福田雄介のレビュー一覧
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イリエワニの1世代をその特徴とともに描いた絵本。
オーストラリア北部の熱帯のマングローブの森の汽水域。
海の生き物もやってくるこのエリアに世界最大級のワニ、イリエワニは住む。
全長6メートル、歯は66本もあり、抜けても欠けても何度でも生え変わる。
外皮感覚器で水の流れや獲物の動きを感じ取り、巧みに狩りをする。
水中でも喉の奥の筋肉に蓋ができるため捕食が可能だ。
繁殖の季節には、オス同士が縄張り争いをし、勝者は子孫を残すことができる。
メスは湿地帯で50個の卵を産んだあとは2ヶ月半そこを動かず卵を守る。
そして赤ちゃんが生まれたら、水辺に運び、しばらく一緒に過ごす。
そして、大きくなったオスは、新たな縄張りを求めて海へ旅立つ。
*******ここからはネタバレ*******
強そうな表紙ですね。
そんな表紙の期待を裏切らない最強のワニを紹介する科学絵本です。
ちょっと誇張された点もあるようなので補足です。
オスの長さを6メートルと記載されていますが、それは特に大きなもののようです。
汽水域に住んでいながら海水耐性があるのは、舌の塩分排出腺が発達しているからなんですって。
学習能力に優れているので、獲物のルーチン行動を待ち伏せに利用したりします(最近の空き巣のようですね)。
母ワニは、卵を守っている間、ほとんど絶食です。
でも、変温動物なので、体温維持にエネルギーを使うことがありません。代謝を極限まで落として動かずに入れば数カ月は行きられるそうですよ。
読み進めていくにつれて湧いてくる、上記のような他の疑問に答えるあとがきが欲しかったです。
ワニの卵から生まれる赤ちゃんの性別が温度に支配されているのは、「獣の奏者」(上橋菜穂子著)で知りました。
面白い仕組みですよね。
文字どおり弱肉強食の話ですが、トリビアになりますね。
問題なくすべてのお子さまにおすすめできると思います。 -
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イリエワニが、はるか昔からどのようにして生き残ってきたのかが分かる。イリエワニの生態とともに、その魅力ー強さ、おそろしさ、たくましさーが伝わってきた。
大きくなれば最強のイリエワニも、大きくなるまでは獲物にされる。母親を離れてから1年の間に生き残れるイリエワニは半数ほどだそうだ。
また、メスと交尾するためには、オスとのしれつな闘いを制することが必要とのこと。
野生で生き残っていくということのけわしさをひしひしと感じたし、大きくなった動物たちに敬意を抱いた。大きくなるということが、奇跡のように思えてきた。
昨日読んだホホジロザメも、今日読んだイリエワニも、今もこの世界のどこかでゆっくリと泳いでいるんだ。そんな野生の世界が地球のどこかにあると思うと、不思議な気持ちになってきた。 -
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ネタバレバナナワニ園に行ってあまりの大きさと恐竜のような身体に惹かれ、生態を知りたくなり読んだ。
バナナワニ園で見たワニも相当大きかったが、世界には6メートル以上のワニがいたと知って驚愕。
そして現存するワニのような生物が太古の昔に既にいたというのにはロマンを感じる。
人を襲うこともあるワニと共存するためのオーストラリアの歴史と政策は、日本でのクマ問題においても参考にできそうだと思った。
タイトルの「人喰いワニに噛まれたら?」のアンサーとしては以下の通り理解。①ワニがいるエリアには2人以上で行く、②噛まれそうになったら横跳びで瞬時に逃げる、③噛まれてしまったら頭を棒などで猛烈に叩いて離してもらう、ことで溺死を免れる。 -
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ネタバレもしも人食いワニに噛まれたら、そりゃ死にますよ。死因は溺死。サメでの出血死とは異なるところが面白い。本書は、ワニ研究者によるワニ好きのための本です。
16歳のときにワニに魅せられ、ワニ研究者になり、今はオーストラリアのとある公的機関で研究をしているそうです。
フィールドワークに基づく、研究者の本は面白いですね。琴線に触れます。
