あらすじ
小説好き必読の一冊がパワーアップして再登場!
筋を楽しむだけでなく、深く読み解くために
シェイクスピアや聖書の引用、天気や病気の象徴的使い方、性的暗喩、隠された政治的意図…。小説の筋を楽しむだけでなく、一歩踏み込んで読み解くための27のヒント。
ひと味違った文学の楽しみ方
小説好き・文学部の学生必読の1冊がパワーアップして再登場!
英米文学を読むのに、ギリシア・ローマ神話、聖書、シェイクスピアの知識は欠かせないといわれる。ではてっとりばやく知識を仕入れればすむかというと、話はそう単純ではない。読者がなにげなく読み流している文章の中にも、それらの要素は象徴やアイロニーとなって潜んでいたりし、見抜くにはコツが必要だ。本書は長年にわたって文学を教えてきた教授が、学生や一般読者のために、そうしたコツを惜しげもなく伝授すべく書いた解説書である。はじめにあげた3項目はもちろん、天気や病気の象徴性、性描写の意味、隠された作者の政治的意図など、象徴やパターンの読み込み方が、豊富な実例に作品のあらすじをまじえ、27章にわたって説明されている。
まるで授業を聞いているような生き生きとした語り口と、時には有名な映画の一場面も例に挙げる親しみやすさから、本書の旧版はアメリカでロングセラーになった。『老人と海』をはじめとするヘミングウェイの作品や、『デイジー・ミラー』、エドガー・アラン・ポーの作品など、おなじみの小説の違った顔が見えてくる1冊。
[目次]
まえがき
プロローグ いったいどうやったんだ?
1 旅はみな探求の冒険である(そうでないときを除いて)
2 あなたと食事ができて嬉しいです──聖餐式の行為
3 あなたを食事にできて嬉しいです──吸血行為
4 たしかどこかでお会いしたような
5 疑わしきはシェイクスピアと思え……
6 ……さもなければ聖書だ
7 ヘンゼルディーとグレーテルダム
8 ギリシア語みたいにちんぷんかんぷん
9 ただの雨や雪じゃない
10 ヒーローのとなりに立つな
幕間 本気でそんなことを?
11 お前も痛いだろうが、パパのほうがもっと痛いんだよ──暴力について
12 それって象徴ですか?
13 それは政治が決めること──文学の中の政治
14 そう、彼女もキリストのイメージなんだ
15 空想は空を飛ぶ
16 すべてセックス
17 セックスシーンだけは例外
18 浮かび上がったら洗礼
19 地理は重要だ……
20 ……季節も
幕間 ストーリーはひとつ
21 偉大さのしるし
22 目が見えないのにはわけがある
23 ただの心臓病じゃない……そして病気にはたぶんウラがある
24 目で読むな
25 それがぼくの象徴だ、しかも泣きたければ泣くさ
26 まじで? アイロニーについて
27 テストケース
終幕 仕切っているのは誰?
結びの句
付録 おすすめ本リスト
謝辞
訳者あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
小説や映画で、これは何を象徴している、とか、このストーリーは何を下敷きにしているとかいう批評について、そんなことあるだろうか、と昔は思っていたのですが、そんなことあるんですよね。作家が意識的にやることもあるし、それ以上に無意識的にそうなってしまう(無意識だから色濃く、ということもありますね)こともあるでしょう。より小説なり映画なりを深く味わうためには、この本に載っているような知識はとても有用。目についたもの、興味のある項目だけでも読むと後で効いてくる。手の届くところに置いておいて時々読んでみたりするといいです。映画にも有用。
Posted by ブクログ
この手の本にしては軽快だ。
作者の趣味が色濃いと断ってはいるものの、だからこそ文学への接し方が、深め方がよく分かる。
批評理論は一切出てこない。
象徴の扱い方に特別の注意を払っている。
Posted by ブクログ
読書は創造的な行為である。そんな気持ちにさせてくれる研究者からの指南書。
「あぁ、成程」となったり「そう?」となったりしながら物語を読む行為を続けていきたいとだけは強く思った。
私自身にもう少し海外文学の素養が必要だったかもしれません。
Posted by ブクログ
物語をもっと楽しむ方法を紹介している本。著者は実際に大学で英文学を教えていた教授だそうで、読んでて教室で講義を受けてる気分になった!
