礪波護のレビュー一覧

  • 馮道―乱世の宰相―

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    唐が滅んだ後の五代という乱世において、その篤実さによって目まぐるしく入れ替わる皇帝たちの信頼を勝ち得、宰相職を歴任し続けるという未曽有の功績を残した馮道の生涯。王朝とはいっても地方軍閥に外ならず、その興亡による闘争が収まらない状況下で、馮道は高位の政治家として「国に忠」であること、その国とは王朝とその皇帝一族ではなくそこに生きる民衆のことであり、そんな人々を保護しようとする姿勢が一貫していたということがよくわかる評伝である。

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    2025年02月28日
  • 馮道―乱世の宰相―

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     唐末から五代の乱世の時代。黄巣の乱や、後粱ー後唐ー後晋ー後漢ー後周そして宋による統一といった大まかな流れは知っていたものの、あまり良く知らない時代。
     そんな戦乱の時代に、5つの王朝(後唐、後晋、遼、後漢、後周)八姓(後唐の荘宗・明宗・末帝がおのおの一姓。後晋の石氏。遼の耶律氏。後漢の劉氏。後周の太祖・世祖がおのおの一姓)、11人の天子に高位高官として歴事すること30年、宰相を20余年務めた人物、それが本書の主人公、馮道。

     一人の天子に対して忠義に仕えること、それが「忠」であるとする君臣名分論者からは、馮道の生き方は批判されてきた。しかし、馮道は「国に忠なり」とは言ったが、「君に忠なり」

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    2024年06月17日
  • 中国の歴史12 日本にとって中国とは何か

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    シリーズの締め括りとして、全時代を通して中国の国土や歴史がいかに形成されてきたか、世界そして日本との関わりはどのようであったかを示す論考が六編収録されている。共通の文化基盤を持つ一方で、全く異なる価値観を持つ隣国との関係を考えるにあたって、表面的な知識は逆に相互理解を妨げることがあるという指摘は示唆に富むものであると思う。

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    2021年06月18日
  • 中国の歴史12 日本にとって中国とは何か

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     この本の評価は難しい。内容的には2005年に出版された本をほんの少しお化粧して2021年6月に出版されたもの。この12巻が最後なのでこれで完結。とにかく題名が素晴らしい。「日本にとって中国とは何か」である。6人の歴史学者がそれぞれ分担して数十ページずつ書いているのだが、もう一度全面的に描き直してほしかった。
     ただ、企画が素晴らしいので本屋で手にしてから数日で読み切った。11巻も一緒に買ってあるのでそれも読むことにする。内容は退屈することのない論文なのだが…

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    2021年06月13日