ライオネル・バーバーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ソフトバンクの孫正義さんのアメリカ人による伝記の前半部分。他の伝記より企業の買収を繰り返したあたりの記述が多い。色んなビジネス、高額な買収勤学となり読んでいてもついていけなくなった。
誰しもビジネスで成功し、その成功を振り返ると自身の努力や商機を逃さない商才に負う部分と、好運に恵まれたと感じる部分もあると思う。しかし孫正義は躁状態かと思える程、常に積極的、楽観的である。この本を読むと何度も危機を迎えながらも、たまたまと思える運に助けられてソフトバンクの孫正義は邁進する。
そしてこの本から分かることは孫正義は単にお金を目的でビジネスをしているのではないだろうという感じである。自身を坂本龍馬に投影するなど、インターネットやIT化、DXなどの波の先端で波乗りをしているかのような孫氏の姿を知ることができた。
孫正義は何もない九州の貧困の出なのであった。失うものは何もないが故に、獲得したものをまた失う事も厭わないという一種のクレイジーさを垣間見る思いがした。 -
Posted by ブクログ
会社の買収を繰り返す孫正義の動向をよく詳細に追跡取材したものである。利殖の成功と失敗、ヘッドハンティングの仲違い。孫正義はかつての仲間が離職しても悪くは言わないようである。悪口は何も生み出さないことを知っているのだろう。また、この本によると孫正義は財をなすだけではなくデジタル化や、インターネット革命に付随する世の中の大潮流を自ら駆動し、世界変革を起こすチンギスハーンやナポレオンだと自認しているようである。
確かにブロードバンドや携帯をネット取引、電子マネーなどソフトバンクの恩恵を蒙っていることは確かであるが、孫正義オリジナルなるかというとそうでもないだろう。オリジナルでなくても価値を創出したかのような利益を得ることができるのもデジタルの特徴だろう。旧来の製造業は機械であれ電子であれものづくりから離れるわけにはいかない。ところがM&Aを繰り返す孫正義氏はそういった企業の上にちょこんと居座ってしまう。
年齢からいって孫正義氏もあと10年だろう。今後のソフトバンクの動向にも注目時代。 -
Posted by ブクログ
イギリス人の経済誌の元編集長の眼で日本の在日朝鮮人である孫正義の通信インフラ事業とテクノロジーの進化と共にビジネスの拡大の光と影を客観的に描く。
第17章で携帯電話事業とヤフーのブロードバンドサービス事業を結び付けるためNTTやKDDIに対抗する第3勢力としてのボーダフォン日本法人買収の経緯が描かれる。
第18章で赤字のブロードバンド事業と低迷する携帯電話事業を打開するための方策として孫の人脈であるSジョブスとの関係から強力なツールとしてiPhoneの日本向け市場の販売独占が功を奏する。
第19章で豪華な自宅建設のエピソードや彼のプライベートな領域の行動パターンの一端が読み取れる。
第20章では更に彼の愛国者的な救世主としての使命感のような一端が東北大震災の支援事業を通じて感じられる。
第21章でアメリカの通信事業として第3の勢力構築のためにスプリントを買収し、更にTモバイルUSを買収するプランの経緯が描かれる。これは孫が日本の市場のみならず世界的な市場(実際は資本主義の頂点であるアメリカ市場)の進出による事業拡大のプロセスであることがよくわかる。
スプリントとTモバイルUSの合併が独占禁止のハードルにかかり困難に直面する過程も描かれる。
第22章では孫の後継問題にからみ、インド系の人材ラジーブ・ミスラとニケシュ・アローラの緊張関係やソフトバンクの役員会における摩擦(アローラの拝金主義)から最終的にはアームHDの買収案の対立からアローラは会社を去ることになる経緯が興味深い。資本主義の理屈(原則)から言えば、拝金主義が批判されることはないだろうが、孫ないしソフトバンクに流れる日本文化ないし理念に対する敬意を欠くことは孫の後継としては適格性を欠くということだろう。またそもそも孫が60歳で引退するなどと言うことは彼の性格からいって冗談でしかなかったというわかりきった結論だった。
次章ではアームHDの買収にからむ孫の行動力が如何なく発揮される。
通信事業における半導体の設計の重要性について深く理解した上での巨大投資に驚かされる。
第5部第24章以下では事業家と言うより投資家としての側面が強くなりファンドを創設するためラジーブ・ミスラの人脈からの行脚が描かれる。最終的にサウジアラビアら中東のオイルマネーを中心としたヴィジョンファンドが創設されるがその契約条件がソフトバンクを苦しめることになる。
