椋田直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は我々の思考がその社会の文化的習慣に大きく影響されていることを提示する。その例として、言語が世界を様々な概念に切り分け、我々が見ているものや思考に影響を与え、人間として普遍的なものが最初から自然にあるわけではないことを証明する。特に、空間的座標軸(東我々と違い、東西南北を絶えず座標軸とする言語)やジェンダー(名詞に常に恣意的な男性性や女性性、中性性を割り当てる言語)、色の概念(言語による色の境界性の多様性)がその言語を日常的に使い続けることの習慣性による思考や行動への影響力。我々が世界をどう見ているのか、言語の影響力の大きさをみることは、人間文化の多様性と相互理解を進めるうえで大切である事
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Posted by ブクログ
言語は自然と文化、どちらを反映するのか。母語は思考に影響を及ぼすのか。現代人には奇妙に感じられる「葡萄酒色の海」というホメロスの色彩感覚にはじまり、視覚と色名の関係をめぐる議論の歴史や、左右前後を表す言葉を持たず、常に東西南北の絶対方位感覚を必要とする言語の発見など、言語学が生まれた西洋で〈普遍〉と信じられていた常識が崩れていった事例を、言語学者の功罪に鋭く斬り込みながら語るノンフィクション。
ホメロスは『オデュッセイア』も『イリアス』もまだ読んでないけど、「葡萄酒色の海」のことだけは知っている。だけど、これが文学的な修辞の範疇を超えて「古代人は色弱だったか否か」の議論にまで発展していたな -
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