ダニエル・ヤーギンのレビュー一覧

  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    かなり読み応えあった。休憩や調べる時間も込みで平均1P3分かけて読み進めた。536Pなので、延べ27時間ほど。エネルギーがいかに政治経済軍事において深く影響し根ざしているかがよく分かった。そして特に中東の情勢がストーリー性を持って立ち上がってきた。

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    2026年05月17日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    1人の人の物語から、資源、国の話となる。
    膨大な調査に基づいた、フラットな本でとても読みやすかった。
    ストレスがなく読めたのは原作はもちろんだけど、翻訳の方が素晴らしかったのだと思う。

    日々のニュースで聞き流していた事柄が、引っかかるようになった。

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    2026年01月26日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    歴史から紐解かれているので、エネルギーの地政学リスクがよくわかった。地政学リスクを把握するには、現在のマクロ要因だけでなく、歴史も知らないとダメやね…
    しかしまあ分厚い割にはスラスラ読める。

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    2025年03月01日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    新しい世界の資源地図
    エネルギー・気候変動・国家の衝突
    著:ダニエル・ヤーギン
    訳:黒輪 篤嗣

    米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家である、筆者が地政学的見地から、超大国の動向を解説した大書
    20,21世紀は、エネルギーという軸で、世界は動いていて、気候変動や、国家間の衝突を誘発している

    本書は二つの軸から語られている
     国家(経済力、軍事力、地理的条件、戦略、野心、偶発的出来事と不足の時代)
     エネルギー資源(石油、天然ガス、石炭、風力、太陽光、書く)
    この二つの要素が絡まる地図は、絶えずダイナミックに変化し続けていて、バンデミックなどの不測な事態を含めて、世界に深刻な混乱をもたらしている。

    この新しい地図を読み解くのが本書の目的です

    世界を支配しているエネルギー大国、米国、サウジ、ロシアが今後どのようにかわっていくのか

    ■米国

    シェールガス
    天然ガスの可採埋蔵量は、急増している
    電力の天然ガスに占める割合は、17%⇒24%に変化
    いまや米国には、有り余るほどの天然ガスがある
    2014⑫には世界5位の埋蔵量を誇り、米国は世界の主要な石油プレイヤーに返りざきを図った。
    北アフリカ、英国東方沖でも天然ガスが発見されたために、欧州は米国の潜在的輸出先ではなくなった
    米国は膨大な貿易赤字を理由として、韓国にLNGを多量購入させるための長期契約を結ばせた
    化石燃料に反対する人々は、まず、パイプラインの設営に反対している
    米国のエネルギー問題は、シェール革命と環境保護活動と衝突である
    米国はシェールを確保してからも、原油の輸入を止めていない
    中東のひんしつの低い重質油を生成するような設備を保持しつつ、軽くて品質の高いシェールで外貨を稼いでいるのだ
    パワーバランスの変容、ロシアは米国のシェールガスを批判し、欧州市場に与える影響を憂慮した。
    現在余剰生産能力の大半はサウジにあり、生産量の調整弁の役割をになっている。サウジは、世界の石油の「中央銀行」とよばれている

    シェールガスの地政学的影響
    ・イランの2015年の核合意
    ・欧州の天然ガス市場の多様化
    ・中国への天然ガスの輸出
    ・エネルギー分野は、米国、サウジ、ロシアの3者のうごきが地政学の中心となる
    ・シェール革命がもたらした、バジェノフ層の石油採掘技術は早晩世界に広がることとなり、ロシアをはじめ世界各国が注目している

    ■ロシア

    ロシアは世界三大産油国の1つ
    歳入の40%以上が、エネルギ関連から得られている
    ロシア政府が、ガスプロムをはじめ、大半のエネルギー企業の株を保有している
    ウクライナは、ロシアに天然ガスのパイプラインの通過料を課していてそれが、大きな収入源になっていた。当時80%の天然ガスがウクライナを経由して、欧州に輸出されていた
    ウクライナへの西側への接近が、ロシアにとって、エネルギー問題を含めた直接の脅威と映った。しかもウクライナにとってロシアに未払いの代金が、数十憶ドルもあり、ロシア政府はこれ以上の譲歩ができなくなっていた。ロシアは、ウクライナを経由するパイプラインの管理を、自ら実行すること、パイプラインは、重要の資産なのである
    ロシアは、ウクライナ以外にポーランド経由でドイツに天然ガスを輸出するパイプラインを敷設した
    ドイツのエネルギーに占めるロシアの割り合いは、33%に達していた。
    米国はロシアから欧州へのエネルギー供給については、神経質に反応し、輸出と止めようとしたが、欧州の反発をまねいた。
    米国とロシアの不幸、ウクライナ問題が浮上したときに、スノーデンのロシアへの亡命が判明し、オバマ政権は、急遽プーチンとの首脳会談を中止した。
    ロシアは、ウクライナに対して、保有していた核兵器の返還と引き換えに領土保全を確約していた。が、それもウクライナ政府がロシア寄りであるという条件下であった。ウクライナの西側への接近は、エネルギー問題にせよ、軍事的な問題にせよ、ロシアが容認できるものではなかった。
    ロシアで、ガスプロムの競合会社が出現した。サハリンのLNGがそれである
    東方シフト、欧州から基軸を中国に移すというロシアの戦略である。
    ハートランド、ロシアの中央アジアへの進出をいう。もともとソ連邦であった、中央アジア諸国のうち、アジェルバイジャンとカザフスタンは、産油国である。
    ハートランドは、米中露のバランス外交を行っている

    ■中国

    中国の外貨準備は、3兆ドルにおよび、うち1兆ドルは、米国債が占めている
    2014年に米国を抜いて、中国がGDPでトップに立っている
    軍事費は、米国6340億ドルに対して、2400億ドルで世界2位、サウジ、ロシア650億ドルであり大きく隔たる
    中国の台湾問題には、軍の投入も辞さない姿勢を懸命にしている
    南沙諸島、南シナ海は危険は海と認識されている。水産物資源が集中しているからだ。
    その問題は3つ
     ①南シナ海にうかぶ小さな地形はだれのものなのか
     ②南シナ海の海域は公海なのか、中国領の一部なのか
     ③EEZとは、航行を規制する権利があるのかないのか
    マラッカ海峡を通過するリスクを中国も感じていて、それをマラッカ・ジレンマという
    南シナ海には、石油天然ガスが眠っていると想定され、中国は高性能のリグで調査をしているが、米国と衝突している
    中国は、イラク、クウェートと同様の1250億バレルを予想しちえるが、掘ってみないとわからない
    中国にとって、コンテナ船は、鄭和の大船団以来、宝の船である
    中国がグローバル経済と、世界貿易の地位を獲得できたのは、コンテナ船があってこそであった
    米中対決は南シナ海でおきている、相互の駆逐艦が40mまで接近する事故がおきていて、以来、日豪、欧州諸国が加わった海のパトロールが続いていて、上空でも、米中の哨戒機が飛び交っている
    加えて、台湾だ。米国の台湾への傾斜は、両者の戦略的対立を読んでいる
    米中ともに、西太平洋からは退場しないため、危険海域は不安定になりつつある
    一帯一路は、現代の絹の道、海の道である。中央アジアのエネルギー資源へのアクセスに関する高速道路の役割を担っている
    また、中国北西部の安全保障に面でも重要である
    一帯一路は、外側から見ると、中国の西進膨張であり、ユーラシア大陸橋と呼ばれている