またファンドの収益還元のための投資がウイーワークのような杜撰な(あるいは孫の過去の投資成功経験に依拠しすぎる直感)判断によって手痛い損失を被る。
投資家のバフェットの投資スタイルとの出資依頼の面談を通じての対比は面白い。
また世界的なコロナ禍から経済の崩壊をファイナンス面から回避するための金融緩和がソフトバンクグループを結果的に救済する一端となったことは運の強さを感じる。
しかし役員会で孫に苦言を呈することができる柳井やジャックマーらが離脱してしまい、結果的に様々な投資損失を生んだことは必然だったろう。
それでもAIのビジネスひいては生活への導入を図るための投資に坦々と進む姿が前向きなのは、誇大妄想といわれるか
未来への伝道師と言われるか目の離せない存在であることは間違いないだろう。 -
Posted by ブクログ
フィナンシャルタイムズ元編集長による孫正義録の下巻。
上巻にも増して孫正義氏の破天荒ぶりが本当の冒険小説のよう。特に外国人幹部たちの挙動は事実とは思えないほどの強欲さがありNetflix化待ったなしの内容。
日本人が著した本だとどうしても孫正義氏を成功した聖人扱いする部分があるので(本人インタビューが主なので仕方ないのだろうけど)、忖度なしの報道資料から構成された傲慢で成金の側面を持った孫正義像は新鮮である。
一方、事実ベースを重ねていった結果、物事の主語や因果関係に混乱が生じる場面が多々ある。意図的なのかもしれないが。
億万長者から一転リーマンショックで負債を抱え、スプリント、後継者問題、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどなど我々が輪廻転生を繰り返しても経験しないであろう試練に幾度も打ちひしがれ、それでも不死鳥の如く蘇り、エピローグでAGIについて意気揚々と語る孫正義はやはり人と惹き付けるチャーミングでピュアな人物なんだろうなと思う。 -
Posted by ブクログ
2005年から2020年に渡り「フィナンシャルタイムズ」紙の編集長だった著者が世界中の権力者に取材できる地位にいたことから、コロナ禍前までの多くの政治的、経済的、メデイアの激動する状況変化に遭遇する。
特に本拠地のイギリスにおけるブレクジットをめぐる保守党の分裂と権力争いは民主主義の先進的国家と見做していた視点から新鮮で興味深い。
ヨーロッパ各国の要人との交流がイギリスの微妙な距離感が親EUの著者から日記形式(実際は日記ではなくて取材メモやレポートらしい)で記述され、行間からにじみ出るセレブ感やエリート臭さも少し鼻につくが、この潮流を掴みそこなった著者(EU残留支持)が、トランプの米大統領当選を予想外としたことはよく理解できる。
またFTが2015年に日経の傘下になった経緯にもふれられ、取材編集の自由を尊重し良好な関係であることは推察できるが、もう少し日経の思惑を掘り下げてもよかったのでは?
著者の最新刊で取り上げた孫正義についても、サウジが出資したソフトバンク・ファンドやアームの買収等を通じて触れられており、本書で日経以外で日本人を取り上げているのは珍しい(安倍晋三もあるが薄い)ので印象が強かったのだろう。
また旧宗主国だった香港をめぐる関係も含め、中国との微妙な関係性も興味深かった。
エピローグまで590頁とボリュームはあるが、日常と非日常(取材や講演)のメリハリと話題が幅広く、話題ごとにサクッと読みやすい。
本書での愚か者とは誰かを考えるのも一考だろう。 -
Posted by ブクログ
フィナンシャルタイムズの元編集長による孫正義録。"The Gambling Man"というタイトルが言い得て妙。国内の孫正義伝と異なり、公開情報を基にした忖度なしの物語が面白い。常々語られる孫氏の武勇伝の光の部分に対して、影の「きな臭さ」にもしっかり触れられており面白い。
本書の登場人物はみな大物もしくは今や大物となった人物で、早くから孫氏がグローバルに人脈を構築してきたことがよくわかる。そうした人々に対して30代の孫氏が臆することなく大ぼらを語って交渉する姿は字面を通して迫力を感じる。インタビューに応じている人たちは億単位で損害を被った人や結果利用された人が多くいるが、{一部怒り心頭の人もいるようだが)口をそろえて「常人離れした能力を持った憎めない」と評しているのが面白い。
壁にぶつかって転んでもそれを大きく乗り越えて成長する不屈の精神を持った孫正義氏の物語はやはり刺激を受ける。