TAJIRIのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を社会・政治の本と捉えるか、
プロレス本と捉えるか、旅行記と捉えるか。
いや、その全てである。
プロレスラーという職業を通して見た偽りのない、その場所に住む人目線からの世界情勢。
コロナ、戦争...
一プロレスファンとして興味深かったのは、
プロレスが根付いていない国の興行でもそれなりに集客があるということ。
今や日本のプロレス界はただでさえ昭和の時代より少ないプロレスファンを各団体が取り合う。
だから都市部の団体は集客に苦戦する。
そんな状態である。
それはプロレスを"プロレス"として売り出しているからでは無いだろうか。
そんな気がした。
プロレスを&qu -
Posted by ブクログ
この本を読んで改めて思った。プロレスは、真にユニバーサルな文化なのだなぁ、ということを。
思い返せば、自分が子供の頃観ていたプロレスでも、サーベル振り回して暴れるインドの狂虎や、火を吹くアラブ人や、ド派手に空を飛ぶ千の顔を持つ男や、多くの魅力的で怪しい外国人レスラーがリングを彩っていた。
肉体がぶつかればシンプルに、痛みが、感情が伝わる。そこに言葉の壁などない。
「プロレスラーは世界をめぐる旅芸人である」
プロレスという「芸」を携えて、TAJIRIはプロレス後進国を含む多くの国々を訪れる。
お国柄、食文化、生活水準はそれぞれ異なっていても、プロレスを通じて、選手たち、観客たちはすぐに一体 -
Posted by ブクログ
ヨーロッパに始まり、アメリカにアジアと世界をプロレスで回るTAJIRIさんの旅行記。純粋にプロレスにかける熱量が伝わってくるヨーロッパ、アジア編が楽しい。
どこへいっても、変わらない態度で接するTAJIRIさんもいいです。
おそらくプロレスラーとしての時間は、残り少なくなってきているはず。その中で、自分が何を成し遂げてきたのか、何を残すことができるのか、と考えながらプロレスしているのでしょうね。そして、いまだに何を新たに見つけることができるのか、ですよ。
プロレス講習で感じます。
タネを蒔いて、新たに芽吹く。その花は咲き誇るかどうかはわからないけども、タネを蒔くことをやめなければ、いつかそ -
Posted by ブクログ
ちょうど2年前、林育徳の小説「リングサイド」を読んで、日本のプロレスが台湾の新世代文学のモチーフになっていることに感激しました。逆に本書は世界を旅するプロレスラーのモノローグが人間の生き方にとっての文学的な問いかけになっていることに驚きました。題して「プロレス深夜特急」…自分の知っていたWWEに行くまでのTAJIRIも一筋縄ではいかない不思議な存在感を放っていましたが、その後のキャリアで、こんなに複雑な自我を育んでいたのですね。いや、そもそもそういう内省の人だから、ああいうプロレスラーになったのかもしれません。「リングサイド」では台湾とノアという組み合わせに意表を突かれましたが、本書でもイギリ