チョ・ヘジンのレビュー一覧

  • かけがえのない心
    この本を読むまで、韓国の国際養子縁組という社会問題のことを全く知らなかった。
    国籍、そして生みの親を失うという二重のアイデンティティの喪失と、どこへ行っても避けられない差別と偏見。「私は何者なのか」と問い続ける人生の悲哀。

    不可逆性を多分にはらみながらも、少しずつ重なり合う登場人物たちの人生、その...続きを読む
  • かけがえのない心
    原題『단순한 진심』


    “でも、何より恐れていることは別にありました。ウジュが私に似ること、私の一番さびしくてかよわい姿に似ることでした。”(p.233)
  • 光の護衛
    取り残されたり棄てられたことさえも忘れられてしまった人たちの物語
    「光の護衛」「じゃあね、お姉ちゃん」が
    好きだ
    韓国の複雑で過酷な近現代史を改めて知る
    『天使たちの都市』の著者の短編集は読む者のこころに深く沈む

    カバーデザインもすばらしい
  • かけがえのない心
    正しい答えを示すのではなく、
    迷いながら主人公たちが自分なりの答えを選んでいくところがいい。
    だから読んでいる私自身も、私だったらーと考えられる。
    テーマは重いのに、決して派手な展開にせず、どこかドキュメンタリーのように物事が淡々と進んでいくのも、読み手に考えさせる余白が生まれてよい。

    自分の過去...続きを読む
  • かけがえのない心
    ナナは、別れた恋人の子供を妊娠していた。そしてその子供に「宇宙」(우주)という名前を付けようと決めた。そしてその日、ソヨンという韓国人の女性から二通目のメールが届いた。その女性は、ナナのインタビューを読んで、フランスに養子に出されるまで過ごした場所や、そので会った人たちを探しながら、最終的にはナナの...続きを読む
  • かけがえのない心
    小説ではなく、ノンフィクション作品を読んでいるようだった。
    訳者・オ・ヨンアさんのあとがきより
    〈2012年までに約16万人を超す子どもたちが海外に養子に出された〉

    朝鮮戦争で、米国軍人との間に生まれた混血児や
    戦争孤児をアメリカに送ったのが始まりだそうだ。
    「基地村(キジチョン)」(性産業)の歴...続きを読む