多田智満子のレビュー一覧

  • 魂の形について

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    多田智満子『魂の形について』(ちくま学芸文庫2021年11月第一刷)の感想。
    小説好きにはユルスナールやシュオッブの翻訳者として知られているであろう詩人の、エセー。形象を通じて古人の霊魂観を視つつ、それらを包含する大きな世界観を探る様な内容。読み易く、読後感は軽やか。
    的確・懇切なちくま学芸文庫版解説も有難い。

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    2023年05月10日
  • 黄金仮面の王

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    世紀の文庫化。シュオッブの先も上も奥もない。文芸ここが果て。精緻で硬質な文体、同時にグロテスクで詩的な表現で綴られる幻想短編は、どれも極限まで研ぎ澄まされている。「ボルヘスや澁澤龍彦への影響」に深く頷く。燃え盛る終末。アイデンティティの崩壊。生と死を司る運命。未来/過去への希望。小舟に乗り、星を読み、年月を抱えて直走る。美しい。

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    2026年03月17日
  • 魂の形について

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    ネタバレ

    人間が想起してきた「魂の形」とはなんだったのか、というテーマで日本や中国の神話や伝承、古代エジプト、ギリシアの神話、インド神話、キリスト教のモチーフなど時間と文明を広く渡って思索が展開する。
    蝶や蜜蜂、鳥など、翼あるものの中でも特定のモチーフが隔たった文明で共通して魂を表す形として用いられるのが面白い。テーマの力もあってか、生と死、文明を移ろっていくうちに夢うつつのような気持ちになってくる。文章は固めだけど、不思議とふわふわ軽く頭の中を流れていく印象なのでそのせいもあるのか。
    「しかし魂について人が想いめぐらすことは、みな夢のように根拠がなく、夢のように真実なのではあるまいか」と著者は書いてい

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    2021年11月28日