阿部修士のレビュー一覧

  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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     ミシェルらは、子供にとっての報酬となるお菓子が目の前に見えている状況と見えていない状況を、マシュマロテストで比較しました[19]。この実験の結果は明らかで、子供たちは目の前にお菓子が見える状況では、我慢することが困難になりました。その一方、見えていない状況では、以上待つことができることがわかりました。目の前に見えているか、そうでないか、たったそれだけのことで、子供たちが自制心を働かせることに大きな影響を与えたのです。
     この結果は当然のように聞こえるかもしれませんが、欲求をうまくコントロールする方法を身につける上では、きわめて重要な研究成果です。目の前に報酬があると我慢が効かなくなるのなら、

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    2025年01月18日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    非常に分かりやすく丁寧な本です。多くの先行研究を紹介しており、難しくなりがちですが、口語調で平易に書かれております。
    本書を読んで、本能や欲望に向き合うことがどれだけ難しいかわかりました。理性だけでは欲望を抑えることができないとわかりました。

    また哲学で有名なトロッコ理論を脳科学的にアプローチした話は、非常に納得できる内容でした。

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    2017年06月25日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    『ファスト&スロー』で有名になった二重課程理論を中心に、心理学×脳科学の領域で現在までに何がどこまで明らかにされてきているのか、さまざまな研究成果が紹介される。最近手にする人文書でたびたび参考文献になっていたので手にしてみたが、確かに意思決定、そして道徳や倫理といった哲学の問題に関心のある方の基本情報を押さえる一冊という感じ。

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    2024年08月19日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    ネタバレ

    自分も生きている経験則で、直感と熟考では使っている頭が違うなと思っていたが、論文からシステム1と2に分類して本書では論じていて、信憑性が高い情報であると感じた。

    導入は定義付けの面もあり多少論文チックであったが2章からはマシュマロ実験から子供でも取っ付きやすくなるわかりやすい実験をもとに話していて自分の感情を俯瞰するいい機会になる本ではないかと思った。

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    2024年02月15日
  • あなたはこうしてウソをつく

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    人がウソをつくときの状態(環境的な要因、心理的な状態、生理的な状態など)を明らかにしたいと考えている研究者による、ウソに関する考察、研究をまとめた本。

    ウソに関する研究手法としては、以前は、人間の行動を観察する実験デザインしかありませんでしたが、技術の発達により、脳の動きを直に測ることが可能になり、どんどん進歩していっています。
    しかしながら、ウソに関するこれまでの研究は、被験者に「ウソをついてください」とお願いするような不自然な設定が多く、被験者が「ウソをつくかつかないか判断する」という、ウソを研究する上で最も重要かもしれない部分については、あまり丁寧に扱われてこなかったようです。
    それが

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    2021年09月30日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    ネタバレ

    意思決定に関わる、情動的反応や直感的思考、
    欲求などの自動的な「速いこころ」と
    合理的判断や論理的思考、自制心といった
    主に意志の力による「遅いこころ」の
    「二重過程理論」が取り上げられている。

    例えば、マシュマロテスト(マシュマロをいま1個
    もらうか20分待って2個もらうか)をクリアした幼児は
    将来のSATの成績も良いという結果があるけれど、
    欲求に対して気をそらすことができれば待てるように
    なるので、待てない子でも訓練で自制心を学ぶことが
    できる。

    第六章『意思決定と人間の本性ー性善か性悪かを
    科学的に読む』では他者に協力するのは、
    速いこころか遅いこころかを取り上げ、協力は
    素早い決

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    2020年11月10日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    二重過程理論に基づいた「速いこころ」と「遅いこころ」について、様々な研究成果をまとめてわかりやすく説明している。普段自らの意思決定において、どちらのこころを用いて行っているのか、改めて考察するきっかけをもらった良書。

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    2017年07月12日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    【意思決定の心理学】

    ●A.意思決定の多くの場面では、こころの中で2 つのシステムが機能している。1 つは「素早く湧きあがる情動や欲求」、もう1 つは「時間をかけた思考に基づく理性や自制心」だ。この2種類のこころの働きを想定した理論を「二重過程理論」と呼ぶ。

    ●B.2 種類のこころの働きは、学術的には次のように分類される。
    ・システム1:直感的・情動的な反応、本能的な欲求の発現を支える。論理性よりも直感に依存する「速いこころ」。
    ・システム2:合理的判断や自制心など、意志の力によるこころの働きを支える。システム1 の働きにブレーキをかけようとする「遅いこころ」。これを働かせるには集中力が要

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    2017年03月16日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    fMRIなどの研究が普及して、ここ10年ほどで、研究が最も進んだ意思決定に関する研究を、早い心と遅い心という視点から、まとめた本です。個人的に興味がある分野なので、知っていることが多いですが、頭が整理でき、興味深く読みました。「疲れているとズルしやすくなる」「他人の不幸は蜜の味」など、皆の興味を引くテーマが多いと思います。

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    2017年01月24日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    ネタバレ

    p184「ひょっとすると読者の中には、人間の脳とこころのメカニズムを知ることで、デメリットがあることを危惧する人がいるかもしれません。(中略)しかし、このような心配は杞憂にすぎません。実際、こういったこころのはたらきのメリットを知っておくことは、こころのバランスを保つ上ではきわめて有益と考えられています。(中略)あらかじめ把握しておくことで、不要なトラブルを避けることが可能です。自分の意思決定をうまくコントロールできるようになれば、それは良い意味での自信にもつながっていくものです」

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    2022年02月11日
  • あなたはこうしてウソをつく

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     「ウソも方便」「嘘から出た誠」「ウソは泥棒の始まり」…などなど,ウソに関わる言葉は,日本にも多い。ウソは,それくらい私たちの身近である証左だろう。だいたい,ウソをついたことのない人はいない。ウソをついた方がいいときだったあるのは,みんなも知っている。「わたしちょっと太ったでしょう」と言われて,「そうだね,ずいぶん太ったね」という人は,よほど仲よしどうしではないと言えないだろう。そんなときには,自分の本音を言わないのが「社会性」というものである。
     さて,本書には,「人はなぜウソをつくのか」について研究されてきたことが書かれている。それらの研究内容や方法,その研究結果など,たいへん興味深い。

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    2021年04月26日
  • 意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策

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    行動経済学かな?人間の本質に迫る内容をさまざまな文献や実験から説明してくれる。筆者の主張はダニエルカーネマンとは少し違い、システム2の理性的なことはそこまで悲観的なほど弱くないということ。

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    2018年07月06日