    ■中東

    サイクス・ピコ協定 列強のオスマントルコの分割
    ケマルがトルコ領をアレッポの近くまで押し戻した
    油田の発見、イラク等
    エジプト ナセルは、サイクス・ピコ協定を破棄して、中東に新たな地図を描くという野望があったが、イスラエル戦争でついえた
    中東の基軸は、サウジと、イランの戦い
    湾岸戦争の真のねらいは、イラクがねらっている、サウジ、クウェートの石油権益を保護することであって、イラクを民主化することではない
    アラブの春は、湾岸協力会議の各諸国に脅威をもたらした
    サウジアラビアはイエメンを含めた出兵を行い、事態の鎮静に努めた
    イランの革命防衛隊の目的は東地中海まで安全保障の領域を拡大する、だ
    イスラエルは、沖合に巨大ガス田があるのを発見した(⇒ガザの紛争と直結)
    サウジの石油価格政策に対して、米国は、イランの石油輸出一次解禁を含めた処置でゆすぶった。再度の禁止の際、イランは反発して、核武装にいたっている
    2019年サウジ東部の石油精製説設備に火災が発生、当初は事故かと思われたが、ドローンと巡航ミサイルによる破壊攻撃だった。イエメンの過激派の行為とされたが、背後にはイランか、イラクのシーア派の地域からである疑いもあった。このことにより石油は急騰した。

    サウジは中東の盟友であり、それは、聖地メッカの保有とともに、膨大な石油による収入を基礎にしている
    石油価格が高いうちはよかったが、低迷をはじめてから収入は減少に転じ、世界の石油離れの可能性に直面している。
    サウジをはじめ、湾岸協力会議諸国は、石油からの依存の脱却と経済の多様性、民間部門の成長などをめざしている

    ■自動車

    電気自動車の登場は、石油産業に対する大きな脅威だ。石油需要の35%は、車によって占められている。
    電気自動車のコア技術は、電池である、いかに効率のよい、電池を開発できるかにかかっている
    電気自動車については、中国がその先頭を走っている

    自動運転技術
    段階的に自動運転化を図る方法、衝突回避、加速制御、などの要素を一つ一つ順番に導入していくというものだ

    ■気候

    エネルギー転換による排出量の増加と、脱炭素
    温室効果ガスの排出量は史上最高となっていて、いかに抑えるか、COP21にての調整が行われているが、先進国の現状維持に加えて、成長している国々の排出量の増加もあり調整が進んでいない
    ゆえに、気候変動リスクは増大する一方だ
    CO2の排出国は、中国、そして、米国で、全体の41%を占める
    グリーンディール、緑の党などの運動が起きている
    再生可能エネルギー、風力、太陽光、いずれも中国のウエイトが高い

    現状を打開する技術、小型原子炉、炭素回収、水素
    石炭の火力発電所は減少、新規はない(米国)
    石油と天然ガスはプラの材料、こちらも減少している

    結論

    世界経済の規模は拡大しているが、多くの課題がある
    グローバル化の潮流はナショナリズム、ポピュリズムの再燃で逆風にさらされている

    今後、人工知能と、機械学習、自動化のイノベーションにより、全職種の仕事に変化が生じる

    世界のサプライチェーンのネットワークは、変化を迫られている

    エネルギーを支配しているのは、米国、ロシア、サウジの3国だ

    気候をめぐる困難な課題で、緊張が高まり、分裂が進む国際秩序においては、国家間の衝突も備えることができる妨げである

    エピローグ

    水素を基軸においた循環型
    風力や電気自動車に使用するレアアースは、95%が中国が占める
    コバルト、ニッケル、リチウム、銅なども循環型経済に不可欠である。

    4人の亡霊
     鄭和 歴史的な権利
     フーゴー・グロディウス 海洋の自由
     アルフレッド・セイヤー・マハン 米中の軍拡競争
     ノーマン・エンジェル 米中衝突のコスト

    紹介されている書

    ・砕かれた平和 ヤーギン
    ・石油の世紀ー支配者たちの攻防 上下 ヤーギン
    ・市場対国家ー世界を作り変える歴史的攻防 ヤーギン共著
    ・キッシンジャー回想録中国 上下

    目次

    序論

    第1部 米国の新しい地図
     第1章 天然ガスを信じた男
     第2章 シェールガスオイルの「発見」
     第3章 製造業ルネサンス
     第4章 天然ガスの新たな輸出国
     第5章 閉鎖と解放 -メキシコとブラジル
     第6章 パイプラインの戦い
     第7章 シェール時代
     第8章 地政学の再均衡

    第2部 ロシアの地図
     第9章 プーチンの大計画
     第10章 天然ガスをめぐる機器
     第11章 エネルギー安全保障をめぐる衝突
     第12章 ウクライナと新たな制裁
     第13章 経済的苦境と国家の役割
     第14章 反発 -第2のパイプライン
     第15章 東方シフト
     第16章 ハートランド -中央アジアへの進出

    第3部 中国の地図
     第17章 G2
     第18章 「危険海域」
     第19章 南シナ海をめぐる3つの問い
     第20章 「次の世代の知恵に解決を託す」
     第21章 歴史の役割
     第22章 南シナ海に眠る資源
     第23章 中国の新たな宝の船
     第24章 米中問題 -賢明さが試される
     第25章 一帯一路

    第4部 中東の地図
     第26章 砂上の線
     第27章 イラン革命
     第28章 湾岸戦争
     第29章 地域内の冷戦
     第30章 イラクをめぐる戦い
     第31章 対決の弧
     第32章 「東地中海」の台頭
     第33章 「答えはイスラムにある」 ーISISの誕生
     第34章 オイルショック
     第35章 改革への道 ―悩めるサウジアラビア
     第36章 新型ウイルスの出現

    第5部 自動車の地図
     第37章 電気自動車
     第38章 自動運転車
     第39章 ライドヘイリング
     第40章 新しい移動の形

    第6部 気候の地図
     第41章 エネルギー展開
     第42章 グリーン・ディール
     第43章 再生可能エネルギーの風景
     第44章 現状を打開する技術
     第45章 途上国の「エネルギー展開」
     第46章 電源構成の変化

    結論 -妨げられる未来

    エピローグ -実質ゼロ

    付録 ー南シナ海に潜む4人の亡霊
    謝辞
    用語一覧

    ISBN:9784492444665
    出版社:東洋経済新報社
    判型:4-6
    ページ数:600ページ
    定価:3200円(本体)
    2022年02月10日

