MリーグのTEAM雷電に所属する、女流プロ雀士の黒沢咲さんの初の著書。
主人公である渚が麻雀に出会ってから、プロとなり、Mリーグという大舞台に立つまでの物語は背景や人物はデフォルメされていますが、さながら黒沢さんの自伝的でもあると読んでいて感じることができました。
黒沢さんが打つおもしろい麻雀の背景
...続きを読むを知ることが出来るのは、ファンとしてはうれしいところでありました。
そして、Mリーグ以降については、虚実入り混じる内容となって読んでいて不思議な気分になれる部分もありました。
現在進行形で行われているMリーグにおけるTEAM雷電のチーム史の一面もあるように感じることが出来、チームのファンでもある僕はとても楽しく読み進めることが出来ました。
それで、この本を麻雀がわからないと読めないかというと、そういうことは全くなく、麻雀の知識があればより楽しめるという一冊であると感じました。
麻雀の入門書ではないけど、入口になる本であるというニュアンスです。
それと、青春小説の面がありますが、時系列でいうと大学から社会人を経てからの流れの中なので、青春という表現と少し離れているように感じる部分もあるかと思います。
青春の定義として「生涯において若く元気な時代 、主に青年時代を指す」が一般的であると思いますが、僕自身はそう思っておらず、「熱を持って動いている、その状態」が青春であると思っているので、渚の心の動きや行動が青春真っただ中でのものであると感じながら、ページをめくっておりました。
そして、その青春の状態は今もなお続いていると感じられ、気持ちのいい読後感を味わうことが出来ました。
運命的に麻雀に出会うことも、途中の苦悶するところも、奇跡的にMリーグに呼ばれるのも、全てが現在進行形の青春である、そんな意味合いの物語であると読み終えて感じました。
これからも、渚の、黒沢さんの「おもしろい麻雀」についていきたいと思いつつ。