自分は、ヘルスケア系なので、「ワニの血からできる魔法の薬?」の項は短いですが、大変興味深かったです。ワニに指を噛まれて怪我自体は大したことがなかった人が、感染症で肩まで腫れ上がったことがある、というエピソードを踏まえ、それだけワニに病原菌が共存していてもワニ自体に問題はないので、ワニの免疫力がとてつもなく高い(らしい)ので、ワニの研究を、とのこと。
まあ、ワニ由来の薬が承認されたら、注目は浴びることは間違いないでしょう。
それとワニの心臓の構造についての記載も、イラスト付きの心臓の絵で詳述されており、ワニが長時間、水に潜っているときには肺動脈が閉まって、肺への血流供給が止まり、右心室から本来肺に行くべき静脈血が行き場を失って、パニッツア孔という弁の働きによって、静脈血が混じった血液が再び大動脈の血流に乗るという特殊な機能があるとのこと。肺バイパスというそうで、脳だけ優先的に、血液を回して保護し、水中にいる時には、手足や内臓などには多少酸素の混じった血液で急場をしのぐという循環器なのだそうです。カメも同様な肺バイパスをもっているそうですが、鳥類・哺乳類で完全な滲湿壁をもっている動物で肺バイパスを持っているのはワニだけだそうです。いやー知りませんでした。
あとは、ワニの性別は卵が孵るときの温度で決まるということですかね。
個人的に、ワニは時計のベルトや財布の素材として大好きでしたが、現役研究者のワニ愛に溢れる研究本を読み、より一層興味が湧きました。 -
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とても面白かった!
そして、情報がとてもフレッシュ。タイトルはセンセーショナルというか、ありがちではあるんですが、ワニの研究者による、真面目にワニを科学している書籍。しかし、素人向けに、面白エピソードなども交えて、わかりやすく説明されていて、とてもとっつきやすい。特にワニの心臓に興味を持った。もちろん、タイトルのとおり、ワニに噛まれたときの対処や、まず、噛まれないようにする注意点とか、どういうことをすれば噛まれるのか、などのサバイバル的な情報にも言及している。
存外ワニのことって知らないなあ、と認識。例えば、アリゲーターとクロコダイルの違いとか、私の知る限り、結構な数のアメリカンがアメリカに住んでいるのがアリゲーターでオーストラリアに住んでいるのがクロコダイルと思ってたりするんだが、本書で簡単にわかりやすく、クロコダイルとアリゲーター、ガビアルの違いが図解説明されている。そういえば、ワニというと、クロコダイルハンター(Steve Irwin)とか、当時、テレビでみていたのを思い出します。スティングレイに刺されて亡くなられた時は衝撃をうけたのを思い出した。
以前、ルイジアナの都市公園を歩いて、公園のなかを流れているクリークで鳥をみていたら、その横をスウーーっと大きなワニが泳いでいるのが目に入り、ゾッとして、水辺には絶対に近寄らないようにしようと、本当に思ったことがある。飼い犬も絶対にオフリーシにできん。本書にも書かれているが、人間が襲われることはあまりないが、イヌが襲われることはよくあるそうだ。確かに動画でもたくさんあげられている。ほんとに色々と記憶を掘り起こされる本だった。
昔受験したESLのテストの読解問題で、ワニのレスキューの文章が出てきたのも思い出した。テスト問題用紙やアイテムは持ち帰り不可なので、細かいところはおぼろげであるし、どこからの引用かもわからないが、ワニの研究とレスキューを行っている人々の話。ワニレンジャーたちは穴などにハマって動けなくなったワニを助け出したりとか、色々調べたりとかしている。ある日、めちゃくそにでっかいワニが泥の穴でハマって動けなくなっているという通報があって、助けに行く、というようなそんなくだりだった。
ま、それだけなんやけど
おもろいテストやったなぁ、、。
遠距離バスの乗り方の説明書とかの読解とかもあった。
ま、そういうことを思い出したんですわ。 -