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    2024年09月23日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    原油、天然ガス、レアアース…資源の地政学を知らずして世界情勢を語るべからず。歴史や経緯を含めた全体を本書で俯瞰できるため、新聞やテレビなどの媒体よりも深い理解を得ることができる。
    そもそも産油国ってほとんど中東中心だと思っていたが、中央アジアから北中南米、アフリカまでかなり広い範囲に渡っていると改めて認識させられた。それに対してコベルトやリチウムなどは中国とコンゴに産地が限定されているのが不気味で、代替材料の実用化が喫緊の問題に感じさせる。
    フラッキング技術によるシェール革命で米国がエネルギー自給自足になったことはザックリ知っていたが、ギリシア出身の移民が事業的なリスクを背負いながら突破口を開いた経緯などは知らなかった。しかし従来型と違ってコストがかかることと、大手メジャーのような資本金が少ないプレーヤーが多かったことから価格下落で壊滅的な打撃を受け、業界再編が進んだとのこと。気候変動への対策でフラッキング禁止の勢力もあるがエネルギー安全保障や経済優先の観点からシェールオイル採掘は継続しそう。
    ロシアへの制裁でノルドストリーム2が対象になったが、ロシアによる設備の自給を促しただけで供給量全体を見れば米国の制裁は政策ミスだったのではないか。
    中国の覇権姿勢によってWTOコンセンサスが終焉した、とは非常に厳しい時代に到達してしまった。日本も安全保障をしっかり見直して東南アジア諸国やインド、米韓との連携を強化する必要がある。
    中東ではイスラエルとハマスの戦闘やシリア内戦が騒がれているが、イラン革命の攻勢やトルコによる影響など、まだまだ懸念材料が多く、地域の安定化はまだまだ実現できそうにない印象。イラン革命の思想はいかにも革命的だが、国民国家を否定して中世的なイスラム国家を広めるために他国に部隊や武器を送り込むとは、ただのテロ国家そのものに思わせた。ソレイマニ殺害の事件は大きなニュースになったが、本書を読んでどういう人物か改めて認識を深めることができた。
    南シナ海に潜む4人の亡霊が付録としてあるが、非常に面白かった。鄭和ってもともと明朝のムスリム捕虜だったとは…ほかに「海洋の自由」のグラティウス(オランダ)、「海上権力史論」のマハン、戦争は無益と主張したジャーナリストのノーマン・エンジェルが挙げられている

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    2024年02月23日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    近年の地政学とエネルギー分野の激変に関して、米露中、さらに中東、気候変動ごとに読み解いていく。
    アメリカの項ではシェール革命の経緯、ロシアの項ではソ連崩壊後エネルギー大国として欧州に影響を与えてきたが天然ガス市場の変化等によりそれが変わってきたこと、中国の項では経済や軍事の成長とともに拡大したエネルギー需要や一帯一路構想、中東では石油と天然ガスによる富と権力と石油需要ピーク後への関心の移動、気候変動の項ではパリ前とパリ後のエネルギーの地図の変化などを主に扱っている。
    シェール革命がガソリンの値段だけでなく、2015年イランの核合意や欧州のロシア依存の軽減など、地政学的に大きな影響を与えていたことを具に知ることができた。ソ連崩壊にあたってソ連財政の命綱を断ち切ったのは原油価格の急落だったこと、ノルドストリーム2を巡るヨーロッパでの意見対立、イランが中東地域で行使している影響力、電気自動車や自動運転、Uberの発展、気候変動を巡る国際世論の形成などについても新たに知ることが多かった。

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    2023年12月30日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    米国、ロシア、中国、中東、インドの地図。石油、シェール、LNG、太陽光、風力。電気自動車、気候変動とエネルギー転換

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    2026年01月06日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    ネタバレ

    いやー、難しい…。哲学系以外で理解に時間をかけたのはホント久々かも。まぁその難しさが面白いわけなんだけど。

    エネルギーを生み出すのに必要な石油/天然ガスが大国アメリカから採れるようになった「シェール革命」から本書は始まる。ロシアやサウジアラビアからの輸入を必要としなくなる上、色々な国へエネルギー源を輸出することが出来るというのは、各国の関係性を変えるのに十分だったわけだ。
    ロシアや中国、中東の危うさも同様に、このエネルギー源に由来している部分もある。エネルギー源は金になるからこそ、それを手に入れようと誰もが争うのだな。

    一方でコロナや再生可能エネルギーにより、石油/天然ガスの価値というものも変わってきている。身近な例で言えば電気自動車など。石油/天然ガスの価値が下がれば、それによって成り立っていた国々は方針を改めざるを得なくなる(サウジアラビアなどがいい例だ)。あるいは、レアアースがそういった石油/天然ガスの枠に収まっていくのかもしれない。

    エネルギー1つとっても世界情勢全体を俯瞰しなければならず、「地政学」という一言がいかに汎ゆる意味を孕んでいるかを示してくれる超良書。難しいしまとめきれないんだけど、非常に納得感のある一冊でした。オススメです。

