熊谷はるかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
当時のタイムリーで最も新鮮なインド情勢を、
女子高生らしい鋭敏な五感を駆使して
色とりどりに綴っている。
その筆致は大人顔負けで、もし私が同じようにインド帯同を経験したとしても、ここまで鮮明に描写することはできなかっただろうと思う。
それぐらい、熊谷はるかさんのアンテナの鋭さと、探究心の強さが感じられた。
おそらく彼女のご家庭は一般的に『恵まれた』環境にあり、インドの痛烈な『カースト制度』や『ストリートチルドレン』の現状とは程遠い。
彼女も作中で、
「この国で起きていること、と呑み込むにはあまりに自分から遠すぎて、ただ聞くことしかできない。目の前の彼女の話に「こわい」と思うその感情があまりに客観的で、テレビニュースで聞く物騒な事件に一視聴者としてこわがるのと何ら変わりがなかった」
と語っている。
「こわい」と思うその感情かあまりに客観的だ、
という文章にハッとさせられた。
まだその時点では他人事に過ぎないのだと。
ただここで筆者が強いのは、
通っているインターナショナルスクール内の交流に留まらず(校内の世界が氷山の一角に過ぎないことを常に理解している)、クラブ活動を通して校外の同世代と触れ合う機会を自身の意志で掴み取っているところ。
コロナ禍になり志半ばで帰国せざるを得ず、
不甲斐なさに悔しむ筆者の最後のページが
最も印象的だった。
「ただ、来て、帰る自分がひどく無責任に、残酷に思えた。思い出なんていうお土産だけを増やして、結局わたしだけ「豊か」になって、帰っていく。なにも変えられず、自分だけ変わって、満足?
そう一秒でも長く、自分に言い聞かせていたいのに、この車窓から見えるインドの景色を心
に焼き付けていたいのに、視界をさえぎって溢れる涙が邪魔だった。
この涙を、ここに流していってはいけない、と思った。三年前に潜り、何度も呑まれてきた
インドというこの河に。
なぜなら、涙が、しょっぱかったから。
三年間の末に、はじめてインドを想ってこぼれる涙は、もう、この河の味ではなかった。
いま、わたしは河口に立ち、淡水から海水へと移るのだ。
「変えられなかった」というしょっぱさを、くやしさを、連れて。
「変える」方法を探すために、この河の流れに背を押されて。
インドという河から、いま、海へと航る」 -
Posted by ブクログ
17歳とは思えぬ文章力
前半はインドの食文化や交通事情や、インド人との交流を面白く描く。
あちこちで鳴り響くクラクション音、揚げ物の油と複雑なスパイスと甘すぎるスイーツやらが混ざり合った匂い、あぁ、これこれ、インドの路上だよなーって思い出させてくれます。
ほうれん草とカッテージチーズのカレー、本場のナン、クレープを思わせるドーサ、MIZUTAKI SOUPと、食レポがうますぎる。
マーケットの店にはレジがない事、そして手書きレシートなのね。ターバンおじさんインド人は人口の2%ほど。
後半はボランティア活動を通して、インドの社会問題を目の当たりにする著者。ストリートチルドレン、スラム街に暮らす子供との交流。私も確かに感じた、インドでの貧しい人々に対する感情。どうしていいのかわからないからと、見て見ぬふりしてしまったこと。10代の感受性でインドを体験できたことは、きっと彼女の一生の宝になるだろうな。そして、これだけの観察眼、吸収力と表現力があるのだから、今後のご活躍にも期待してます。 -
Posted by ブクログ
インドでのJKの失敗談でも読んで笑って正月を迎えようと手に取ったのですが、なかなか真面目な文章でした。
出版は2021年12月。著者の熊谷はるかさんがインドに住んでたのは2018年から2021年、14歳から17歳にかけての3年間です。
前半こそ日本とインドのギャップにあたふたするエピソードが盛り込まれますが、後半は著者本人があとがきでも書いている通り、「子ども」でも「おとな」でもない10代中盤のみずみずしい感性と青くさい正義感が爆発しています。
こういったアイデンティティの形成が進む時期に多様な刺激を受け入れることは大切ですよね。まぁインド滞在はショック療法が過ぎるとは思いますが、、、おもしろかったです。