小宮京のレビュー一覧
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大日本帝国憲法から日本国憲法への改正過程を、これまであまり用いられてこなかった史料の活用も含め、実証的に再構成し、昭和天皇が改正される憲法における自らの地位をどのように考えていたか、その考えを伝えられた政治家たちがどのように行動したのかを論じ、戦後という時代の始まりと終わりを再考する。その中で、大日本帝国憲法における元首から日本国憲法第1条の「象徴」へという天皇の地位の転換を伴うGHQ草案を直ちに受け入れたという昭和天皇の「第三の聖断」は事実ではなく、虚構に近い神話だと断言する。
内大臣府案や東京帝国大学憲法研究委員会、貴族院を中心とした非公式会合、衆議院及び貴族院における憲法改正審議の実態な -
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敗戦後、GHQの思惑で皇籍離脱させられた、宮家筆頭の伏見宮家。
恥ずかしながら、宮家の序列とか細かいところは全く理解出来ていない。パッとわかるのは竹田家の竹田恒泰先生くらいだし。
皇室とか、日本の在り方を考える時に、ラーメン屋筆頭竹田恒泰先生の言葉だけでなく、他の宮家の方々の話を聞きたくなった。
面白かった。実に。
戦前から戦後にかけての、ご自分たちの運命を飄々とした感じで語られる。
平民として糧を求められたわけだが、そこも、宮家という後光が劇的に影響しているわけなのだが、そんなもんだと普通に、得したね、くらいの感じで。
帝国海軍元帥であられた祖父も、「おじいちゃん」と普通に言ってて、 -
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著者は日本政治史、とくに自民党史の研究者。昭和天皇とフリーメーソンとの関わりが気になったので購入したが、占領期の日本政治のリアルな一面を感じとることができる内容。一言で言えば政治家たちは、「GHQの意向」という表象に翻弄され、そうであるがゆえに、GHQと太いパイプを有する(と称する)存在が力を持った。現在の日本政治の構図は、その延長線上で作られてきたわけだ。白洲次郎がGSに足しげく出入りして、「ミルク(情報)マンです」と言いながらウロチョロしていたというエピソードは、まさにそのような関係性を象徴している。
やや話題としては「占領秘話」的な内容が多かったが、それでも、国民協同党時代の山本 -
Posted by ブクログ
占領下とは特殊な状況であり、また現代史の時代であるから、語られないこと、都合良く語られること、あるいは語りたくないことなど、様々である。本書は、そんな占領時代のいくつかの出来事にスポットを当てて、その実相に迫ろうとした試みである。
第1章で取り上げられるのは、谷川昇。彼は東京市職員として勤務し、1944年退官、民間会社に勤務していたが、おそらくその米国在住の経歴を買われたのであろう、1945年10月山梨県知事、46年1月内務省警務局長として公職追放事務に従事、47年2月退官、4月の衆議院選挙に当選という異例の経歴を辿った。そして47年7月、今度は谷川自身が公職追放に。それはなぜだったのか