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    2023年11月25日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    500ページを超える読み応えのある本。この一冊で現在のエネルギー資源と世界の勢力地図を総覧しようとしている。近年、エネルギーと地政学にまつわる世界地図がどのように塗り替えられたかを、石油・天然ガスの主要な生産あるいは消費国・地域である米国、ロシア、中国、中東と、エネルギー問題に関する二つのテーマ、電気自動車、気候変動問題を中心に詳細に描き出している。
    米国で2000年代初めにシェールオイル、シェールガスが採掘され、増産が軌道に乗ると、世界的な政治・経済のバランスが大きく変化した。経済的には、2008年のサブプライムローンによる金融危機で疲弊した米国の経済が復活した。安価な石油が生産できることで産業が米国に戻ってきた。しかしもっと大きな変化は、米国が石油の輸入国から輸出国に変わったことであり、それは国際政治のバランスを大きく変えるものであった。1970年代のオイルショックからイラン革命までの過程にみられるように米国は中東との関係に頭を悩ませてきた。その理由の一つは、石油の安定供給のためであった。しかし「シェール革命」によってその懸念は後退し、国際情勢に対して「強硬策に打って出られる余地」を作り出した。中東に対する関与のあり方の変化や、ロシア・中国に対する強硬策などは、その背景にシェール革命がある。
    ロシアは世界の三大産油国の1つに数えられる。石油・天然ガスはロシアの主要産業であると同時に、国際戦略上の武器でもある。ロシアを世界の超大国として復活させるというプーチン大統領の目論見を実現するために最大限活用されている。ノルド・ストリーム建設をめぐるヨーロッパ各国との綱引き、石油・天然ガス供給を求める中国への接近。ウクライナ侵攻後のロシアが欧米からの経済制裁にもかかわらず、持ちこたえているのは豊富な石油・天然ガス資源があるからだ。
    中国は米国とともに世界を2分する大国となった。米中両国で世界のGDPの約40%、軍事費の約50%を占めている。為替レートで算出されたGDPで比べれば、米国は中国経済より大きいが、購買力平価で計算した場合は中国が世界最大になっている。
    中国の「一帯一路」構想はアジア、ユーラシア、その先にまで広がる経済圏を形成し、世界経済の中心に中国を据えようとする。その目的は、中国製品のための市場と、必要なエネルギーや原材料を確保することにある。しかし一帯一路はどこまで経済的な企てなのかはわからない。阿片戦争以来の「国辱の百年」の克服を唱えており、国際秩序の中で勢力を増し、「中華帝国」を復興しようとしているようにも見える。領海については、東シナ海及び南シナ海のほとんどは中国固有の領海であると主張しており、その根拠は1936年の地図に描かれた「九段線」に基づいている。しかもその海は公海ではなく、外国の海軍は中国からの許可なく航行してはならないという。しかしこの主張は、国連海洋法条約にもとづく「航行の自由」に反している。西側の「普遍的価値」への挑戦でもある。今や米中間の相互依存関係は崩れ、経済と安全保障の問題をめぐる対立、米中経済のデカップリング論、軍拡競争となっている。
    オスマン帝国の支配下であった中東に国境線を引いたのは、1916年のサイクス・ピコ協定であったが、それはイギリスとフランスの勢力争いの賜物であった。以来、中東ではイスラムの権威を復活し、カリフ制による支配を取り戻す運動がたびたび起こってきた。エジプトのムスリム同胞団にはじまり、アルカイダそしてISISにまでつながる。2014年、シリアからイラクに進撃したISISは「サイクス・ピコ協定の終焉」を高らかに謳った。中東の国境線はもとより不安定であるが、イスラム教内のスンニ派とシーア派の覇権争いによって各国の外交、内政が複雑化している。
    20世紀以降中東各地で発見された石油と天然ガスは富と権力の基であり、砂漠の国々の経済を支える重要な資金源である。しかしやがて訪れるであろう「石油需要のピーク」を前にして、新たな産業の模索も始まっている。「シェール革命」によって米国の中東への依存度が減り、政策に変化が起きたことは、中東各国を疑心暗鬼にさせている。今までのような米国一辺倒ではなく、ロシア、中国への接近を図る動きも見られる。
    電気自動車、「移動のサービス化」(Mobility as a Service : Maas)、自動運転は世界の石油産業と自動車産業に大きな影響を及ぼし始めている。乗用車とライトトラックは、世界の石油需要の35%を占める。電気自動車の増加は、石油需要に直接の影響をもつ。ウーバーのような配車サービスは、自動車は所有するものから、利用するだけのものに変えていく。自動運転技術は、自動車をハードウェアからソフトウェアに変え、自動車産業に大きなインパクトを与えている。そして今後ドライバーの雇用にも大きな影響を与えるかもしれない。
    2015年11月に開催されたパリ気候会議でパリ協定が採択され、今世紀中の気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑え、できる限り1.5度以内に抑えることを目指すため、各国が行動することが取り決められた。「パリ前」と「パリ後」は大きな時代区分となった。「エネルギー転換」へと大きく舵を切ることとなったが、しかしそれは人間の活動からいっさい炭素を排出しない「炭素ゼロのエネルギー」なのか、それとも「実質炭素ゼロ」のシステム、つまり炭素を吸収するメカニズムによって排出量を相殺するシステムなのか。どのように達成するのかについてのコンセンサスはまだない。「再生可能エネルギー」開発のため、太陽光と風量による発電は急ピッチに進められている。しかし太陽光や風力にしても鉱物資源や土地の確保が必要であり、それらの獲得のために大国は覇権争いを繰り広げる。新しいエネルギー構成おいても地政学が展開されるのは、今と変わらない。
    この本の最後は、米中対立の焦点の一つである南シナ海について触れて終わっている。普遍的な法秩序と民主主義を標榜する日本としては、米国とともに中国・ロシアと対峙していくべきなのであろうが、エネルギー資源の乏しい日本がロシアと完全に袂を分かつことができるのか、経済大国となった中国とデカップリングしても日本の経済は持ちこたえるのか。答えが見つからない。
    米中対立、欧米対ロシア、ヨーロッパ世界対イスラム世界、世界各地で起こる目まぐるしい勢力争い。気候変動(今や気候危機)を含む地球規模の課題が山積する中で、こんな争いごとをしている場合なのだろうか?!

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    2023年07月02日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    新しい世界の資源の地図を読んで

    第一部 米国の新しい地図

    ・マクロを見ることは大切
    →シェールガスで天然ガスの供給量が急激に増えて、天然ガスが下落することを悟ったEOGは、シェールオイルに舵をきった。

    ・シェールオイルによって、アメリカは世界の主要な石油プレイヤーになった。これは、経済的にも地政学的にも重要。
    →各国との貿易で赤字を減らす要因になる。自国でエネルギーを賄えるようになったことで、地政学的にも優位な立場になった。国際的な安全保障を実現しようとした時、強硬策に出られる余地が出てきた。

    ・メタンガス流出問題
    →シェールオイルに限った話ではないが、設備やパイプラインから漏れ出るメタンガスが問題になっている。回収すればお金にもなる。

    ・今や2000億円以上がアメリカ国内の化学関連設備の拡張に投じられている。
    →天然ガスは燃料としても、化学製品の原材料としても使われる。安価なエネルギーが唯一の理由ではないが、中国等の人件費の安い国から再びアメリカ国内に投資が戻る結果となった。

    ・今もなお続くエネルギー投資
    →メキシコやブラジルなど技術を持たない国は今なお世界から注目されている。ただし、他国を受け入れるかはその国次第。技術を海外に持ち出すことができれば、高い利益を上げられそう。

    ・パイプライン建設は容易ではない
    → 環境保護団体の反対を食らったり、大統領によって意見が変わったり、大変そう。


    第二部 ロシアの地図

    ・ロシアの強さ
    →広大な国土。莫大な量の核兵器とミサイル。サイバースキルも高い。世界に出ていこうとする意志もある。とりわけ天然資源もある。

    ・ウクライナにあるもの
    →天然ガスの欧州向けのパイプラインがある。そこにウクライナが関税をかけている。なお、パイプラインはロシアの所有になっている。
    そこで、ノルドストリームなどウクライナを回避するパイプラインが建設された。

    ・欧州のエネルギー政策
    →①天然ガスのシステムのレジリエンスを高め、長期契約ではなく需要と供給で価格が決まる市場を形成すること。②脱炭素と高効率化、再エネ化

    ・2014年ロシアはクリミア併合
    →軍を派遣し、住民投票で再統一を発表。欧州諸国の民間機を撃ち落とすこともし、EUからも反感を買う。アメリカは経済措置を取るが、これが長期化すると、他国はアメリカに依存しなくなり、経済措置の意味が薄れる可能性もある。

    ・ロシアは、まだまだ石油のポテンシャルがある。
    →北極海やシベリア盆地など。

    ・近年、ロシアは東シフト
    →特に中国との結びつきを強めている。
    中国もロシアが重要なパートナーとしているが、エネルギー比率で言うと2%程度で、輸出額も米国の1/10である。クリミアの時の米国の制裁にも従っている。

    ・中国とロシアの一致
    →西洋の普遍的な価値観や規範に対する拒絶。国家主権の経済運営の一致。米国の覇権的地位への反発。


    第三部 中国の地図

    ・中国はアメリカと並ぶ大国
    2008年の金融危機を脱したのは中国のおかげ。それにより存在感が強まった。軍事力等もある。しかし、エネルギーと人口動態に課題を抱えている。

    ・中国とアメリカの火種
    →台湾、最も大きいのが南シナ海。
    貿易戦争もある。アメリカは、中国を米国の利益と価値観に相入れない世界を築こうとする大国とみなした。略奪的な経済力で近隣国を威嚇する一方、南シナ海で島々の軍事拠点化を進める中国は、戦略的競争相手。

    ・南シナ海
    豊富な海洋資源があり、また貿易の要衝にもなっている。中国の原油輸入の80%がここを通る。そして、中国は自国の海域であることを主張している。国際法では認められなかったが、中国はそれを無視。(9段線と言われる国境線を見ると言ってることのヤバさがわかる。)海軍にも力を入れている。

    ・中国のエネルギー事情。
    現在、中国は世界一のエネルギー消費国。エネルギーの構成比率は、石炭6割、石油2割、天然ガス6%、残り再エネ。よって、エネルギーの地政学が中国政府の最優先事項になる。

