東原敏昭のレビュー一覧
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日立の壁 現場力で「大企業病」に立ち向かい、世界に打って出た改革の記録
大企業の壁を現場の力で打ち破る勇気が心に響く一冊です。
日立製作所が製造業史上最大の赤字から見事なV字回復を果たしながらも、まだ終わらない課題に挑み続ける物語が現場目線でリアルに描かれています。組織の硬直化や縦割り文化、忖度といった大企業病に真正面から挑み、言い訳や先送りを許さない覚悟と決断力の重要性を痛感しました。働く親として、変化を恐れず挑み続ける姿勢が自分の日常にも重なり、家族や仕事での成長に役立つヒントが多数得られます。改革の壁を乗り越えるためには一人ひとりの現場力と覚悟が必要だと改めて教えられる、実用的で深いビジ -
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2008年に製造業史上最大の赤字を出した日立が、今日の磐石な経営・事業体制に持っていくまでに何をしてきたのかを社長自ら書いた本。
大企業再生系の本は経営判断がダイナミックになるので、読んでいて面白い。
カンパニー制からビジネスユニット制への転換など、末端社員からすると何が変わるのかよく分からない改革について社長目線で考えていたことを書いているのでほへぇ〜となる部分が多かった。
今まで属した会社でも在籍中に事業の区分改革は実施していたので、改めてその意図を考えてみたい。
事業改革系の本はバーッと読めるし、読んでいてワクワクするので今後も積極的に手を出していきたいところ。
日立建機や日立金属な -
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倒産の危機を前会長たちによってV字回復で建て直された日立。彼らから指名されて経営のバトンを受け取った東原氏のさらなる改革を記した本です。
ミッションは3つ
・営業利益率の高い「稼げる会社」にすること。
・モノ(製品)を売るビジネスからコト(サービス)を売る社会イノベーション事業の強化
・グローバル企業への成長
日立を「大企業病」から救った縦割りのカンパニー制を廃し、すべての事業を社長の直轄とし、社長自らがハンズオンでマネジメントするBU制に移行させた東原氏。社内改革を事前に告知しなかったそうですが、「大改革を断行するときは、説明より結果が大事なときがある」という考えは、強引に見えるけれども -
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日立の強みを実感できた。自分の強みを踏まえて、ポートフォリオを入れ替えていく経営方針は、理想とされているが、なかなか実行に移せている社は少ないのではないか。
また、組織マネジメントについては、GoogleやNetflixのような先進的な企業との共通点が多く見られたように思う。未来投資本部に関しては、Googleの20%ルールに近いものを感じたし、自律分散型グローバル経営に関しては社員の自律的な動きを前提とするNetflixのような組織を目指す姿勢が感じられた。
さらに、組織として目指すべき姿に応じて会社の構造を変えていくという点については、行政もしっかり向き合うべきであると感じた。マネジメント -
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ネタバレ日立という会社、東原氏のことの経営観を知る上では大変面白い読み物だった。特に、自身が手掛けた鉄道管理システムのATOSが基になったご自身の経営観は非常にわかりやすいものだった。
・赤字は悪というマインドがないのは危険。稼がないとダメ。利益が出なければ、社会に貢献するための事業を展開するための次の投資ができない
・この会社とこの会社を一緒にすればシナジーがあるという理論だけではグループ会社の中で反発が起こり、合理的な判断が難しくなるケースを見てきた。社員が望んで一緒になると思えるかどうか。一緒になったらもっと大きいことができるなという自覚を持ってもらえるか
・経営の考えにはATOSと同じよ -
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ネタバレ多額の赤字を経験し、経営危機をどのように乗り越えてきたのか、そしてこれからの日立がどのような分野に注力し、どのような企業をめざしていくのかを東原氏(日立の取締役会長)の視点で書かれた本。
日立=日本を代表する日経企業であり、日本での売上がほとんどだというイメージがあった。しかし、実は海外での売上の方が多いグローバルカンパニーであるということを知って驚いた。
本書を読んでいて、日立はこれからも世界をフィールドに、世界と戦っていく企業だということを確信した。
よく「日本の経済は衰退した。日本の将来が不安だ。日本はもう終わりだ。」という声を耳にする。しかし、だからこそ私は日本の企業に頑張ってほし -
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大みか工場で鉄道システムを担当していた技師が日立グループ総帥として、川村・中西改革を完成させる物語。
東原会長自身が(も)担当した東京圏輸送管理システム(ATOS)という自律分散型システムの3つの特徴である、均質性、制御製、協調性、を会社の経営にも導入した、という説明は、(もしかしたら後付けなのかもしれないけれど)分かりやすかった。
権力を握ると組織を弄り倒したくなるのは、どの組織でも共通に見られる現象なので、当時の当事者にとっては、一連の組織改革は、正しい方向に向かっているのか心許無く思っていたひとが多かっただろうと想像する。経営は結果が全てであり、業績の著しい改善と時価総額の増大を見れ -
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日本は沈んでも日立は沈まない、と言われた日立。
その社長に、予想外の抜擢で就任した東原氏。
日立では、長年、東大工学部卒で日立工場長経験者でないと社長になれない、という不文律みたいなものがあった。そんな中、徳島大学というローカルかつマイナーな学歴で、大みか工場に配属され、大多数の学卒が開発や設計といった部署に散っていく中、自ら検査部を選んで、社会人としてのスタートを切った。これまでの感覚だと主流を外れたとみなされるが、この職場を選んだ思いやそこで学んだ姿勢や取組みに非凡さを感じた。
常に自分の成長を考え、真摯に取り組んでいく意識の高さ、それを見抜いていた前社長の中西氏の眼力もすごい。大企業にあ