タナフレンチのレビュー一覧

  • 捜索者

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    ネタバレ

    長ーい小説だった。
    大自然の描写とゆったりした生活感と町の人間との触れ合いをじっくり描いて
    トレイと会うまでも長いし、会ってからもゆっくり。
    カルの娘にしてあげれなかったことを奇しくもトレイにやってあげるところが良かった。
    最後に彼女を見守る選択をするのもかっこいい。

    カルの人生再生物語に見立てて、家はボロボロで家具もほぼなし、一から集めていったり、自分で作ったり、そしてトレイが来て、終盤にはレナが来てと擬似家族を形成していく。
    今度こそ彼は間違えないように、だいぶレナに助けてもらいながらだけど、進んでく。
    よく出来た構成。
    かなり地味なのに面白い。

    暴力が発生するのは、かなり後半でしかも

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    2025年07月13日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    アメリカとアイルランドにルーツを持つ作家、タナ・フレンチの作品。集英社文庫から数作出ていたが、今作はハヤカワ・ミステリ文庫から。

    妻と別れ、シカゴ市警を辞めたことをきっかけに、アイルランドの片田舎に引っ越してきたカル。隣人や雑貨屋の主人達とそれなりに仲良くやってきたが、村八分の扱いを受ける子供から兄を探して欲しいとお願いされ。。。

    兄の探索というミステリ要素がありつつも、アイルランドの豊かな自然や、小さいコミュニティでの暮らしが濃厚に描かれる。いわゆる、文芸ミステリ。
    正直ミステリとしてはそこまで。期待して読むと肩透かしかも。ただ、妻も娘も仕事までなくした孤独な男が、子供とのやりとりをとお

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    2025年06月14日
  • 捜索者

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    長編小説特有のずっしりした読後感。アメリカで長年警察官だった男が、都会ぐらしや警察の闇に疲れ、アイルランドの辺鄙な田舎へ引っ越す。何十年も放置されていた家屋を修繕し、少しずつ近隣住民に溶け込んでいく。ある日、村民から除け者にされている家の子供からの、妙な依頼を引き受けたことがきっかけで、不穏なことが起こり始める。元警察官の勘と知識で取り組んでいくが、事態は想像よりずっと深刻だった、、、。田舎暮らしで起こる住民との交流(良くも悪くも)、悪気のなさが引き起こす好ましくない事態、独特の倫理観など、どこにでもあるちょっとした違和感が重なる重たいストーリー。ゆっくり時間をかけて読む一冊。

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    2024年07月18日
  • 捜索者

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    『本の雑誌』で絶賛されてたのと、物語の舞台がアイルランドだと言うのが気になって取り寄せ読んでみたところ、なるほどなるほど。シカゴで長年警察官だったのを辞め当地に移住してきた主人公をはじめ、登場人物のキャラクター設定(動物含む)がすごく効いてる。文庫本としてはギョッとする厚みだけれど読み始めたらページを捲る手が止まらず一気読み。

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    2022年11月15日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    捜索者

    職を捨て、妻子とも別れて、一人でアイルランドの片田舎にある廃墟同然の家に越してきた、元アmリカの警察官カル。
    廃墟同然の家をDIYで修繕しつつ、大自然の中で静かに暮らす第二の人生を模索実践していく中で、カルは見張られているような違和感に気づく。気配の正体はみすぼらしい格好をした13歳の子供トレイ。
    次第に距離めDIYを手伝うまでになったトレイは、ある日カルに「兄貴を探してほしい」と依頼する。

    幸せとは決して言えない境遇に育ったゆえに、少々ヒネてる子供に大工仕事や家事を通じて、人生を教えるパターンは大好きな小説「初秋」リスペクトである(あとがきにも書かれている)。

    もちろん…

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    2022年10月27日
  • 捜索者

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     タナ・フレンチを初読。アメリカ生まれのアイルランド在住の女流作家。ダブリン警察殺人課のシリーズ作品が主流なのだそうだが、未訳も多く、ぼくは読んでいない。本作は捜査小説というよりも、ヒューマンな色合いと、文明論、人生の深みといった本質部分を突いた完全独立作品である。

     シカゴ警察を退職し、家族と別れ、人生を取り戻すためにアイルランドの片田舎に独り移住したカル。古い建物を修復しつつ、生活を再建させようとしていた彼は、頭を剃り上げた子どもトレイと出会い、その行方不明となった兄の捜索を出来る範囲でとの条件で引き受ける。

     大都会シカゴから、大自然の真っただ中にある閑散とした小村への移住。広漠たる

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    2022年08月16日
  • 捜索者

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    登場人物が丁寧に描かれ、アイルランドの村の自然と共に静謐な筆致で物語が語られていく。穏やかな中にも謎と伏線は張られ解き明かされていく、その過程にも無理がなく、好感。

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    2022年06月16日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    読み応えあり。丁寧な描写がじりじりと続くと読み進めるのに時間もかかるが、それが人物や情景に厚みとリアリティを持たせる。そしてアイルランドを描くのに、このペースはぴったりだ。田舎町の閉じた人間関係は、どの国も一緒だなーと今更ながら思う。

    ワンコがいい味を出していて、これも”ワンコ小説”と言えそう。

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    2022年06月02日
  • 捜索者

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    警察を退職し、アイルランド西部の小さな村に移住したカルのもとへ、村の子供トレイが失踪した兄を探して欲しいと訪れる。

    舞台がアイルランドの大自然の中でありながらも、小さな村特有の閉塞感。ちょっとほの暗い陰鬱な感じが漂う中で、カルとトレイの心が次第に通いあっていくのが、少しの希望でもあり、派手なミステリー要素はないものの、好みだった。