    ・中国とASEAN
    東南アジアは、安全保障面では米国と統合されているが、経済面では中国と統合されている。

    ・一帯一路
    中国とユーラシア全土とをインフラ、エネルギー、投資、通信、政治、文化を通じて繋ごうとしている。新しいシルクロード。西側とは特に思想の違いはあれど、大規模な資金能力(投資、貸出)を武器としている。しかし、借り手が債務不履行になれば、中国に優位を許すため、注意が要る。

    ・各国の動き(予想)
    多くの国は、中国の新しいグローバル経済に加わりたいと考えている。しかし、同時に自国の行動の独立も確保したいので、ロシアや米国の関係を使って、中国影響力の増大とのバランスを取ろうとするだろう。ただ、最近米国は世界の問題から手を引きつつあると多くの国に見られている。インドという大国は一帯一路に不信感を持っており、動きが気になる。


    第四部 中東アジアの地図

    ・イラン革命
    ホメイニ師は、シーア派の聖職者が支配するイスラム共和国を作ろうとした。そして、この革命を他国にも広げようとした。

    ・アメリカの中東関与のきっかけ
    イラン革命や、ロシアなどからペルシャ湾地域の支配権を守るために深入りすることに。

    ・イランとサウジアラビアの対立
    シーア派とスンニ派の争いに期限。現在、イランは「単一の世界的な共同体」の建設を目指して革命を広げようとしている。(イラン革命)

    ・シーア派とスンニ派
    イスラム教の9割はスンニ派。シーア派国家のイラン。スンニ派国家のサウジアラビア。

    ・イラクを巡る争い
    イラクはシーア派が多数を占める国であった。フセイン時代にはイラン革命の道が閉ざされていたが、フセイン打倒後、再びイラン革命の標的に。しかし、アメリカもシーア派の騒擾に対抗するため介入。さらに近年ではISISとの戦いもある。現状、主にイランにより、イラクはかなり弱体化している。

    ・イラクのランドブリッジ
    現在、イランからイラク、シリア、レバノンに至る。イラン革命の波及地域。

    ・イエメンの現状
    カオス国家になっている。もはや国家として機能していない。イラン系のフーシ派が力をつけており、サウジアラビアと戦争にもなっている。アラビア半島の南端だけに地理的に重要な意味を持つ。

    ・東地中海の資源
    近年、イスラエルやキプロス付近で大規模な天然ガス田が見つかった。しかし、今のままでは争いの海になりかねない。

    ・ISISの誕生と発展、衰退。
    世界を支配するカリフ制の復活が目標。ゆえに、国民国家への拒絶がある。イスラエルの建国には断じて反対であり、世俗化の脅威である米国にも抵抗。ムスリム同胞団からアルカイダが生まれ、イラクとシリアのアルカイダからISISが生まれた。ISISは、石油関連施設なども支配し収入を得た。またSNSを使って戦員を集めた。しかし、2019年には米国の参戦もあり、シリアも奪還。トップも討ち取った。ただ、戦闘員が未だ残されているのは事実である。

    ・アルカイダの作戦方針
    アラブ諸国の政権や米国、世界経済を攻撃する手法として石油に重点が置かれた。

    ・石油の価格について
    石油は生産しようと思えば供給過多にでき、現に2014年には急落した。しかし、その後OPECプラスによる減産の合意が取られ、2016年に上昇に転じた。しかし、2018年トランプが石油価格の上昇を拒んだり、米中の貿易戦争により石油価格は下落に転ずる。

    ・中東とロシアの関係
    ロシアはサウジアラビアやイラン、シリアなどと対話ができた。サウジアラビアにとっては、ロシアは米国との関係悪化に対する防衛手段になったり、イランとの対立でも利がある可能性があった。OPECプラスにより2016年には石油価格の下落を防げた。

    ・新型コロナウイルスと石油生産量
    自国が減産し、他国が減産しないとシェアを奪われる可能性がある。また新型コロナウイルス蔓延当初、ロシアなどは米国のシェールのシェアを取るいい機会だと考えていた。しかし、マイナス価格などの懸念もあり、皆の減産で合意した。

    第五部 自動車の地図

    ・電気自動車
    ・自動運転車
    安全・安心・プライバシーをめぐる議論に加え、連邦政府と州政府の役割分担を決める議論もある。
    ・ライドヘイリング
    ・目指す世界は、事故ゼロ、排出ゼロ、渋滞ゼロ

    第六部 気候の地図

    ・太陽光発電のシェアについて
    現在7割が中国で生産され、原料のポリシリコンの生産に関しても6割を占める。

    ・将来のエネルギー構成
    →太陽光、風力、水力などが増えるだろう。安定供給の観点から蓄電池も気になるところ。

    ・現状を打開する技術
    →現時点では、実質炭素ゼロへのエネルギー転換を進められる技術はない。しかし、可能性が高いものはある。
    貯蔵とバッテリーの技術、改良型原子炉・小型原子炉、水素、3Dプリンター、建築技術、送電網の近代化、CCUS技術、DAC。

    ・途上国の現状
    電気のない暮らしを送る人が10億人。近代的な調理用器具が使えない家に住む人が30億人。この30億人は薪や炭などを家で燃やし室内大気汚染に晒されている。

    ・インドのエネルギー革命
    LNGを増やしたり、太陽光の開発を行なっている。目指しているのは、「天然ガスを基盤にした経済の先駆けになること」

    ・温室効果ガス対策の影響
    エネルギーの生産や輸送や消費のあり方、戦略や投資も、技術もインフラも国家間の関係も変わり続けるだろう。異業種の企業間で提携や競争が顕著になる。

    ・途上国の成長
    ここ20年の石油消費量の増大は、途上国によるもの。人口と所得が増加している。

    ・石油の将来の需要について
    コロナ前に1億バレルだった消費量は、2030年代半ばにピークを迎え、2050年には1億3000バレルになると予想されている。思い切った施策が実施されても6000万〜8000万バレルにしか下がらないとされている。

    ・鉱物資源に関して
    太陽光発電わ電気自動車が普及するほど、必要な鉱物資源を確保する必要が生まれるだろう。需要の増大に伴っては、鉱物安全保障とでも呼ぶべき、サプライチェーンの構築が大事になる。

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    2023年04月03日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    素晴らしい本で、ぼやっとしていた資源の事情についての解像度が格段に増します。
    国ごとのトピック、資源ごとのトピック、歴史に着眼点を置いた展開など、ストーリーをベースに読み解ける。
    必携の本と思いました。

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    2023年04月02日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    ー 以来、技術とイノベーションはエネルギー転換の要因になってきた。そのためには着想や発案から技術やイノベーションが生まれ、さらにそれらが最終的に市場へといたる必要がある。これは必ずしも短期間で起こるわけではない。エネルギーはソフトウェアとは違う。現に、リチウムバッテリーが1970年代半ばに発明されてから、路上を走る車に使われ始めるまでには、30年以上かかった。近代的な太陽光や風力の産業は1970年代初めに誕生したが、規模が拡大し始めたのは2010年以降だ。しかし、デジタルから新素材や人工知能、機械学習、さらにはビジネスモデルなどまで、イノベーションのペースは、関心の高まりとともに加速している。背景には、気候対策や政府の支援もあれば、投資家の判断、異分野の企業やイノベーター間の協力、技術や能力の収斂もある。

