田中将人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロールズ
・正義論は3つの原理の明確な優先順位で構成されている。これがあらゆる人/社会にとって前提にできるかが問題になった。
1.自由な平等の原理(ただし、あらゆる自由ではなく、道徳的能力実現の要請と過去の歴史から選ばれた限定列挙された自由)
2.公正な機会平等の原理
3.格差原理
これには、本質的な矛盾がある。多元的な善を構想することが目的なのに、唯一の正義を必要としてしまう。
この問題について、唯一の正義を前提にするためカントの議論に深化していったのが初期、政治的転回で政治的の問題として、かさなりあうコンセサスにシフトしていったのが後期という説明はクリアで分かりやすかった。
万民の法でも、同じように各国が満たすべき法をいくつか挙げているようなスキームになっているが、やはり、なぜそれが前提にできるか、それぞれの項目を見ても
西欧中心主義に感じるところで、合意が得られにくいように感じるので同じ問題を抱えていると思われた(西側諸国の協定としてなら有効そうだが、万民ではない)
まとめのなかで、ロールズの理論は理想世界の議論で現実にやくにたたないといったものもあるようである。
もちろん、このように影響が大きかった理論が、(単純に現実社会で)役に立たないというのは乱暴に思うが、
ロールズの問題意識は、現代的なグローバルを意識した一般性というより、
平等や公正がいまよりも未熟であった50年代のアメリカを対象(アメリカにおける正義の構想)なのではないかという指摘はなるほどと思った。
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社会の基盤となる正義について、普遍的な視点から探った正義論の前半から、社会の成員の重なり合うコンセサスとして合意可能な正義を探った、政治的リベラリズムを含む後半を、社会で合意される正義を巡る共通のテーマであることの視点から解説してあり、たいへん分かりやすい。サンデル、等についてロールズの問題意識を軸に自身の理解や議論の位置づけができる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分自身の内に、複数の声や評価軸やコミュニティをもつこと。否定的なものから目を背けるのではなく、むしろ手懐けること。そうすることによって、囚われから逃れ、自由になること。プラトン自身の「自己の内なる体制」はまさにそうしたものであった…(後略)
本当の意味で平等が達成される日は、世界は、来ないと思う。その意味で本書はやはり理想論に過ぎないと言わざるを得ない。一方で、平等に限りなく近づけること自体は決して不可能では無いことも確かだ。わたしたちが常に平等に向けて闘うことは、いつか誰かの当たり前の権利になっていることを意味するだろう。 -
Posted by ブクログ
「平等」と簡単に言うが、難しい。
著者はその「平等」について論を展開する。
本人も、「実証的研究」でなく「規範的研究」といっており、われわれの日常から帰納的に平等について論じるのではなく、過去の平等についての研究から筆者の考える最強の平等を提示する。
そんな本だから「平等」について研究する人にはいいのかもしれないがちょっと読みたいものからは道を外れていた。
色んな「平等」を上げたうえで、私が推すのはこれだ、という話なのだけど、ある意味潔いのだが恣意的な面は否めない。著者と考えの違う人は当然想定しているはずだし、議論できるという前提だろう。
成功という基準が一律だし、敗者は必ずひねくれると言っている気がするし、不平等者に手を差し伸べようとしてもプライド傷つけるとか、基本的に競争が発展を生む前提はどうなんだという面とか、なんか色々気になって。
薄いところに事例がないので、読みづらい。
文章は平易なのだが、とにかく、机上の演習という印象だった。
この本が実現しようとしている「平等」とか書いてた気がするが、この本は、何も実現しませんよ。 -
Posted by ブクログ
平等に関する論点が何であるか、それぞれの論点においてどのような主張がされてきたのかを概観できた。とは言えそれで『平等』に関する見識が深まったかと言えば、疑わしい。一つには平等に対する視点は概して常識的なものが多く、意外な盲点のようなものが少ない事。もう一つは著者が導こうとしている「財産所有のデモクラシー」なる概念が何なのかが説明されないために、平等社会の具体的な姿がイメージできないこと。
格差や平等を考えるときの重要な視点として、インセンティブの要素は外せないと思う。どんなに頑張っても結果が変わらないなら、人は頑張れない。社会体制がどうとかいう問題ではなく、人の動物としての本能に近い。「財産所有のデモクラシー」がどんな社会を明示するのかはわからないが、その平等社会で人々のインセンティブをどう設計するのかに対する答えが用意されていなければ、広く賛同を得ることは難しいのではないか?