矢倉尚子のレビュー一覧
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ネタバレ物語をもっと楽しむ方法を紹介している本。著者は実際に大学で英文学を教えていた教授だそうで、読んでて教室で講義を受けてる気分になった!
1つの物語にこんなに隠喩が隠されてるんだと驚いた。食事シーンがあったら聖餐式とか、水に浸かったら洗礼を想起するとか今の自分は知識と想像力が足りなさすぎる。。
そんなメタファーの基本となるのは聖書、キリスト教、シェイクスピア、ギリシャ神話だとのこと。東洋バージョンだと、仏典、仏教、三国志、中国神話とかなのかな。更に季節や天気、地理の知識があったらより楽しめるそう。一生かけてどこまで勉強できるかなー
一方で、最近読んだ千葉雅也さんの「センスの哲学」や三宅香帆さんの「好きを言語化する技術」にあるように、「うまく説明できなくてもいい。直感的に胸が熱くなるものに従ったり、想いを心の真空パックに閉じ込めておけばいいじゃないか。」という考え方も大事にしたい。説明できるようになることが目的にならないように、自分が面白いと思うことの幅を広げられるくらいの気持ちでいよう。 -
Posted by ブクログ
登場人物とストーリーだけではない、小説の切り口。
軽妙な語り口。
様々な「読み」のヒントを理解し、最後は自分のものとして読む。
・記憶、シンボル、パターン
・文学の中の食事は、何らかの重要な人間関係を示す。
・吸血鬼、人の生き血を吸うとは、姿を変えた搾取の構造。自分の欲しいものを手に入れるために他人を利用すること。
・この世に完全にオリジナルな文学作品は存在しない。もっと言えば、この世にストーリーはひとつしかない。
知らなくても読めるが、類似点、間テクスト性と多層的に複雑な意味を愉しむ。山を歩き、キノコが見つけられるように。
・疑わしきはシェイクスピア。抜群のストーリー、魅力的な人物、見事なことば、誰もが知る物語。引用することで人物、舞台を即座に理解させる。
ただしそのまま引用しない。ダイアローグが提示されて、過去の作品の一部を利用しつつ、新しい作品が独自の主張をする。読者の知識を利用して、まったく新しいもの、アイロニックな意味でオリジナルなものを作り出していく。
→読むことは想像力の活動。両方の作品をより深く豊かに理解することができるようになる。新しい作品の含意を読み取るいっぽうで、過去の作品についてもわずかながら読み方を変えることになる。
・聖書、おとぎ話。
・アイロニーこそ、先行するテキストから借用する場合の最良の副次効果のひとつ。
・雨や雪が表すこと。浄化と汚れ。アイロニー。
・プロットとは行動中の登場人物である。登場人物はプロットによって明確になり、形づくられる。
・作者はあなたが読むスピードで書いてはいない。水平思考を展開する時間はある。
・象徴が意味するものは複数ある。ひとつの意味しかなかったら、それは寓話。
・手始めに、目の前の作品を扱いやすい長さに切る。自由に考え、思いついたことをメモする。つぎにアイデアを整理して分類し、見出しの下に入れていく。この作品に当てはまるかどうかを検討し取捨選択する。どんな感じがするだろう?
→創造的な知性との交感
・記号表現シニフィアンは不変だが記号内容シニフィエは可変で、期待に反するものにすることで生まれるアイロニー。 -
Posted by ブクログ
ネタバレスコットランド人の男性を英国紳士と呼んで差し支えないかどうか知見をもちあわせていないが、大雑把に「さすがイギリス人」と言わせる振る舞いを、著者であり本書の主人公でもあるショーン・バイセルは取っている。
著者が経営する古書店は世界最大級だそうである。それゆえか、はたまた紳士の国であるゆえか、単に古書店にやって来るような人々は変人率が低くないということなのか。来訪者の中には特筆すべき変人が少なからずあるようだ。そんな、紳士の国にあるまじき無頼の徒を、おおむね匿名で公開処刑する内容である。
ほぼ楽しく読めはしたが、著者が行き過ぎてると感じることもあり、それを公平であると見るべきか、著者もまたユニークな正義を持ち合わせる人類のひとりにすぎないということなのか。本書は好評で続刊も刊行されているというから、世間の評価は前者なのであろう。 -
Posted by ブクログ
ミシガン大学で文学を教えている教授が、小説のより深い読み方を様々なパターンを用いて細かく解説していく公開授業のような本。
小説だけでなく映画、舞台、詩、何にでも応用できる。鑑賞者だけでなく作家、役者、全てのクリエイターに読んでもらいたい。
一般の人と教授の読み方の違いは「記憶」と「象徴」と「パターン」だと教えてくれる。いくつもの作品を「記憶」して、登場した「象徴」と同じ「パターン」を見つけること。例えば両手足と脇腹に傷がある登場人物はキリストの「象徴」だと言えるし、鳥は自由の「象徴」だと言える。つまり額面通りの意味とは違う隠されたメッセージを感じ取ることで、過去の作品との共通点「パターン」が見えてくる。さらにひとりの作家が複数の作品で同じ状況や「象徴」を出すことで、今後どうなるかを予測することもできる。当然それが裏切られることもあるが。
教養として学習するのではなく、楽しんで学びを深めるコツを教えてくれる良書。