タナフレンチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
凄く読むのに時間がかかった。
長年勤めてきたシカゴ警察を退職したアメリカ人のカルはアイルランド西部の小さな村に移住した。
廃屋の修繕をしながら静かに暮らしていたカルだったが、地元の子どもから、失踪した兄の行方を捜してほしいと頼まれる。
一般的にミステリーの分類されていると思うのだが、個人的には主人公のカルと地元の子供のトレイの交流を描いた文芸に入るかなと。
詳細な筆致で登場人物の心情や周りの風景、情景を細やかに描く。
そのため全体的に起伏があまりなく、物語が淡々と紡がれる。
この辺りがあまり馴染めなく、また約700Pものボリュームが重くのしかかり時間がかかってしまった。
面白かったのか面白くなかったのかでいうと面白かった部類なのだが。
自分の視点では感情や悲しみに直面する際に、共に過ごす時間を共有することだったり、それを分かち合うことで傷が軽くなり、無為な時間が有意なものになっていく。
そんなことがテーマになっているような気がした。
ただ、カルと同じように男性視点としてはその感覚はあまり生まれてこないのではないかなと思った。
男性は何かをして「事件」を能動的に解決することをよしとする傾向があるのだろうなという気がした。 -
Posted by ブクログ
曇り空の荒野、胸騒ぎがする表紙の書影に惹かれて手に取った。
アイルランドの田舎町に1人で移り住んだ元シカゴ市警刑事のカル。仕事に疲れ、妻子と別れ、心と身体を癒す為にこの地に来た。廃屋を住みやすい環境にするべく日々修理に勤しむ。
田舎の人々はアメリカから来た移住者に興味津々。隣人も商店の人もおせっかい焼きでカルにとても親切。
しかし、少年トレイが失踪した兄を探して欲しい、とカルに頼んだ事から状況が一変する。
刑事を辞めてのんびりするはずのカルが、持ち前の正義感で少年の兄を捜索するハメになっていく。どうせ家出、捜索しても無駄。立ち入ってはいけない。でも少年が気がかり。じっとしてられない…。
葛藤が丁寧に描かれる。
過酷な環境に育った少年トレイが一途でいじらしい。カルとトレイ。一歩ずつ近づき、少しずつほぐれていく様子が温かい。2人の信頼関係が次第に築かれていく。
外から来た人間の一挙手一投足が、瞬く間に町中に知れ渡る恐ろしさと田舎の閉塞感。誰が味方で誰が敵かわからなくなる。この町全部が謎めいてくる。
過酷な環境に抗う賢明な子どもとそれに応えようと真実を求める大人。応援したくなる。
ミステリーではあるが、主人公カルと少年トレイの交流、成長が見もので、ヒューマン小説とも言えそう。アイルランドの自然描写も豊かで良かった。