【感想・ネタバレ】権力者と愚か者 FT編集長が見た激動の15年のレビュー

あらすじ

紙からデジタルへ
変革を導いた編集長が激動の時代を振り返る
* * *
2005年から2020年まで、コロナ禍以前の時代にフィナンシャル・タイムズ紙(FT)編集長として、世界中の「権力の側」の人と対話する機会にめぐまれた著者は、世界金融危機、欧州債務危機、ポピュリズムの勃興、ブレグジット、トランプ米大統領就任、米中対立激化という特筆すべきニュースを最前線で目撃した。それは戦後世界秩序の崩壊だった。
この間、伝統的メディアは塗炭の苦しみを経験した。若者は主流メディアを信頼しなくなり、ネットで情報を集めるようになった。一国の指導者が「オルタナティブ・ファクト」を広める時代に、デジタル・ファーストを実現した報道機関はいかにしてファクトに基づいた報道を届けられるのか。
ブレア、ブラウン、キャメロン、メイ、ジョンソンといった歴代英首相のほか、トランプ米大統領、プーチン露大統領、メルケル独首相、モディ印首相、安倍首相といった世界的要人が登場。世界秩序の「破壊の現場」に立ち会った著者が日記形式で著した回顧録。

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Posted by ブクログ

2005年から2020年に渡り「フィナンシャルタイムズ」紙の編集長だった著者が世界中の権力者に取材できる地位にいたことから、コロナ禍前までの多くの政治的、経済的、メデイアの激動する状況変化に遭遇する。
特に本拠地のイギリスにおけるブレクジットをめぐる保守党の分裂と権力争いは民主主義の先進的国家と見做していた視点から新鮮で興味深い。
ヨーロッパ各国の要人との交流がイギリスの微妙な距離感が親EUの著者から日記形式(実際は日記ではなくて取材メモやレポートらしい)で記述され、行間からにじみ出るセレブ感やエリート臭さも少し鼻につくが、この潮流を掴みそこなった著者(EU残留支持)が、トランプの米大統領当選を予想外としたことはよく理解できる。
またFTが2015年に日経の傘下になった経緯にもふれられ、取材編集の自由を尊重し良好な関係であることは推察できるが、もう少し日経の思惑を掘り下げてもよかったのでは?
著者の最新刊で取り上げた孫正義についても、サウジが出資したソフトバンク・ファンドやアームの買収等を通じて触れられており、本書で日経以外で日本人を取り上げているのは珍しい(安倍晋三もあるが薄い)ので印象が強かったのだろう。
また旧宗主国だった香港をめぐる関係も含め、中国との微妙な関係性も興味深かった。
エピローグまで590頁とボリュームはあるが、日常と非日常(取材や講演)のメリハリと話題が幅広く、話題ごとにサクッと読みやすい。
本書での愚か者とは誰かを考えるのも一考だろう。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

FT編集長の日記的随筆。
日経に買収されるところは面白いが、日経BPが発行しているところが、少し冷める。

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2021年10月17日

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