セーアン・スヴァイストロプのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
セーアン・スヴァイストロプ『チェスナットマン』ハーパーBOOKS。
700ページ近いボリュームのデンマーク・ミステリー。
真犯人の姿が見えぬままに次々と凄惨な事件が発生し、ストーリーは二転三転のうねりを見せるので、手に汗握る非常にリーダビリティの高い作品に仕上がっている。そして、全く予想もしなかった犯人像とプロローグに描かれた事件と犯人の目的の全てがつながり、納得すると共に、これで全てが決着するのかと安心するのだが……
物語は1989年の10月31日のオーロム牧場で発生した斧を使って一家を惨殺した凄惨な事件から幕を開けるが、これは単なるプロローグに過ぎない。
本編の舞台はプロローグから -
Posted by ブクログ
フランスで一番売れている作家と言われるベルナール・ミニエを想起させるサイコなサイコなエンタメ作家が、デンマークに新たに登場した。今回はおそらく北欧小説界においてもエポック的大作。デンマークと言えば、ぼくも大ファンである『特捜部Q』のシリーズを第一に思い浮かべるが、本作は当然ながら別の個性による味わい。新たな大物が誕生した感が強い。
サイコ&スプラッタ&アクション、さらにフーダニット+ホワイダニットといった、謎に謎が積み重ねられてゆく分厚い材料いっぱいのクロスオーバー。重厚なエンタメ作品なのである。前述したベルナール・ミニエ作品の事件現場も凄絶でエモーショナルでインパクト抜群なのだが、本書 -
購入済み
巧妙な伏線回収
コペンハーゲンで若い母親を狙う連続殺人事件を追う北欧ミステリー。
栗の人形が残される猟奇的な現場と、過去の誘拐事件が絡む複雑な展開が魅力です。
刑事トゥリーンとヘスの人間味あふれる捜査が緊張感を高め、テンポの速いストーリーが一気に読ませます。
凄惨な描写はやや強烈だが、伏線回収の巧妙さと意外な結末がまっています。
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Posted by ブクログ
最後に畳みかけるような盛り上がりがあり、スピード感もあって読み応えのある作品。元々の作者のスタイルなのか翻訳の関係なのか分からないけど、文体が短文&現在進行形で進んでいくのが特徴。(最初の頃はこの文体に少し疲れてしまったのだが、後半は展開が面白くなったのもあってそこまで気にならなかった。)
この手の作品のヒロインは、大概、「美人で有能でタフだけど、過去に深い傷があり繊細な一面がある」設定が多いのだが、今回は割とサッパリした感じで描かれていて、「弱い部分を犯人に見破られ、そこを攻められて窮地に陥る」的な、ありがちな流れにならないところが好印象だった。最後までしっかり戦ってくれる、真面目で前向き -
Posted by ブクログ
面白かったが、場面が目まぐるしく変わり世界観に引き込まれそうになったのに、急にブレーキを掛けられてしまうので、その都度ページを捲る手が止まる。
海外ドラマに良くある、手法だが1時間番組だから途中で話が切り替わっても内容を覚えていられるけど、文章しかない小説では、話が途切れて別の話が始まると、前の内容を細かい所を忘れていて、読み直しをしないと話が分からなくなる。
読み返す場所を探すのも一苦労。700頁近い大作なので読みづらかった。
ここの所、読む本が小説として読むよりドラマや映画として観た方が面白いと思うものばかりだ。
内容は、とても面白いだけに読みにくいのは致命的な欠陥だと思う。