オルガ・トカルチュクのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
SNSに自分を見せ続けることで、いつしか'自分'は輪郭を失い、誰でもない者になっていく。個性的でありたい、皆に見られたい、その欲求は自分をぼやかしていく。そんな現代を映した絵本で、怖い。見られることを意識しすぎて、自分を見失う。皆と同じ、普通が欲しい。けれど同時に個性的と見られたい、一味違う人間だと思われたい、アイデンティティを求め続けてしまう、悲しい現代人のリアル。
訳者の解説を読んでさらに考えさせられた。私たちは今、つねに自分の定義を強いられる時代を生きている。「これに賛成、これが好き、これに共感する…」。そういうの、疲れるよね。
消費することにさえも、投票のような社会参画を求められる。。私たちはもっと自然に、誰に強制されるでもなく、自由に生きられないのか。
トカルチュクは信頼のおける作者であると再認識。これからも追い続けたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大人向けの絵本。
はじめはなんとなくページをめくっていたのだが、男(ヤン)の魂が現れたあと見返すと、もしかしてこれも魂では、というものがたくさん描かれていた。
ヤンは「おなじ形のちいさな格子に端から端まで区切られた、数学のノートのなめらかなページの上を、あっちこっちに移動している」ような気がしている。
自分の身体のなかに誰もいないことを感じる。
そこで彼は賢い老医師のところへ行く。
老医師は教えてくれる。
魂が動くスピードは、身体よりずっと遅い。
だから、せかせか暮らしている現代人の魂はついていけずに迷子になっている。
迷子の魂を取り戻すには、落ち着ける場所でただ待つしか方法はない。
(これを教えてくれる賢い老医師は女性ってところが、いいではないか!)
しかし、魂がいなくなってしまったことに気づいていない人はたくさんいる。ヤンは気づいただけましなのだ。
ヤンはただひたすら待つが、魂を取り戻すことができるのは、この孤独な時間に耐えられる人だけなのだろう。
魂と再会するとそれまでずっとあった(数学のノートの)格子が消える。
絵の力がとても強く、単に短編小説に絵をつけたものではない。絵が言葉以上にたくさんのことを語っている。
魂を失くしたのにそれに気がつかないまま一生を終える人も多いのだろう。
私もそうかもしれない。 -
Posted by ブクログ
「優しい語り手」の表紙の絵に惹かれ絵本も購入してみた。
表紙の植物の葉は手にとってみてナスタチュームだったとわかる。
観葉植物に勢いがあり生命力を感じるヨアンナ コンセホの絵。
絵本は絵を読むと言うが、ページを前後に繰り返しながら見入った。
なかなかこの絵を読むのも難解である。
作家の意図は説明により読み解けるが、想像力を駆使して絵を読もうと頑張ってみた。
最後のナスタチュームの花だが主役のナスタチュームの表現を絵で見るのは初めてて感動した。
あちこちに潜む手袋も可愛い。
小椋彩さんの訳はは読みやすくて助かる。
星1個のマイナスは自分の読みが浅いための一個。