藤岡雅のレビュー一覧
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地面師事件に端を発した積水ハウスの内部紛争の顛末を記した一冊。クーデターを起こした側が取材を基本的に受け付けていないので、見方が偏っている可能性もあるが、とても迫真に迫る出来栄えであった。ここまで書かれても反論等をしなかったり取材に応じないということは、書いてあることが相当に事実に近いということになるのか。そうであれば社員は本当にかわいそうだと思うし、これでは誇りをもって働くことなどはできないのではないかと思うけど、大きな会社だから、どこか遠いところで起こった出来事という感覚なのかな。
前半は事件や会社内部の動きがリアルで面白く、後半はコーポレートガバナンスのくだりがとても印象的だった。これま -
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積水ハウスが55億円の詐欺被害にあった地面師事件に絡み、社長の責任を追求しようとした会長が逆に辞任に追い込まれたクーデターから3年近く経ち、事件の裁判や株主提案を経た2021年5月に刊行された本。
「事実は小説より奇なり」と言うけど地面師事件そのものは面白いけど小説どころか「絶対やっちゃアカン取引」啓発ビデオくらいにしかならなそうなお粗末なもの。対して、失脚させられた会長はじめ老兵たちが真のガバナンスを求め米国関係者を巻き込み捨て身の株主提案を行うまでの流れは胸が熱くなる。
クーデターにまつわる実際のところは一方からではわからない。が、裁判時の提出資料などをもとに書かれていて信憑性はある程 -
購入済み
地面師と一緒に読んでほしい
面白いです。
地面師にやられた話から、当事者らによる保身の為の社内クーデターに始まり、企業ガバナンスや不動産に関係する法律など読み応えがありました。
まずは事の発端である地面師を読んでから本書を読む事をオススメします。 -
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『保身 —積水ハウス、クーデターの深層』(藤岡雅 著)は、日本でも屈指のハウスメーカーで起きた「騙されるはずのなかった地面師事件」の背後で、会長クラスの解職という社内クーデターまで引き起こした驚愕の経緯を描いたノンフィクションです。  
事件の核心は、積水ハウスが詐欺師グループ(地面師)に土地を偽って売買させられ、取引総額70億円、実損55億5900万円を失ったことに始まります。信じられないミスが続く中、全容解明を進めていた会長は「調査報告書」に社長責任が明記されていたことにより、社長主導の解任動議で失脚してしまいます。まさに「保身によるクーデター」が企業トップの内紛に発展した瞬間でした -
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『保身 積水ハウス、クーデターの深層』 藤岡雅 (著)
2017年6月1日に積水ハウスは地面師に騙され、取引総額70億円、55億5900万円を支払った。
事件の舞台は、東京都品川区の山手線五反田駅から徒歩3分の立地にある旅館「海喜館」の旅館敷地600坪。そんなことがあるのだと思った。森功の『地面師』を読んで、地面師の手口は実に巧妙で用意周到なのだ。地面師チームは、役割分担がきちんとされる。一番肝要なことは、地主になりすます人をどうリクルートするかにある。地主への徹底したリサーチとそれに基づいた偽地主の作り方と証明書の偽造。まさに、職人技が発揮される。
本書は、積水ハウスの会長が辞任したというこ -
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積水ハウスで起きたクーデターについての本。
同社が被害にあった地面師による詐欺事件をきっかけに、当時の和田会長が社長をクビにしようとする。
和田会長はカリスマ的な経営者であり、その頃はもっぱら海外事業に取り組んでいた。
会長にとって地面師詐欺は寝耳に水だった。
詐欺グループはいくつか大きなミスを犯しており、積水ハウスにも詐欺であることを知らせる警告が各方面から寄せられていた。
社長以下の担当者がなぜ騙されたのか、不可解なほどであった。
そのため、第三者委員会は社長の免責辞任は避けられないと結論づけた。
しかし、取締役会は多数派工作により社長派が過半数を占めていた。
会長は海外事業に専念する -
購入済み
真の『ガバナンス』とは…?
2021年8月読了。
当該の地面師の事件だけは何となく憶えていましたが、それが積水ハウスを相手にした、これ程「根深い性悪」な事件であったとは全く知りませんでした。そして、まだ「決着」が付いていない事にも…。
それにしても、積水のやり方(社史)は良くも悪くも「日本的企業経営」の典型なんですねぇ…。高度経済成長期等を思えば、一概に「悪い」と斬って捨てる訳にもいかず、さりとて「クーデター」の詳細を読めば、自己保身にのみ長けた経営陣の浅ましさが際立っており、耐えられずに辞職された方々の気持ちを思うと居たたまれない気持ちに成りました。
私たち日本人は、もう一度「資本主義」について学び直 -
Posted by ブクログ
とても面白い!
不動産の知識面とガバナンスの両面から、とても勉強になる本。また海外ビジネスの拡大という意味でも勉強になる。
五反田海喜館の土地を地面師に60億円騙し取られた積水ハウスの話。
小林興起氏の名前も出てくる。預金小切手で支払われた。マネロン?
仮登記で逃げるのが普通な地面師詐欺だが、本登記で60億円まで振り込まれたという謎の答えは、内通者がいること。。
ディテールにさりげなく謎かけを残しておく書き方が憎いw
旧時代の実力者和田氏と地面師詐欺事件の首謀者でありクーデターを起こし和田氏を解任した阿部社長。。。その後積水ハウスは増収増益。。
表面上の印象である旧来のイケイケどんどん