    何がいつ起こるかは、関わる者の才能や、開発を支える資力、真剣さ、困難に負けない気力、創造性の豊かさにも左右される。イノベーションからは、破壊的なものであれそうでないものであれ、新しい技術が生まれ、それによってエネルギーと地政学の新しい地図が形成されることになるだろう。しかし地図は直線的に進む未来を保証するわけではない。ある程度の頻度で、思いもよらぬ妨げに見舞われ、そのつど進路変更を余儀なくされることは間違いないだろう。シェール革命も、2008年の金融危機も、アラブの春も、2011年の福島の原発事故も、電気自動車の復活も、太陽光のコストの急落も、世界的な大流行を引き起こす感染力の恐ろしく強いウイルスの出現と経済の暗黒時代も、米国の政治を揺るがした2020年の大規模な抗議行動も、予期せざるものだった。

    しかし、予期でき、備えられる妨げもある。わたしたちがそれによって具体的にどういう道を進むことになるかまでは描けないとしても、はっきり「見えている」ものもある。1つには気候をめぐる困難の数々がそうだ。しかしそれだけではない。緊張が高まり、分裂が進む世界秩序においては、国家間の衝突もそうだと言える。 ー

    ウクライナ侵攻の前に出版された作品だが、世界で起きている資源戦争の今が分かる作品。

    僕たちアラフォー世代は10代の頃に『沈黙の春』を読み、環境問題に向き合わなければならないと教育を受けてきた。にも関わらず、その後の30年間、ほとんど何もして来なかった罪は重たい。

    そして僕たちは来年40歳になる。次の25年で何を実現出来るのか、それが2050年の未来の姿を決める。そう考えると、僕たちの年代の責任が非常に重たいのがよく分かる。

    僕たちは本来は、世界を変えなければならないのに、日々の小さな仕事に振り回されているのはいったい何故なんだい???

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    2022年12月03日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    『これまでの20年以上、ウラジーミル・プーチンは大統領として壮大な「国際的事業」に取り組んできた。それは旧ソ連諸国をまたロシアの支配下に置くことであり、ロシアを世界の超大国として復活させることであり、新しい同盟関係を築くことであり、ひいては米国を押し返すことだった。どれほどロシアに原因があるかは別としても、プーチンの思惑にかなった結果になっていることは間違いない。北大西洋条約機構(NATO)の分断しかり、EUの分裂しかり、米国の政治の混乱や、醜悪さや、二極化しかりだ』―『第9章 プーチンの大計画/第2部 ロシアの地図』

    自分がこの業界---ここで少し長めの無駄話になるのだけれど、石油業界(あるいは石油会社)というと、日本では一般的にガソリンスタンドやサインポールを出している石油元売りの業界(あるいは会社)というイメージが強いけれど、欧米ではむしろオイル・インダストリーと言えば石油を生産する方の業界を指すことが多いんだよね。いわゆる業界の川上(=上流)側を指している訳で、これが無いことには川下もない訳だから。石油という言葉をお堅く訳せば実はOilじゃなくてPetroleumだけど(これはむしろ原油(=Crude Oil)と同義)上流も下流も含めた業界の意味だとPetroleum Industryが使われる印象。そして石油には原油と天然ガスが含まれる。ついでに言うと20年くらい前までは天然ガスはおまけ(というかハズレ)だったのが、最近はOil CompanyじゃなくOil & Gas Companyというのが一般的になったくらいガスも商品として価値が認められるようになった(それも今後変わるだろうけど)。なんでこんな話をするかと言えば、今の日本人のほとんどは石油が輸入出来て当たり前だと無意識に考えていて、石油が戦略物質だということに中々ピンと来ないから。皮肉なことに戦前の軍部はそのことを確り理解していた---に入りたての頃、世の中ではまだセブン・シスターズという言葉が実態を伴って存在していた。なので、最初の海外赴任の頃に出版されたダニエル・ヤーギンの「石油の世紀」は、まだ駆け出しの自分には業界の歴史と共に暗黙のゲームのルールのようなものを知る絶好の教科書だったことを覚えている。

    そのヤーギンの最新作「新しい世界の資源地図」は、米国、ロシア、中国、そして、中東という、どの国にとっても石油資源戦略上外して考えることの出来ない基軸において過去30年程の間に起きた大きな変化を概観し、更に自動車、気候問題という観点から近未来の方向性を占って見せるという大著。「石油の世紀」の続編との位置付け(「探求」は飛ばしてもいいような気がする。気候変動を気候危機と同義語と捉える向きには逆なのかも知れないけれど)であるが、後半の2つのカテゴリーについては現在進行形の部分が多く、明確な視座を提供するという訳ではない。元々著者の得意とすることは飽くまで複雑に絡み合った事象の背景にありそうな、全体を統制するかのような要因(あるいは物語)を見い出すことで、未来予想をすることではない(というのは言い過ぎかも知れないけれど)。それに、やはり四地域に関する洞察こそヤーギンの面目躍如という感じがする。

    『もっと若い補佐役たちの考えは違った。「アラブの春」の盛り上がりに感激し、フェイスブックやツイッター世代に共感を覚えていた。聴衆の心を掴むオバマの演説の力を信じていた彼らは、ムバラクの追放を躊躇しないよう大統領に直言した。「歴史の正義の側」に加わるべきだ、と。「しかし、どちらが歴史の「正しい」側で、どちらが「誤っている」側なのかは、誰にもわからないのではないか」と、ゲイツはのちに書いている。「希望と理想主義によって始まった革命のほとんどが、抑圧と流血に終わるのだ。ムバラク後に何が起こるかは、誰にもわからない」』―『第4部 中東の地図/第31章 対決の弧』

    米国のシェール革命、ロシアの天然ガス資源開発、そして中国のエネルギー需要の増大と地政学的平衡感覚、どれもセブン・シスターズ後の世界での大きな変化であり、ヤーギンの考察は、その時代を同時並行で走って来た身には尚更、なるほどと思わせるところがある(もっとも、そもそも岡目八目とも言うし、並走している限り歴史的な流れは見え難いというのは世の常だし、実は個別の小さな動きの背景にあるものが個々の決断全てを論理的に決定している訳でもないと思う。歴史とは、結局のところ過ぎたものを顧みて総括する以外、把握することは困難なものなんだと思っておいた方がよい、と個人的には思う)。けれど、やはりエネルギーの供給を考える上でどうしても外せないのは石油であり、それが中東地域に偏在しているという事実から目を背けることはできない。本書の各段落に費やされている頁数を比較してみても、米国(72pp)、ロシア(67pp)、中国(65pp)、中東(166pp)、自動車(58pp)、気候(53pp)と圧倒的に中東に割かれた頁が多い。資源量の偏在に加えて、宗教、民族、いわゆる国という単位の成り立ちのどれもが一筋縄では捉えられない複雑さを有していて、尚且つ、その変化も激しい地域であるのだから仕方がないと言えばないのだが、そこに、欧米露の思惑も入り乱れているので尚更だ。そして更にそこに加わる中国の一帯一路。この地域において白地図を塗り分けるようなヤーギンの考察も現時点では合理的なものと思えるけれど、未来については必ずしもその合理性の延長にある訳ではない。