1つの物語にこんなに隠喩が隠されてるんだと驚いた。食事シーンがあったら聖餐式とか、水に浸かったら洗礼を想起するとか今の自分は知識と想像力が足りなさすぎる。。
そんなメタファーの基本となるのは聖書、キリスト教、シェイクスピア、ギリシャ神話だとのこと。東洋バージョンだと、仏典、仏教、三国志、中国神話とかなのかな。更に季節や天気、地理の知識があったらより楽しめるそう。一生かけてどこまで勉強できるかなー
一方で、最近読んだ千葉雅也さんの「センスの哲学」や三宅香帆さんの「好きを言語化する技術」にあるように、「うまく説明できなくてもいい。直感的に胸が熱くなるものに従ったり、想いを心の真空パックに閉じ込めておけばいいじゃないか。」という考え方も大事にしたい。説明できるようになることが目的にならないように、自分が面白いと思うことの幅を広げられるくらいの気持ちでいよう。
Posted by ブクログ
登場人物とストーリーだけではない、小説の切り口。
軽妙な語り口。
様々な「読み」のヒントを理解し、最後は自分のものとして読む。
・記憶、シンボル、パターン
・文学の中の食事は、何らかの重要な人間関係を示す。
・吸血鬼、人の生き血を吸うとは、姿を変えた搾取の構造。自分の欲しいものを手に入れるために他人を利用すること。
・この世に完全にオリジナルな文学作品は存在しない。もっと言えば、この世にストーリーはひとつしかない。
知らなくても読めるが、類似点、間テクスト性と多層的に複雑な意味を愉しむ。山を歩き、キノコが見つけられるように。
・疑わしきはシェイクスピア。抜群のストーリー、魅力的な人物、見事なことば、誰もが知る物語。引用することで人物、舞台を即座に理解させる。
ただしそのまま引用しない。ダイアローグが提示されて、過去の作品の一部を利用しつつ、新しい作品が独自の主張をする。読者の知識を利用して、まったく新しいもの、アイロニックな意味でオリジナルなものを作り出していく。
→読むことは想像力の活動。両方の作品をより深く豊かに理解することができるようになる。新しい作品の含意を読み取るいっぽうで、過去の作品についてもわずかながら読み方を変えることになる。
・聖書、おとぎ話。
・アイロニーこそ、先行するテキストから借用する場合の最良の副次効果のひとつ。
・雨や雪が表すこと。浄化と汚れ。アイロニー。
・プロットとは行動中の登場人物である。登場人物はプロットによって明確になり、形づくられる。
・作者はあなたが読むスピードで書いてはいない。水平思考を展開する時間はある。
・象徴が意味するものは複数ある。ひとつの意味しかなかったら、それは寓話。
・手始めに、目の前の作品を扱いやすい長さに切る。自由に考え、思いついたことをメモする。つぎにアイデアを整理して分類し、見出しの下に入れていく。この作品に当てはまるかどうかを検討し取捨選択する。どんな感じがするだろう?
→創造的な知性との交感
・記号表現シニフィアンは不変だが記号内容シニフィエは可変で、期待に反するものにすることで生まれるアイロニー。
Posted by ブクログ
ミシガン大学で文学を教えている教授が、小説のより深い読み方を様々なパターンを用いて細かく解説していく公開授業のような本。
小説だけでなく映画、舞台、詩、何にでも応用できる。鑑賞者だけでなく作家、役者、全てのクリエイターに読んでもらいたい。
一般の人と教授の読み方の違いは「記憶」と「象徴」と「パターン」だと教えてくれる。いくつもの作品を「記憶」して、登場した「象徴」と同じ「パターン」を見つけること。例えば両手足と脇腹に傷がある登場人物はキリストの「象徴」だと言えるし、鳥は自由の「象徴」だと言える。つまり額面通りの意味とは違う隠されたメッセージを感じ取ることで、過去の作品との共通点「パターン」が見えてくる。さらにひとりの作家が複数の作品で同じ状況や「象徴」を出すことで、今後どうなるかを予測することもできる。当然それが裏切られることもあるが。
教養として学習するのではなく、楽しんで学びを深めるコツを教えてくれる良書。