ダニエル・ヤーギンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
エネルギー安全保障を軸にアメリカ、ロシア、中国、中東のキープレイヤーたちの思惑が見て取れた。
アメリカでのシェール革命はそれまでの石油市場のパワーバランスを大きく変え、経済力に圧倒的な影響を与えている。
ロシアは天然ガスを人質に取っている。
中国はシーパワーを手に入れるべく南シナ海を改造し一帯一路を張り巡らす。
中東はオイルマネーを持て余し発展に活かせていない。
そのような中、地球環境の持続性が喫緊の課題となり化石燃料の扱いを巡る先進国と発展途上国に大きな溝が生じている。
クリーンエネルギーへの傾斜が一時的であれ高負担を強いることに世界はどこまで耐えられるのか。
コロナやウクライナ -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本には、地政学とエネルギー安全保障の変化によって、世界がどうなっていくかが書かれている。
舞台となるのは、4つの国と地域。アメリカ、ロシア、中国、中東だ。エネルギー安全保障において、現状最も重要なのは、石油と天然ガスの確保である。アメリカでのシェールガスとシェールオイルの発見は世界のバランスを大きく変えてしまった。
そして、今後のエネルギー安全保障の鍵となるのが気候変動への対策(カーボンニュートラル)になる。めちゃくちゃとも思えるくらい高い目標が設定されているが、これを達成させるための3つのキーワードがある。1つ目が炭素回収、2つ目が水素、3つ目がバッテリーだ。この3つの技術革新が求め -
Posted by ブクログ
【感想】
本書はエネルギー問題を扱う専門家、ダニエル・ヤーギンによって書かれた「資源をめぐる地政学」の本である。原書が書かれたのは2020年9月とかなり新しく、アメリカ、ロシア、中東といった巨大産油地域の最新情報はもちろん、電気自動車や気候変動といった、エネルギー関連業界の動向まで余すことなく網羅している。まさに「新時代の地図」と言える一冊だ。
エネルギーが国際政治上の武器として扱われた例といえば「第4次中東戦争」であるが、そこから50年近く経った今でも、石油をはじめとする「資源」は常に大国間で緊張を生み出し続けている。
そのエネルギー業界に、近年大きなシフトが起きた。「シェールガス革命」で -
Posted by ブクログ
温室効果ガス実質排出ゼロに向けて、急激な変化を目前にする今、踏まえておくべき世界情勢。
・アメリカのシェールガス、シェールオイルによる輸出国化
・中東依存の低下、世界の警察の必要性低下
・欧州へのLNG輸出、エネルギー地図の変化
・ロシアとウクライナとのパイプラインを巡る紛争、ウクライナの西側シフトと戦争の予感
ロシアの欧州パイプラインとEU各国の思惑、米国の制裁、復元力
・欧州のLNG基地建設による相対的地位の低下
・北極圏LNG開設による東方シフト、多様化
・2014年に購買力平価GDPで中国が世界一位
・東シナ海を巡る米中対立(資源次第で重要性が変わり得る)
・一帯一路(BRI: -
Posted by ブクログ
ネタバレエネルギーと地政学について。大部だがテーマごとに区切られており読みやすい。
・供給者として、OPECはもはや重要ではない。産油国としては米国が一位、次いでロシア、サウジの順番になっており、これがビッグスリー。中東はその莫大な埋蔵量と生産量の調節が可能なため、輸入国にとっては今後の重要。
米国ーシェール革命の影響
ロシアーガスのパイプラインを通じた欧州との関係
中東ーイラン(シーア派)とサウジ(スンニ派)の盟主争い
というのが3つの柱。
また、これまで見込みがないと考えられていた東地中海でもイスラエル領で巨大なガス田が発見され、今ではイスラエルもガスの輸出国となっているなどエネルギー資源の発