黒沢咲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
麻雀を知らないで読んだ人間です。
表紙の勝気な顔に惚れて手に取った本でしたが、冒頭は順風満帆と言える疾走感で駆け巡った。正直、ある程度本を読んだことがある人が読んだら、絶対このスピード感で終わらないと思うだろう。
しかし、この物語の女性は違う。
あっという間に駆け上がった。途中休息程度の足踏みはしたが、平均速度は維持したままフィニッシュ。
麻雀のルールが分からなくても、渚の突き抜けるような活力と、底抜けの元気で、なんやかんや漠然としていた麻雀のイメージの解像度が上がった気がする。長く愛される、と言っても麻雀の歴史はとんでもなく長いものだけれども、いろんな人に愛される卓ゲーだからこそ、様々な -
Posted by ブクログ
2022.6.5.
小説なんだけどすべてが創られたものではなく、作者でプロ雀士の黒沢咲さんの半生をベースに描かれた作品。現実ではないのだけれども、現実とリンクする部分もあって、読みながら妙な心地になった。それは嫌な感情ではなく、どちらかというと心地よい部類のもの。黒沢さんが見てきた景色や世界を自分の視界を通して覗き見しているような、酷く贅沢な時間を過ごしたなぁという感想です。
例えば家庭環境が壮絶な人生だったり、人とは違った学生生活だったり、何かにずば抜けて秀でていたりと、自分の人生がそのまま小説のようになってしまう人が世の中にはいる。黒沢さんはそういう類の方ではないと思うのだけれども、そ -
Posted by ブクログ
MリーグのTEAM雷電に所属する、女流プロ雀士の黒沢咲さんの初の著書。
主人公である渚が麻雀に出会ってから、プロとなり、Mリーグという大舞台に立つまでの物語は背景や人物はデフォルメされていますが、さながら黒沢さんの自伝的でもあると読んでいて感じることができました。
黒沢さんが打つおもしろい麻雀の背景を知ることが出来るのは、ファンとしてはうれしいところでありました。
そして、Mリーグ以降については、虚実入り混じる内容となって読んでいて不思議な気分になれる部分もありました。
現在進行形で行われているMリーグにおけるTEAM雷電のチーム史の一面もあるように感じることが出来、チームのファンでもある僕は -
購入済み
私小説的
作者自身の経験をもとに女流雀士の活躍を描き出しているため、話の内容や表現が実に生き生きとしている。自分自身の経験をもとにしているので、私小説的 といえないことはないが、芥川龍之介や太宰治の私小説となったく異なり、深刻なところがなく晴れ晴れとしている所が良い。