野林健のレビュー一覧
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国連難民高等弁務官として数々の功績を残してこられた緒方貞子さんの回顧録。その揺るぎない決断力と実行力にただただ舌を巻く。問題の真の所在を見極め、その解決のために既存のルールやしがらみにとらわれず、行動を起こしやり遂げる。どうしてここまで出来るのだろうか凡人の自分には考えが及ばない。出来ることならご存命のうちに講演など直接声を聞いてみたかったが、叶わぬ願いとなってしまったのでもっと書物で学びたい。
以下、備忘しておきたい言葉。
・人の生命を守ることが一番大事なことで、そのことに従来の仕組みやルールがそぐわないならルールや仕組みを変えればよい。それが私の発想でした。
・見てしまったからには、何か -
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国連難民高等弁務官に64~73歳で勤められ功績多数。政治を研究し、国連に関わる仕事もされ、様々な積み重ねの果てに推薦される。
人の命を守ることを目的に、組織の枠や慣例に捕らわれず何がベストか考え、実行され続けた方。
これは◯◯の仕事、とか考えてしまいがちであるが、やった方が良いことは、ルールを変えて実行する。国連ルールを疑えるほど、一本通った筋の源泉を自分の中に持つにはどうすれば。。議論して多様な意見を取り入れることか。
リアリスト。時間と成果を考えた時に、ルール化ではなく明文化しゆっくりコンセンサスを得ることがベストになり得る、特に国際社会では、という事例を初めて知った。
人間の人権保障。時 -
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なんという降り幅の広い生涯を送って来た人なんだ、というのが読み終わっての第一の感想。
国連難民高等弁務官としての活動は同時代で多少は分かっていたが、犬養毅の曾孫として生まれ、満洲や国際外交の研究者として実績を残し、妻として母としての一面も持ち、JICA理事長も務めるという数々の顔を持つ凄味。
「人の生命を守ることが一番大事なことで、そのことに従来の仕組みやルールがそぐわないのならルールや仕組みを変えればよい」この言葉が今最も心に刺さる。
今年一番の本に出会ったかも。
日本人という枠に拘らず、国際人の生涯に触れたい人にオススメ。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。
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Posted by ブクログ
「聞き書」で「回顧録」ということに対する違和感は的確な予想だった。
回顧録だから自身が言い残したいことをまとめているのは普通のことで、緒方は自身が関わった仕事について記録を残すことは歴史的使命であるというのだから、成人してからはひたすら仕事のことを回顧しているのは当然のことなのだろう。
聞き手であり編者である国際政治学者2人(緒方の教え子)は、緒方が関わった仕事について把握したうえで、問いかけている。この問いかけが適切なのであろう、読みやすく情報が整理されている印象だ。
だけど物足りない。
わざわざ「聞き書」と明記していながら、聞き手の主体性が感じられない。緒方の意向に添って上手に話を聞き出 -
Posted by ブクログ
インタビュー形式なのでとても読みやすい。
緒方貞子氏のことは、国連難民高等弁務官だったということしか知らなかった。
本書を読んで犬養毅のひ孫と知った。
祖父も父も外交官であった。
その環境からがあったからこそ、彼女の国際的な活躍があるのだろう。
とてもニュートラルな感覚の持ち主で、現場をよく知ろうとしたところに彼女の誠実さを感じる。
また、変化を厭わず必要であればルールを変えることも辞さない強さもあった。
また、謙虚さも兼ね備えていてトップになるに相応しい人である。
本書では、彼女の実績を中心に書かれているが、もう少し深く掘り下げた彼女自身の内面的なものも知りたくなった。
緒方氏が国連難民高等