    トレイの真っ直ぐさが、この後も変わらずにいて欲しい。

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    2024年12月30日
  • 捜索者

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    アイルランド西部の田舎街。豊かな自然や動物たちと、まるで対照的な個性あふれる住民たちで構成された濃密なコミュニティ。そんな中に飛び込んだ元シカゴ市警の刑事。ゆっくりとしたペースで、主人公と「キッド」の関わり、そしてキッドの兄の行方探しが始まるのであった。
    著者が女性というのに最後まで気づかなかったけど、アメリカ在住の娘が長距離電話で主人公にアドバイスするシーンがすごく良かった。
    3.7

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    2024年02月15日
  • 捜索者

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    ミステリではありますが、大自然の中、ゆったりしたテンポで進む小説。
    そのリアルさで、胸に迫ります。

    シカゴで警官をしていたカルは次第に熱意を失い、離婚し、職を辞めて、父祖の地アイルランドに移住してきた。
    人里離れた廃屋をわざと選んで、補修しながらの暮らし。
    村人とも少しずつ交流が始まるが、まだ互いに手探りで、ペースが合わないでいた。

    ある日視線を感じ、男の子が覗いていたと知る。
    少し離れた所に住むトレイという子で、みすぼらしい格好が気になり始める。
    何気なく手作業を見せたり、教えたりするようになっていった。
    このトレイは、仲のいい兄が失踪したので探してほしいという望みを実は抱いていた。

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    2024年02月14日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    人と関わらないで済むような土地に引っ越したつもりだったのに、ここではここのわかりにくいルールがあるという、都会よりも面倒な出来事に巻き込まれていく主人公が不憫だった。一度住んでみないと分からないこともある。
    トレイと出会い、田舎の穏やかな生活は崩れ去るが、人と関わることは基本的にはやはり楽しく豊かで人間的な行為なのだと思う。
    マートをはじめとした仲間たちは、村の秩序を守るためとはいえ、自警団を超えてもはや村人たちを私物化していることや、殺人と遺体遺棄までしているのは驚いた。
    この村でなければ通報して解決なのに、結果的にカルも掟に従う結果になるところに闇深さを感じる。
    でも、自分にとって何が一番

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    2023年11月07日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    ハラハラドキドキというのはないけど、田舎の空気感を静かに感じる作品でした。真相の割に読後感は悪くなかった。主人公と子どもの交流部分が好き。

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    2023年08月18日
  • 捜索者

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    シカゴ警察を退職したカルはアイルランド西部の村に移住し、廃屋を修繕しながら暮らしていた。
    ある日カルは、地元の子どもに失踪した兄を探して欲しいと言われるが……。
    アイルランドの大自然の美しさと不穏な空気感にのまれる物語。→

    登場人物がとてもリアルで、フィクションなのにまるで現実にある話かな、と思わせる文章。すごい。
    カルも、元警察官だけど全然警察官っぽくなくて、それがすごいリアル。ヒーローやないんよね。それがいい。
    アイルランドの風景描写も秀逸。行ったことないけど目の前に浮かんだ。

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    2022年12月31日
  • 捜索者

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     高緯度地方に特徴的なものは、泥炭地だ。
     本書の舞台になったアイルランドの田舎町でも、泥炭地が印象的に描かれる。

     思春期に差し掛かった少年(象徴的な意味で少年だ)に大切なことはなんだろう。
    丁寧に一つ一つの過程を、身体を動かして積み上げていく、例えば大工仕事のようなことか。あるいは、猟銃が扱える欧米では狩猟も含まれるのか。銃の扱い方を教わることは、大人への通過儀礼としての役割もあるのだろう。

     ロバート・Bパーカーの『初秋』を思わせる展開で、ミステリとしての要素よりも登場人物の成長譚として読み込んでいく。また、『初秋』でのスペンサーとスーザンのように、本書では主人公カルとレナの自立した

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    2022年10月09日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    本の雑誌・上半期ベストから。文庫700ページの大作だけど、比較的淡々と進む。それもあり、続きが気になって仕方ない!みたいな、ジェットコースター小説的爽快感は殆どない。美しいけど物寂し気な情景描写と相俟って、じわっと沁みわたってくる系。”ザリガニが~”みたいな。こういうのはこういうので、やっぱりなかなかに味わい深いですな。

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    2022年08月31日
  • 捜索者

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    本編のミステリーよりも、アイルランドの田舎?での主人公の暮らしというか、日々の生活の描写が好きだったな。家の改修作業とか。
    自然の描写っていうのとはまた少し違うんだけど、なんかこう、生活…の細部みたいな。
    あとは会話のやりとりが海外文学って感じで好きだった。でもちょっと長いかな。

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    2022年08月05日
  • 捜索者

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    シカゴ市警を辞め、アイルランドに古い家を買ったカル。少年が家の周囲をうろうろする。兄が行方不明になったので、探して欲しいと言う。19歳なのだから自分の意志で出ていったのだろうと思うが調べてみると・・・

    ミステリー薄め+情景描写多めタイプはやや苦手にしていたのだけれと、本作は良かった。

    ロバート・B・パーカーの「初秋」を彷彿とさせると解説に書いてあったけど、確かに(だいぶ前に読んだので記憶は薄いけど)

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    2022年07月30日
  • 捜索者

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    全編にアイルランドの気候と景色が織り込まれていて、時間が緩やかに流れて行く。小さな村にシカゴから移住して来た元警官が主人公で、失踪した地元の若者を探すと言うのがメインテーマ。スピード感や場面の切り替わりが好きな人には読みづらいかもだが、文章が読み易くて気にならなかったし気が付いたら674ページを読み終えていた。

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    2022年05月28日
  • 捜索者

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    読みやすかった。けど海外ドラマによくありがちな展開で新鮮味は全くない。全体のボリュームのわりに満足感は控えめ。

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    2025年08月29日