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2025年出版。196ページ。高校生の時分から「生きていく上での目標・生き方」をココロに決めている人間など殆ど居なかろうと思うが、筆者は1年生の時点からほぼ不登校までなりながら、ふと見たテレビから天啓を受けて「野生のワニ研究家」になると決意したとの事。イキナリ思い込めるのも一種の才能なのかも。出版時点で筆者は40代半ば。オーストラリアの公務員研究員という、ある意味で制約もある立場から、ポスドクとして研究対象を世界に向けようと動き始めている現在までが書かれている。
ワニを神聖視して「食われることは有り得ない」と信じながら被害に会い続ける民族とか。人類の増え過ぎでワニの脅威を感じながら、人類側を守る為に殺処分するとか。ワニの殺処分を制御する為には、ワニに経済的価値を継続的に付加しなければとか。中々に読み応えも有る。 -
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『もしも人食いワニね噛まれたら!』が面白かったのでこちらもよんでみる。
この頃は、一般向けに面白い生物の本を書いた研究者に子供向けの本を書いてもらうことが流行っているようだが、これもそう。(同じシリーズの『ホホジロザメ』も同じ)
ワニについては、『もしも』に書いてあることを子供向けにやさしくシンプルにしているのだが、何が素晴らしいって、この絵師を連れてきたこと。(『ホホジロザメ』と同じ画家)
写真では表現できない、絵だからこそ描ける表情や表現方法。絵としての完成度の高さ。(海を泳ぐワニ、水牛を狙うワニ)
どれも本当に素晴らしい。爬虫類好きの子どもたちに是非とも読んで、見てほしい。 -
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ネタバレ関俊一さん画の動物絵本、「ホホジロザメ」に続く第二弾。シリーズ名をつけないのだろうか?と思うくらい出来がよい。三冊目からつくんでは。水中の描写が素晴らしいので、私は前作の『ホホジロザメ』の方が好きだが、こちらもよかった。生物としてのしっかりしつつ簡潔な特徴説明も、その説明に添えられる図も、そして全体を通して一つの生物の生態を描く力のある画業も、過不足なく素晴らしい。子どもの気を引くために二ページに一回は(あるいは全ページを)漫画に割く科学読み物が隆盛を極めているので、その正反対のアプローチで本を作ってみたということなのかもしれない。
今は幼児・児童向けの図鑑も写真を使用したシリーズが人気だが、この本は写真とは違う、絵の良さをまざまざ感じさせてくれる。対象の生き物を描く時には余計な情報を大胆に編集して焦点化したい事物だけにフォーカスがあてることができ、他方でその生き物が暮らす環境を描く際には、風景を主役に据え、その印象を一場の絵画として深く心に残す。今は写真にも加工や編集を施すことが当たり前なので、逆に絵であることの利点が見直される時期に来ているのではないかと思った。
前週発売の若手写真家の堀口和重さんの『海のエイリアン図鑑』が、写真だけでちょっとわかりづらいなぁと思った矢先であったので、より印象的だった。(海のエイリアン図鑑は、その名の通り全く見慣れない摩訶不思議な形の深海生物の写真図鑑で、珍しい生き物の写真がたくさん見られるし、監修もしっかり入っていて真っ当そうだったが、こういう見たことがなく、実際に見ることもできない生き物こそ、頭が左向きに揃えた真横からの絵で書かれた図鑑で見るのに適していると思う。そういう経験をジャンプして、いきなり生態写真を見ると、何が何だかわからない…という印象だった。もともと深海魚が好きで、すでに図鑑や水族館でそれらの生き物を見たことがある深海魚キッズにとってはなんの問題もないと思うが) -
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ワニ研究者によるワニ入門本。
日本では天然では見られないワニ。
著者は子供の頃、ワニのテレビ番組に魅せられて、ワニ研究が盛んなオーストラリアに渡る。苦労の果てに研究職に就き、以来、「100年経ってもワニが生きていける」世界を目指して奮闘中である。
本書はそんなワニ研究者による、日本人読者向けのワニ入門書。
Q&A形式で親しみやすい作りだが、中身はかなりディープ。
ワニの種類に始まって、人食いワニ伝説の真偽やワニの体の秘密、生態や巨大ワニなど、ワニを巡るさまざまなトピックを易しく説く。
巷でよく言われるのが、ワニは口を閉じる力に比べて開ける力が弱いので、噛まれる前に、口を押えてしまえば大丈夫、というもの。
