M.J.ダ・ガルバのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
騎士ティランの冒険は、ロードス島攻防戦ののちギリシャ帝国を舞台にトルコとの戦いに移る。コンスタンティノープル、そしてギリシャ帝国版図の解放のために戦うティラン。そして、ギリシャ皇女と運命の恋に落ちるのであった。
恋は騎士道物語に欠かせない要素であり、募る恋情、でも告白さえもできないという機微を楽しむものであるが、あまりにも欲望に忠実すぎやしませんかね、ティラン君。
-皇女から戦に集中しろと言われているのにキスやらその先やらを求めて駄々をこねる。
-夜中に部屋に忍び込み、下半身は押しとどめられるが上半身は好きにする。
-その傍らで初めての一義に及ぶ別カップル。しかも女性側の訴えが生々しい。
もっとすごいこともしているが…
騎士道物語時代が成立時点ですでにファンタジーとして受け入れられていたとはいえ、この生々しさは当時の読者が持てめていたものなのか、それとも成立した土地柄によるものなのかはちょっと興味深い。
なお、ジェノバ人に代表されるイタリア系の人々がトルコ側について裏切り者として描かれることを考えると、当時のスペインとイタリアの関係が良くわかる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「諸君、頭を高く上げよ。この世で命よりも大切な名誉のために戦うのだということを想え。そうすれば富も繁栄も自由も栄光も後からついてくるであろう」騎士道とは、結局、名誉なんだと感じさせられます。
嵐にあい、漂流したティランは、北アフリカのイスラムと戦い征服する。そして、ギリシャへ最後の戦いに挑む。
戦闘は知恵の争いと語るが、要は、奇襲戦なのでしょうか。微妙に相手を油断させ、そこを鋭く攻撃し全滅させる。これは、真っ当な闘いなのか、疑問が残る。
そして、降伏したイスラムに対する対応(全滅を求める騎士と降伏を認める皇帝)が、騎士と皇帝を区分する。だから、ティランにはギリシャを治める術はなかったのかもしれない。そして、神に召されることとなる。ここで、甥のイポリト登場が自然な帰結なのでしょう。
長い騎士道の物語がここで幕を閉じる。あらためて、西洋がこの時代から”対話”で成り立っていることを感じる。常に、意見と反論。立場や老若男女を問わず語り合う。日本の武士道とは似て非なるものを突き付けられたようです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ敵(イスラム民族)との緊張感を保ちつつ、直接戦闘がない間は、騎士はやることがない。とすれば、恋物語となる。
皇女に一目惚れしたティランは、待女たちに唆されて夜這いをかけるが、未遂に終わる。結果、逃げ出しに失敗し足を複雑骨折する。そして、次々におこる、恋愛騒動。これが非戦闘時の騎士の姿なのでしょうか。
皇后も息子のようなイポリト(ティランの甥)と不倫をする。このとき、彼にその覚悟を迫る。「気持ちを強く持ちなさい。決心が弱いと、いろいろな危険が見えてくる」と。そして、ここで決意したことが、最終的に彼がギリシャを治める時の礎になっていくような気がする。
一介の騎士(騎士にもなっていないのか?)から、皇后の相手としての将来の立場に向けて。
皇帝が息子を戦闘で亡くすシーンがある。「帝冠を被り直し、皇子を失った悲しみと辛さよりも、騎士道に則った立派な死に様であったということを聞いた喜びの方が大きい」と語る。武士道もそうですが、悲しい立場ですね。