藤村シシンのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
面白い!でもそれだけじゃない
古代ギリシャ界隈で有名な藤村シシンさんの最新作。
「こういうマジカルなの好きでしょ?」「ちょっとしたエロ(グロ)もあるよ?」と興味をひいておいて、歴史学・考古学のアカデミックな資料から魔術というものを紐解いていく。
前作同様、面白い文章でどんどん読む者を惹きつける。
ただ今回はテーマが【魔術】。一抹の不安があった。
「はじめに」や目次で提示されているように、最終的には魔術の正体にたどり着くことになるという。
最終章にはどんなどんでん返しが待っているのか。
残酷な現実を突きつけられるのではないか。
”魔術なんて存在しない”あるいは”魔女とみなされた人間は無残な最後を遂げた”とか…
そんな結末 -
Posted by ブクログ
ヘロドトスやホメロスやアイキュロスほかの原典に当たる根性はないけれど、それらをつまみ食いして楽しくいろいろなギリシア神話の神々の話が読めた。古代ギリシア人が政治的に得だから古代ローマに吸収されてしまって、中世ギリシア人というのはいないし現代ギリシアとは全くつながっていないこと。そもそも古代ギリシアは1500個の都市国家からなっていて統一されたことがないから古代ギリシアという国は存在しないこと。絶対的な力を持つ王がいない世界だったこと。ギリシアの建造物の白亜のイメージはつくられたものであること(パルテノン神殿の色彩は削り取られてしまっている)。古代ギリシャ文明を西洋の起源にしたてあげていること自
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Posted by ブクログ
常々「古代ギリシャ人って誰なんだろう?」と思ってきた。
どこらへんに住んでいて、何を食べてて、人生観や宗教観は現代の我々やギリシャ人とどれくらい違うのか、あまりにも物語化されている過去像を含めて、知りたいと思っていた。
その意味において、1章はとっても面白かった。
まさにその「古代ギリシャ」そのものが、我々(近世ヨーロッパ)の望む形通りに修正されてきたこと、白く無垢であるべきという考えから「漂白」されてきたことなど、これまでのバイアスについて光を当てている。
その他にも古代ギリシャには「海」という言葉がないことから当初はもっと北部に住んでいた、など。
第2章は古代ギリシャの代名詞ともいえる -
Posted by ブクログ
ギリシャ神話は昔Wikipediaで各エピソードをつまみ読みしたくらい・・・という自分でも楽しめた。古代ギリシャ人が持っていた神話と世界観についての本。
一番興味深かったのは、ギリシャ神話の神々が浮気しまくりな理由を説明していた箇所。ゼウスのある種の畏敬を抱きそうになる浮気エピソードの数々の存在は以前から色んな本やウェブサイトでつまみ読みしていたが、ゼウスが浮気をするのは各都市国家が自分たちのルーツを主張するためだったという内容には良い驚きを得た。
他にも、ギリシアvsペルシア戦争の真実(ペルシア側についた都市国家も多く、前々から気に入らなかった周辺の都市国家がペルシアにつくなら俺らはギリ -
Posted by ブクログ
文量の約半分はオリュンポス十二神のエピソードいろいろ。著者の肩書が「ギリシャ神話研究家」だから当然と言えば当然ながら、私としては、神々のエピソードはそこそこに、古代ギリシャ人の価値観・世界観のほうが興味深かった。「美即善」≒「カワイイは正義」や、セミやコオロギを歌う詩≒日本の和歌・俳諧といった本文に言及された比較のほか、「「神」はいても「宗教」はない」(p.223)などには「神社非宗教論」に近いものを感じられ、平安時代から平成時代までの頃の日本と近いものを感じる(現代・令和の日本は…キレイキレイに漂白されたパルテノン神殿みたいなものかもしれないが)。