ワニの口の筋肉は閉じるために特化している。瞬間的に獲物をつかんで、水に引きずり込んで溺れさせるのがワニの常套手段なのだ。そのため、ワニの人身事故の死因はほとんどが溺死である。サメに襲われた場合はほとんどが失血死であるのとは対照的だ。溺れさせて動かなくして、後でゆっくり食べるわけだ。
瞬発的かつ強烈な閉じる力に比べれば、なるほど開ける力は弱い。が、それはあくまでも比較の問題。大きさ3メートル以上のワニであれば、ヒト1人の手の力で口を押えるのはまず無理ではないかというのが、著者の同僚たちの一致した意見。
だから、ワニに会っても口を押さえようなんて試してみてはいけない。おたおたしているうちに噛みつかれてしまうのが関の山だろう。
では、ワニに噛みつかれてしまったらどうすればよいのか。
著者がお勧めするのは、簡単な武器、つまり棒のようなものを持って歩くこと。ワニが何かに噛みついているときには、当然のことながら、他のものに噛みつくことはできない。ワニの鼻面を棒でばしん!と強く叩いてやれば、ワニは反撃しようと口を開けることがある。その隙に何とか逃げることができる(かもしれない)。
銃を持っていったらどうかと思う人も多いが、実はワニに噛まれて咄嗟に銃で正確に狙いを定められる人はそう多くないという。挙句、ワニじゃなくて噛まれている人の方にあたって、その銃創の方が咬傷よりひどかった、などという笑えない実話もある。
何より、鉄則はワニのいるようなところには1人ではいかないこと。同行者がいれば、噛みつかれてもすぐに気づいてもらえるし、知らないうちに水中に引きずり込まれて死亡する可能性も低い。
ワニは大まかに3科に分かれ、噛み合わせが微妙に異なったり、心臓が特殊な作りで長時間の潜水に適応していたり、帰巣本能があったり、と、ワニのトリビアも満載。
ワニ革を目的とした乱獲のため、第二次大戦後からワニは急速に減少し、70年代には絶滅が危ぶまれるほどになった。1975年以降、保護活動が本格化し、今では持ち直しつつある。以前なら見られた超大型個体が見られる日も遠くないかもしれない。
とはいえ、ワニが多くなれば家畜や人が襲われる事例が増えるのもまた事実。ワニが生き方を変えることは難しいわけで、ヒトの方が何とか共存の道を考えるべきと著者は模索を続けている。
よく見れば表紙の柄もワニ柄。ワニ愛にあふれた1冊である。 -
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オーストラリア、ノーザンテリトリーでイリエワニの研究をしている著者がワニについて語る本。
タイトルの質問にもちゃんと答えているので、野生ワニがいるところへ旅行などする人は参考になる。
ワニは楽に安全に獲れるもの(基本的には魚)をふだん食べているので、わざわざ抵抗されれば面倒なことになる大型の動物を捕獲しないし、水辺から遠くまでは行かないので、水辺でのんびりしたり、ワニより小さいボートに乗らなければ基本的には大丈夫らしい。が、子どもは違うから注意。犬も。
著者のワニ愛が感じられ、だんだんワニが好きになってきた(元々嫌いじゃない)が、ワニは人に慣れるとは一切書いてない。そういう甘い考えは持たない方がいい。
ワニに食われる前に、水中に引きずり込まれて溺死しているから食われることは心配するなと書いてあるが、なんの安心材料にもならない。(人の場合、ワニに引きずり込まれたら、助からないとしても周りの人が助けるし、ワニを殺すのが普通だし、ワニは水中では食べないので、死体が食い荒らされることは基本的にはないって言われても…)
ワニの皮膚、特に口の周りには多くの外皮感覚器があり、人の指先のように繊細な感覚があるそう。だから、子ワニを咥えて運ぶときに誤って傷つけたりすることはない。それはすごいねと思ったが、母ワニ(父ワニは子育てしない)に、子ワニを「可愛い」と思う気持ちがあるのかは書いていないので、やっぱりちょっと信用ならない。
まあその信用ならないところがワニの魅力ではある。
「ワニはワニとしてしか生きていけない以上、私たち人間社会のほうがなんとかこれに対応し、共存の道を模索していくしかありません。」(p221)
まだわかっていないことも多いようなので、これからワニの研究者になりたい子どもたちはぜひ読んでほしい。