国が「大日本帝国」となる大きな転換点であった事を学べる本。
これを読んでいてどうしても気になったのは、短期決戦志向。太平洋戦争に関する話題を読んでも出てくる、日本軍の死傷者の中の戦闘以外での(病気など)死亡の多さ。。アホか、と本読んでいる今は言えるけれども。現実、何かあった時対応できるだろうか。今の原発事故でもロジスティックをろくに考えない政府対応があったから、どうしても気になってしまうのかな…? -
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自分の知識の乏しさゆえに、読むのがしんどい本でしたが、得るものは多かったように思います。
とくに、日清戦争後の、日本の文化や社会の変化については、これまで点でしかなかった知識が、自分の頭の中でいろいろとつながったように思います。
それにしても、当時は、帝国主義が世界に幅を利かせていたとはいえ、日本は、戦争をしたくてたまらかったのですね。
とくに日露戦争については、社会状況がもう少し健全であれば避けられたはず(日本は戦わずして、日露関係を有利に進められたはず)、ということを知り、狂った社会の怖さを改めて感じました。
現代社会でも、「国家はまともだ」とは必ずしもいえないと思いますが、当時に比べ -
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[ 内容 ]
立憲国家となった日本は、日清戦争、北清事変、日露戦争とほぼ五年ごとに大きな戦争を繰り返し、台湾と朝鮮という二つの植民地を獲得した。
帝国議会が開かれた国内では、藩閥政府と民党のせめぎあいが続く一方、国民統合の動きも見られる。
「輝かしい明治」像を問い直しながら、「大日本帝国」が姿を現した世紀転換期の二〇年を描く。
[ 目次 ]
第1章 初期議会
第2章 条約改正
第3章 日清戦争
第4章 台湾征服戦争
第5章 日清戦後と国民統合
第6章 民友社と平民社
第7章 日露戦争と韓国併合
おわりに―「輝かしい明治」論とナショナリズム
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆ -
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岩波新書が今順次刊行している「シリーズ日本近現代史」の?です。日清・日露戦争の時期、要するに19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけての、日本が西洋に追いつき自他共に認める列強の一国として世界に進出していく時代です。著者はこの時代を「戦後が戦前だった時代」つまり、日清戦争終了後は「戦後」であったが、それは次にくるロシアとの朝鮮半島および満州を争う「戦前」であった時代という視点から本書を上梓しています。内容は日清戦争の「戦前」であった初期議会から日露戦争の「戦後」処理として韓国を併合するまでの20年強の通史で、細かい内容に深入りせず当該時代の概観が展望でき、日本史が専門外の私は授業するうえで大い
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Posted by ブクログ
歴史を読むとは実に難しい。これだけ読み込んでも明治における「藩閥政府」と「政党」における権力関係がよくわからない。
また、詳細に「元勲」や「政党」の動きが語られるのだが、その動きが何を意味するのかも、よくわからない思いを持ったが、「条約改正」が大きな課題であったこの時代背景を思うと、「国際社会」との関係が大きな意味をもっていたのだろうか。
「日清戦争」や「日露戦争」についても、その経過は読めばわかるのだが、その「戦略目的」がよくわからない。当時の日本は、何のために「戦争」という最終手段に訴えたのだろうか。
本書による当時の日本政府は、ほとんど迷いも無く戦争への道を進んだようにみえる。
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Posted by ブクログ
既得権益としての「政府」を名乗る薩長閥と、民権運動の旗手としての民党が熾烈な議論を闘わせる初期議会は、しかし、勝利の美酒に酔いしれるままに軍国主義への道を突き進む……。戦中、戦間期の諸相を通して、やがて大正デモクラシーへと継がる自由民権と、やがて第二次世界大戦へと継がる植民地支配との矛盾を鋭くえぐる評論は、いかにもこの「シリーズ日本近現代史」らしい。
後の第二次世界大戦同様、日清戦争でも戦死者よりも遥かに多い病死者を出していた点、日露戦争でも拡大した戦線を支えるだけの兵站を維持できなかった点は、興味深い。自分自身を振返る機会もなく、日本はやがて訪れる破滅に向かっていく。