五十嵐杏南のレビュー一覧
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「まずは人を笑わせ、その後考えさせる」をコンセプトとした科学の祭典、イグノーベル賞の中から、特に著者が面白いと思ったものを選んだ本。紹介される研究は、「いつか何かの役に立つ!?」「風変わりな大発見」「生き物の不思議な生態」「研究者はやってみた」「極めてピュアな好奇心」の5つに分類されている。心なしか、前半の方が面白半分な感じの並びで、後半に行くにつれて、割と真面目なものがちょくちょく増えてくる印象がある。そもそもイグノーベル賞自体が面白いので、どれも面白い。4〜6ページくらいに、コンパクトにまとまっているので、隙間時間にちょっと読むのにもちょうどよかった。
一見ふざけているような研究課題でも、その研究としてのプロセスは、大真面目なものなので、笑って楽しみつつ、研究ってこういう風にやっていくんだなということもわかって、ちょっと知的になった感がある。読みやすいし、実は、どんなことをしているのかよく分からない「研究」ということの雰囲気を知ってもらう意味でも、子どもたちに読んでもらいたい。
「その後考えさせる」というコンセプトの通り、本当に研究的、社会的価値のあるものもあるのが、面白い。「ゆで卵をちょっとだけ生に戻る方法」なんかは、製薬技術に応用されていたり、「ヤシの木の下で寝てはいけない」などは、実際に、ヤシの実による事故死が多くあったりなど、笑えないものもある。「マグネットでカエルを浮かばせてみた」で受賞した研究者は、別の研究ではノーベル賞を受賞していたりと、研究という営みの懐の深さと面白さがよくわかる。何でも、真面目に追究すればすごい、ということがよく分かる本だった。 -
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ネタバレ平社員がよく仕事ができて昇進するとする。そこで能力が発揮できないとその先に昇進できず落ち着くがそこでも有能だとまた別のフィールドに行く。そうやって組織で有能な人を昇進させ続けると無能になるまで場所を変え続ける。そうして組織全体が無能な人で蔓延するとするピーター仮説が逆説的で面白かった。そうの趣味レーションをしたら有能社員を昇格させるよりランダムに昇格させるのがベストっていう結果が出たらしい笑。まぁ実際はモチベとかの話もあるからそんな簡単な話ではないやろうけど。
3、4回転もするハンマー投げより一回転半しかしない円盤投げの方が目が回らないってのも面白いな。要は視点の固定と頭と体の動きが一致してるかどうかが酔いに影響するらしい。やから酔わんようにするには、頭と体固定して視点も固定するのが良いらいしい。 -
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イグノーベル賞はおもしろいテーマであり、本書を読む前は興味はあるけれど断片的な情報しか知らないという状態だったため、体系的に知識をつけたくて読んだ。
イグノーベル賞の話題では表彰の研究に注目されることが多いが、賞自体の仕組みや運営もユニークでおもしろさがある。本書は賞自体についての説明も書かれており初めて知る内容も多かったため、自分でも同じようにおもしろい取り組みをしたいと思わされた。
研究の説明については短くまとめられており読みやすくはあるが、詰め込みすぎな感じもあって読解の負担が大きかった。説明が短く、なおかつ一般書として読めるように平易に書かれているため、理解を深めるのは難しい。
特に気になった研究は、72ページ「昇格させる従業員はランダムで選ぶと良い」と215ページ「股のぞきの効果を実証」の2つ。
2章くらいまでは精読して、読むのにダレてしまったので3章以降は拾い読みをした。 -
Posted by ブクログ
科学分野の話題を面白い部分だけピックアップして簡単に紹介してくれる1冊。
専門的な難しい話は一切抜きにして、イグノーベル賞受賞研究について数ページずつ書かれている。イグノーベル賞は日本人が受賞すると少し話題になったりもするが、あまり科学的意義については紹介されてないように思う。しかし本書は、短いながらもその研究の面白さだけでなく、その先の科学的意義についても書かれてあり大変興味深く読み進めることができる。
一見すると、こんなの研究してみてなんの役に立つのだろうと思うようなことでも、研究結果が実生活に役立っていたりする。本書で紹介されていた1例だが、バッタにスターウォーズを見せその脳細胞を研究するというものが、車の衝突システムに活かされていたりする。