    『移行はどれくらいの速さで進み、どのような影響を及ぼすだろうか。予測には大きな幅がある。IHSマークイットのシナリオによれば、世界の電力消費は2040年までに最大60%増える。その時点で、風力・太陽光が全発電量に占める割合は24%から36%になると予想されている。どちらにしても現在の7%からは大幅な上昇になる。予想に開きがあるのは、容易に想像がつくとおり、技術や発明、政策や経済の未来については、どうなるかわからず、さまざまな想定がなされうることによる』―『第43章 再生可能エネルギーの風景/第6部 気候の地図』

    例えば、IHS Markitという会社は、少し前にファイナンス情報を提供するMarkitと合併する前までIHS(Information Handling Service)という会社で、石油業界の情報提供会社としてはもう少しシンプルな会社だったし、そのIHSだって石油部門に関してはCERA(Cambride Energy Research Associates。ヤーギンが設立)を買収したことで単なる情報サービスから脱して業界の雄であったWood MacKenzieと肩を並べるシンクタンクのメインストリームに出てきたという印象。そもそもその前はもっとシンプルな探鉱情報(いわゆるスカウト情報とマップ)を提供する業界的には最大手だったPetroconsultantsという会社を買収して参入して来た部外者的会社だったという印象が未だに自分には残っている。そういう栄枯盛衰を傍で見てきた身としては、業界の常識が変わるのは本当にあっという間ということを忘れてはいけないと思うこと頻り。例えば、どんな類の開発にも付き物であるHSE(Health-Safty-Environment)だって、20年くらい前までは工事現場的な単純なHSだったのが、今やSHSE(Social-HSE)と社会的責任も負わなければならない立場を操業者に課すこともある。けれど、例えばアフリカ東岸に於ける開発で負わなければならない社会的な責任とはどこまでの範囲を含んだものなのか。その国の資源に対する適切な開発はもちろんのことだが、貧困救済までも考慮した地域の活性化策も含むのか、はたまた地域間の貧富の差の解消策も含むのか、民主的な為政者の支援策も含むのか、と考えだせば切りがないし、より問題は複雑になる。だから単純な物語というのは本当は存在しない、とどうしても思ってしまうのだ。

    ヤーギンの本はいつも大部で読むのが一苦労という感じだけど、歴史書的な記述で混沌とした社会情勢の変化などを筋立てて語るので、判り易いと言えば判り易い。でも、例えば日本史における司馬遼太郎の「創作」のように少し判り易くし過ぎているところもあるのだろうと思いながら読んだ方がいいようにも思う。

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    2022年05月06日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

     中央アジアにあるカザフスタンの首都、ヌルスルタン(旧アスタナ)は部分的に新しい都市だ。シベリアから冷たい風が吹き付けてくる、冬の寒さが厳しい都市で、旧地区は、ソ連時代、ツェリノグラードというまた別の名で呼ばれていた。僻地にある活気のない都市だったが、カザフスタンが独立を果たしたときに新しい首都に選ばれた。
     新地区には高層ビルが立ち並び、世界的に有名な建築家によって設計されたきらびやかな近未来都市の街並みが広がる。そのような都市開発が可能になったのはひとえに、1991年の独立以来、外国からもたらされている石油収入の増大のおかげだ。カザフスタンは中央アジア諸国の中で最もグローバル経済との統合に力を入れてきた。首都には、金融ハブにする目的で建設された、英国の商法を準拠法にするアスタナ国際金融センターがある。石油資源も、中央アジアのどの国よりもはるかに豊富で、おかげで中央アジアで最も裕福な国になっている。


     多くの国は中国からの投資を欲し、新しいグローバル経済に加わりたいと考えている。中国主導の 「グローバル化2.0」から取り残されたいとは思っていない。しかし同時に、自国の行動の独立も確保したいので、ロシアや米国との関係を使って、中国の影響力の増大とのバランスを取ろうとするだろう。米国が世界で最も重要な経済大国であり、安全保障上、きわめて重要な国であることは今も変わらない。
     ただ、その一方で、米国は世界の問題から手を引きつつあると、多くの国に見られている。米国が将来、どういう行動をとるかはますます不透明になっており、もはや以前のように信頼できない、と。 これが中国との関係を深めることに魅力を感じる理由になっている。中国のある政府高官が「米国の撤退は我々にとってありがたい」と述べているゆえんだ。
     しかし一帯一路の莫大な資本投下は米国政府に行動を起こさせた。トランプ政権が発足したとき、政府機関の整理縮小リストには、ボリティカルリスク保険(現地の政治的理由による損害を補償)の提供を通じて米国企業の海外投資のリスクを軽減する政府系機関である海外民間投資公社 (OPIC)が入っていた。しかし結局、このOPICをほかの機関と統合する形で、海外のインフラ投資を目的とする米国国際開発金融公社が設立された。融資能力は、600億ドルが予定されている。これは中国のシルクロード基金とほぼ同額だ。


     OPEC最大の産油国サウジアラビアと、主要な産油国の1つであるイランとの現在の争いは、どちらが中東の地図において優位に立つかの闘いだ。それは宗教や、イデオロギー、国益の衝突という形を取り、覇権への意欲によって支えられている。この争いは石油と不可分に結び付いているので、 影響は世界にも及ぶ。
     イラン、サウジアラビアともに相手を罵ることをやめない。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師がサウジの王族を「傲慢と植民地主義の罪深い偶像」「愚か者」「米国人の乳牛」と蔑めば、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王子(「MBS」の通称で知られる)は、ハメネイ師を「世界征服を企む中東のヒトラー」と呼び、「中東で問題が起こると、必ずその背後にイランがいる」と批判する。


     ISISは100年の歴史の中から登場した組織だ。その歴史は、イスラムによる国民国家の拒絶に始まり、オスマン帝国の崩壊、欧州による統治、世俗的な世界と現代的な文化、第一次世界大戦後の国境線の設定、忌むべき指導者への反発によって、育まれてきた。


     2011年から2013年までの3年間、原油価格は信じられないほど安定していた。1パレル当たり100ドル強だった。前の10年よりおよそ5倍も高かったが、世界は新しい価格に慣れていた。
     この「新常態」にもとづいて、・ にもとづいて、各国政府は予算を組み、企業は事業に資金を投じた。この価格がさほどノーマルなものではないことがわかると、石油産業は激震に見舞われた。各国はその衝撃に動揺し、 価格危機の中から新たな地政学的な提携の動きが生まれた。
     しかし驚くべきは、原油の世界的な供給網が混乱をきたし、不安定化しているときに、原油の価格が3年間も安定していたことだ。その理由は偶然、それを埋め合わせるものがあったおかげだった。
     米国の産油量を急増させたシェールオイルだ。ただしその増加分は、ほかの産油国による供給の中断や停止で相殺された。リビアでは、国営石油会社の会長が自社を「崩壊同然の状態」と述べているほどだったし、ナイジェリアでは、武装勢力がパイプラインを破壊していた。ベネズエラでは、「21世紀の社会主義」を標榜するウゴ・チャベスによって築かれた政治体制が、チャベスやその後継者ニコラス・マドゥロのもと、経済的・人道的な大惨事をもたらし、その影響で産油量が急減していた。イランの輸出量も、核兵器開発に対する制裁措置のせいで大幅に減った。これらの減少分を補ったのが、米国のシェールオイルの増産だった。ただし、それはしばらくのことだった。


