チョ・ヘジンのレビュー一覧

  • かけがえのない心

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    他者に寄り添うことや、死や生への向き合い方について深く考えさせられる本。著者のチョ・へジンさんの鋭くも温かな視線が存分に伝わってくる作品だった。ドラマの中でしか触れたことがない海外養子縁組について知るきっかけにもなった。本文に出てきた“生きる幽霊みたいな大人”にはなりたくない。

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    2025年02月21日
  • かけがえのない心

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    国際養子に出された主人公。
    捨てられた生命、救われた生命、生まれくる生命、様々な生命を感じる物語。

    翻訳者も書いているが、人の本心なんてものは誰にも分からず、自分の本心でさえも誤解するものなのだと思う。
    そんな中で打ち捨てられた事があっても、どうにか生きていく。
    読後は深い感慨に耽った。

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    2024年11月10日
  • かけがえのない心

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    この本を読むまで、韓国の国際養子縁組という社会問題のことを全く知らなかった。
    国籍、そして生みの親を失うという二重のアイデンティティの喪失と、どこへ行っても避けられない差別と偏見。「私は何者なのか」と問い続ける人生の悲哀。

    不可逆性を多分にはらみながらも、少しずつ重なり合う登場人物たちの人生、その構成の緻密さが圧巻。生命に敬意を持ち丁寧に描く著者の眼差しが温かく良い読後感でした。

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    2024年03月03日
  • かけがえのない心

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    原題『단순한 진심』


    “でも、何より恐れていることは別にありました。ウジュが私に似ること、私の一番さびしくてかよわい姿に似ることでした。”(p.233)

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    2021年10月20日
  • かけがえのない心

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    10/31"ごめんね、愛してる"の主人公のように海外養子に出されたムンジュが自分のルーツを探していく。実際にそのような人がたくさんいて、自分のルーツに苦しんだのだと思った。

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    2025年10月31日
  • かけがえのない心

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    ネタバレ

    正しい答えを示すのではなく、
    迷いながら主人公たちが自分なりの答えを選んでいくところがいい。
    だから読んでいる私自身も、私だったらーと考えられる。
    テーマは重いのに、決して派手な展開にせず、どこかドキュメンタリーのように物事が淡々と進んでいくのも、読み手に考えさせる余白が生まれてよい。

    自分の過去を探すため、というところから始まっていながら、いつしかそこから話が転がりだし、展開していくのもいい。

    養子とか、韓国が舞台とかそういうのとは関係なく、
    「わたしがいることの意味」を考えさせてくれる良作だと私は思う。


    ※蛇足だが、唯一苦しかったのが登場人物の名前。
     似た名前が多くて、頭の悪い私

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    2023年10月02日
  • かけがえのない心

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    ナナは、別れた恋人の子供を妊娠していた。そしてその子供に「宇宙」(우주)という名前を付けようと決めた。そしてその日、ソヨンという韓国人の女性から二通目のメールが届いた。その女性は、ナナのインタビューを読んで、フランスに養子に出されるまで過ごした場所や、そので会った人たちを探しながら、最終的にはナナの昔の名前である「ムンジュ」の意味を見つけ出すまでの過程を映画にするという。妊娠初期に飛行機で韓国まで旅をするなんて、常識では断るべきものだったが、ナナはどうしても断れなかった。ナナは、子供の頃に線路で泣いているのを、それに気が付いた機関士が拾い上げ、一年間も世話をしてくれたという。なんとしてもその機

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    2022年07月09日
  • かけがえのない心

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    小説ではなく、ノンフィクション作品を読んでいるようだった。
    訳者・オ・ヨンアさんのあとがきより
    〈2012年までに約16万人を超す子どもたちが海外に養子に出された〉

    朝鮮戦争で、米国軍人との間に生まれた混血児や
    戦争孤児をアメリカに送ったのが始まりだそうだ。
    「基地村(キジチョン)」(性産業)の歴史にも胸が痛くなる。

    『梨泰院(イテウォン)』を華やかな映像から知るのも楽しい。
    でも、本を読みその歴史に目を向けるとまた違って見えてくる。

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    2022年06月06日