本書は非常に分かりやすく平易な言葉で書かれているので、小中学生といった子供にもおすすめである。本書を読んで科学分野に興味を持つ子供が増えることを願う。 -
Posted by ブクログ
■はじめに
心斎橋パルコで展覧されている「イグ・ノーベル賞の世界展2022」が非常に面白かったので、他の研究や授賞内容についても知りたくなって本書を読んでみた。
ノーベル賞に代表される科学に対する一般的なイメージは、意味のよくわからない数式や化学式など用いられた、日常生活と無縁なものとして敬遠されがちだ。
本書はそんな堅苦しい科学とは対照的に、世界中で真剣に取り組まれている面白い研究を、科学的素養のない読者にもわかりやすく楽しく読ませてくれる。
過去にイグノーベル賞を受賞した研究内容が、40講にまとめられており、一つ一つがちょうど読みやすいボリュームなので、暇な時に気になったテーマから読んでみるのも良いだろう。
■イグノーベル賞はクールで面白い
イグノーベル賞とは、「まずは人を笑わせ、その後考えさせる」をモットーに、1991年から開催された科学の祭典だ。
実用的な研究や一風変わった実験、社会的事件などを起こした個人やグループに対し、笑いと賞賛を、時には皮肉も込めて授賞する。
例えば、2020年はアメリカ合衆国元大統領ドナルド・トランプ氏を始めとする世界の首脳の一部に、「医学教育賞」が受賞されたのだが、その理由が「新型コロナウイルスの大流行を利用して、医師や科学者よりも政治家の方が人々の生死に影響を与えることを世界に知らしめた」という痛烈な皮肉だった。
なぜか日本人は毎年受賞の常連となっていて、イヌの気持ちを教えてくれる「バウリンガル」や、「カラオケ」の発明などで選ばれており、実は科学の世界にもクールジャパンは潜んでいる。
受賞者は、イグノーベル賞を創設したマーク・エイブラハムズ氏率いる委員会が選定する。
世界中の誰もが推薦することができ、自己推薦も可能だが、その場合はほとんど受賞することはないみたい。
あと、授賞式への旅費は自腹らしい。
(主催者が貧乏だからとのこと)
受賞者にはスピーチする時間が与えられるが、制限時間の60秒を過ぎると8歳の女の子“ミス・スウィーティー・プー”が登場し、「Please stop! I’m bored!(もうやめて!飽きた!)」と連呼してスピーチを遮ってくる。
これは「8歳の少女に罵倒されると一番傷つくという研究に基づく」からと言われているそうだが、公式な理由かどうかは定かではない。
賞品は毎年変わるが、大抵は謎のオブジェ1つと、10兆ジンバブエドル(日本円で1円にも満たない)だ。
ちなみに、「イグノーベル(ignobel)」という言葉は造語で、ノーベル賞のパロディに加えて、「崇高さに欠ける」という意味の「ignoble」に由来している。
■誰でも楽しく試せる科学
受賞した研究内容の詳細は本書やイグノーベル賞展を見てもらいたいが、以下の研究が特に興味深く、笑わせてもらった。
・ポテチは音がするとより美味しく感じる
・ガスマスクとして使えるブラジャーの開発
・話が長い人を黙らせる機械の発明
・ジェットコースターで尿路結石が通る
・花粉症にはカップル同士のキスが効果的
・胎児に音楽を聴かせるなら膣の中から
・コーヒーをこぼさず歩くための方法
・バッタは「スターウォーズ」を観ると興奮する
・虫刺されの痛み指標を作るために自らハチに刺されまくった研究者
・ヤギになったデザイナー
・ネコは液体
etc.
他にも紹介したい研究が山ほどあるが、キリがないので気になる人は調べてみてほしい。
きっと気に入るテーマがあるはずだ。
意外と実生活で役に立つ内容も多い。
例えばポテチの音による味覚の変化の研究は、実際の飲食店でも利用されている。
海の幸を食べる時にさざ波の音を流すことでより美味しく感じさせたりするなど、食マーケティングの戦略としても活用されている。
また、コーヒーをこぼさず歩くための方法は、人混みの多い飲み屋やクラブで酒を飲む時にも案外役立ったりする。
もし尿路結石になったときは、ディズニーランドのビッグサンダーマウンテンの後方座席に乗ろう。
結構な確率で石がコロッと取れたりするし、予防にもつながるようだ。
■おわりに
実は俺も「ネコは液体なのでは?」と昔から考えていて、ネットでも一部話題になったりしていた。
それが実際に物理学者によって証明され、イグノーベル賞まで受賞していたのは、自分の考察が認められたようでとても嬉しかったのと同時に、「俺も同じことを考えていたのに!」と悔しい気持ちにもなった。
普段の日常生活で感じる疑問も、とことん掘り下げてみると、人々の役に立ち世界に認められる立派な「科学」になる。
こうした科学の精神や好奇心を大事にして、子どもにも伝えていきたい。