     ベネズエラは世界最大の石油確認埋蔵量を有する。重質油なので、その分、生産コストが高いが、 確認埋蔵量はサウジアラビアをも上回っている。ところが石油産業への投資は枯渇し、有能な経営者は国外に追放され、国営石油会社には必要な作業や技術に支払う金がなかった。そのうえ、マドゥロ政権は石油産業を軍の管轄下に移した。およそ500万人の国民が、極度の貧困と飢えと暴力の苦しみに耐えかね、国外に脱出していた。それもたいていは歩いてだった。


     数年前であれば、世界の石油産業の中心でこれほど甚大な被害が発生すれば、世界の市場にパニックが広がって、原油価格はうなぎのぼりに高騰していただろう。しかしこのときに目を引いたのは、 価格が上昇したことではなく、価格がさほど上昇せず、すぐに攻撃前の水準に戻ったことだ。これは 1つには、サウジアラビアが在庫を取り崩すとともに、国内の製油所への供給量を減らすことをただちに明らかにしたからだった。壊された施設の修復も早急に進められた。加えて、世界の石油在庫も多かった。
     またもう1つ、数年前との違いを生んだのは、急増し続ける米国の産油量によって世界の石油市場の需給バランスが保たれたことだ。シェールは世界の石油市場を根底から変えただけではなかった。 世界市場の心理をも根底から変え、人々に新しい安心感を与えていた。


     言い換えると、少なくとも今の段階では、太陽光と風力は独力ではやっていけないということだ。パートナーが要る。太陽光と風力のよきパートナーになるのは融通が利く天然ガス発電だ。天然ガスは低炭素で、温室効果ガスの排出が少ない(メタンの排出を制御すれば)。風力や太陽光の出力変動に合わせて、天然ガス発電の発電量を増やしたり、減らしたりすれば、電力量を一定に保てる。
     電源に再生可能エネルギーを組み込もうとするときには、送電網の管理もいっそう複雑になる。ここに第2の難題が関わってくる。貯蔵の問題だ。石油なら、タンクに貯蔵できるし、天然ガスも地下に貯蔵できる。しかし、今のところ、数時間はもちろん、元エネルギー長官アーネスト・モニツが言うように、数日間、大量の電気を蓄えておく手段はない。現在唯一、注目される手段としては、水力発電の一種である「揚水発電」がある。しかし規模が小さく、成長も限られている。
     電力系統に使える蓄電池、すなわち規則的に放電できる電気を大量かつ経済的に蓄えておける蓄電池の開発に、現在全力が注がれている。

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    2026年04月11日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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     本書で論じられるのは、「地政学とエネルギー分野の劇的な変化によってどのような新しい世界地図が形作られようとしているのか、またその地図にどのような世界の行方が示されているか」である(序論より)。

     第1部では、アメリカにおけるシェール革命の進展とその影響が説明される。シェール革命によってアメリカは石油と天然ガスの世界最大の生産国になり、輸出国にもなった。世界のエネルギー地図を激変させ、世界の地政学を塗り替え、新たな影響力、強化されたエネルギー安全保障、選択の幅が広がった外交政策など、米国の立ち位置を変えた。
     第2部では、エネルギー大国であるロシアについて、その強さと共に、石油と天然ガスの輸出に依存する経済面における弱みについて叙述されるが、とりわけ不透明な先行きとしてウクライナとの関係について懸念が示される(本書はウクライナ侵攻前の著作であるが、ウクライナがロシアとヨーロッパのいずれを向くかという問題が大きかったことが分かる)。またプーチンが中国に近づく「東方シフト」を進めており、結束した中ロ政府が「完全な主権」を主張し、米国の「覇権」に異を唱えていることを説く。
     第3部は、経済力と軍事力を飛躍的に伸長させている中国についてである。ほぼ全域にわたって中国が領有権を主張している南シナ海が、周辺諸国と争いになっており、また米中の戦略上の対立が最も先鋭化している場所であること、中国製品の市場と必要なエネルギーや原材料を確保することを目的とする「一帯一路」構想が、経済的な企てなのか、中国主導の新秩序を築こうとする地政学的な企てなのかなどについて、多角的に論じられる。

     第4部は中東について。中東の主なプレイヤーであるイラン、イラク、サウジアラビア、加えてシリアやヨルダン、イエメン、アラブ首長国連邦、バーレーン、イスラエル、そして米国といった国々がどうして対立しているのか、スンニ派とシーア派、資源である石油を巡る争いなどの事情について、その歴史的経緯や「敵の敵は味方」のような複雑な関係が簡明に叙述されていて、とても勉強になった。

     第5部は、電気自動車、ライドヘイリング、自動運転といった新しい動きが、どのように自動車産業とエネルギー事情を変えていくか、第6部では、気候変動とエネルギー転換の将来が論じられる。地球温暖化対策がどのように進むかはかなり各国の姿勢、政策によって変わってくると思われるが、特にトランプ復活によって米国の取組がガラッと変わりそうなので、各国の足並みが揃うのかかなり心配だ。

     経済活動や日常生活に欠くことのできないエネルギーとその背後にある複雑な国際情勢について、最新の満載した情報を分かりやすく提供してくれており、お勧めの一冊だ。
    (しかし、第5部の自動車のところにトヨタがちょっと出てくるくらいで、日本に関する叙述はないに等しい。エネルギー資源の問題について日本のプレゼンスがないことを痛感させられる。)

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    2025年01月21日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    2007年を基準にすると、2019年の米国の赤字額はシェール革命がなかった場合より、3090億ドル低かった。
    シェール革命により石油天然ガス業界全体では雇用数は米国内で1230万人にのぼった。

    中国のエネルギー消費は全世界の25%近くを占めている。
    全エネルギーに対する割合は60%近く。米国は11%

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    2024年09月04日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    なんかすっげースラスラ読めるけどぶっちゃけ全然アタマに残ってねえ。
    タイトルの和訳に配慮というか苦労が見えた。

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    2024年04月05日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    地政学が流行った時期に見つけて購入。アメリカのシェール革命、ロシア、中東、中国のエネルギーを巡る情勢がNHKのドキュメンタリーのように克明に描かれている。事実の羅列ではなく実在の人物の言葉や行動と共に綴られており臨場感がある。中東の情勢に疎かったのでこの本でだいぶ勉強になった。

    一方で気候の章は自分の専門に近いからか知っている話が多くやや物足りなさもあった。

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    2024年01月06日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    2023年5冊目。満足度★★★★☆

    「米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家」による世界を読むとく書の最新刊

    500ページを軽く超える厚さに、怯みそうになるが、毎日少しずつ時間をかけて読み終えた。

    本書を読めば、エネルギー、気候問題や地政学の今に関する基礎的な知識を得られるであろう

    私には第4部「中東の地図」の箇所が、知識不足のためか読むのが辛かった。

    アメリカのエネルギーに関する状況が、10年くらい前と今では「様変わり」していることが印象に残った

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    2023年02月03日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

    Posted by ブクログ

    米国のシェール革命がエネルギーを取り巻く地政学上のパワーバランスを一変させたことがよく分かる1冊だと思う。中東の複雑な歴史については改めて勉強が必要だと痛感した。

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    2023年01月01日