あらすじ
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文豪レスラーTAJIRI大好評シリーズ『プロレス深夜特急』第2便。
戦争、ウイルス蔓延、史上稀な不穏の日々をものともせず闘い続けるプロレス者たちの記録。
これが人生の闘い方だ!
世界のプロレスを知る男TAJIRIが訪れたのは、ウクライナ戦争、新型コロナ蔓延に見舞われた欧米各国及びアジア。
行動制限等での試合開催危機、物価高騰による大幅なコスト増等、各団体は大打撃を食らっていたが、世界のプロレス者たちはどんな状況からでも立ち上がる。
試合をすることで経済を回すことに舵を切った団体、戦争難民として命の危険に遭いながらもプロレスラーになって人生を激変させようとリングデビューした青年、プロレスラーの彼女になったウクライナ難民、帰国できず日本で孤独と闘い続けた者、障害を抱えながらも己の人生と向き合う少年、地方の小さな団体を運営しながら怪気炎をあげる者――旅先で出会った彼らは置かれた場所でそれぞれの人生を闘っていた。
TAJIRI渾身のトラベルルポルタージュ『プロレス深夜特急』シリーズ第2便。
愛弟子フランシスコ・アキラの闘いを書いたTAJIRI初の小説「アキラの居場所」も特別収録。
<目次>
世界の有事、そのときプロレスラーごときに何ができるのか~まえがき(かなり長め)にかえて~
第1章 戦争とプロレス
欧州マットを直撃した「ウクライナ戦争」・篇
第2章 脱コロナとプロレス
イギリス、闘う障害者。……あ、里村さんのこと忘れてた!・篇
第3章 激戦前夜の欧州6か国大横断
フィンランド、オーストリア、イタリア、マルタ、ポルトガル、イギリス・篇
第4章 フィリピン、これでいいのだ!
2度目、3度目のフィリピン・篇
第5章 アメリカ。俺たちは生き残ったんだな。
ポスト・コロナに踏み出した大国・篇
第6章 発見! 日本にもあった非日常の世界!
BURST&アジアンプロレスという地方の熱量・篇
[特別編]小説 アキラの居場所
プロレスラーの彼女になったウクライナ難民のことなど~あとがきにかえて~
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本を社会・政治の本と捉えるか、
プロレス本と捉えるか、旅行記と捉えるか。
いや、その全てである。
プロレスラーという職業を通して見た偽りのない、その場所に住む人目線からの世界情勢。
コロナ、戦争...
一プロレスファンとして興味深かったのは、
プロレスが根付いていない国の興行でもそれなりに集客があるということ。
今や日本のプロレス界はただでさえ昭和の時代より少ないプロレスファンを各団体が取り合う。
だから都市部の団体は集客に苦戦する。
そんな状態である。
それはプロレスを"プロレス"として売り出しているからでは無いだろうか。
そんな気がした。
プロレスを"プロレス"として売り出すのか、
プロレスを"娯楽"として売り出すのか。
誰に向けて売ってるのか。
もちろん良し悪しでは無いのだが、
日本に再び大衆娯楽としてのプロレスを根付かせるには、
そこにヒントがあるかもしれない。
と本書を通して感じた。
Posted by ブクログ
九州の話、面白かった。写真のキャプションが相変わらず攻めてるが、同年代の人間にしか伝わらないのではないかと思うと、同年代だからこの本を本当に楽しめるという幸運に感謝するしかない。
Posted by ブクログ
ちょうど2年前、林育徳の小説「リングサイド」を読んで、日本のプロレスが台湾の新世代文学のモチーフになっていることに感激しました。逆に本書は世界を旅するプロレスラーのモノローグが人間の生き方にとっての文学的な問いかけになっていることに驚きました。題して「プロレス深夜特急」…自分の知っていたWWEに行くまでのTAJIRIも一筋縄ではいかない不思議な存在感を放っていましたが、その後のキャリアで、こんなに複雑な自我を育んでいたのですね。いや、そもそもそういう内省の人だから、ああいうプロレスラーになったのかもしれません。「リングサイド」では台湾とノアという組み合わせに意表を突かれましたが、本書でもイギリスはともかく、アイルランド、スコットランド、ポルトガル、オーストラリア、マルタ(!)、イタリア、フランス、そしてフィリピンと「そんなところにプロレスが?!」の嵐です。アメリカでもフィラデルフィアだし、日本でも屋久島や種子島でプロレスするのです。なんてプロレスってグローバルで、しかもローカルなエンタメなんだろう。こんな時期だからこそ、ウクライナのレスラーにコンタクトしょうとしたり、ロシアのプロモーション調べたり、まさに「プロレスは世界の言葉」です。WWEレスラーとしての知名度とプロレス先進国日本出身という技術への信頼とそして旅するレスラーのメンタリティで「プロレス深夜特急」は戦争とコロナの隙間を掻い潜って走り続けています。世界のプロレス仲間とプロレスするために、酒を飲むために、メシを食うために、アクシデントに出会うために(?)。著者は言います。「日常と旅の繰り返し、それが人生。だとしたら、死ぬ瞬間まで旅は終わらないのだ。」ちなみに今年の1・4新日本プロレス東京ドーム大会の録画を見たのですが、あまりの難易度の高いトリッキーな技の応酬についていけませんでした。本書の中でTAJIRIがマニアのためのプロレスの危うさに警鐘鳴らすのに、思わず共感!