虎尾達哉のレビュー一覧
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律令制と聞くだけで何やら、スーパー官僚などがいて、一糸乱れず行政を遂行するイメージを持っていたが、古代の官僚(貴族)は、まったくの反対であった。
今までの常識を覆えされただけで本書を読み価値がある。
決してワクワクしたり、為になったり、読みやすいわけではないのだが、知らないことを知れただけで★5としました。
儀式には無断欠席するわ、仕事はさぼるわ、目が届かなければ私腹を肥やすわで、もう「ザ・未開国」という状況。
それも天皇が出席する儀式に、6位以下の下級官僚が集まらず儀式が始められず、偉い人達が、昼夜問わず出席者が来るまで待ち続けるとか、サボタージュしても、1年に1回の昇進が遅れるくらいで、罰 -
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古代の天皇や国家の姿を勤怠から考えた本。
律令などを見ていると、勤怠についての規定は厳しくて精勤の度合いは少なくとも6つくらいの段階で細かく定められているような印象だったが、結構怠ける人がいたというのは驚きだ。
驚いたのと同時に、きちんと精読すればこういった視点からも新たな研究ができるのだということに感動した。
また、これほど儀式や日常の執務に欠席する人がいても様々な大規模事業が行われていたのはなぜなのかも改めて考えると面白い。
どうやって中国由来の律令をローカライズしたのか、従来の日本列島で築かれてきた大王と豪族の関係や支配の構造とどのような齟齬があり、どうやって解決していったのかという点 -
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虎尾達哉「古代日本の官僚」(中公新書)律令国家の官人達がいかに職務をサボってきたかについて多くの事例で語る。律令国家が緩んだから官人がサボるようになったのではなく、そもそも律令国家が成立する前から官人は働かなかったのだという。
5-6世紀の日本では大王とマエツギミ層が朝廷を主導し、実務をトモノミヤツコ層が世襲的に務めていた。大化の改新から天武・持統朝までの間に、それを律令官僚に転化しようとしたが上手くはいかなかった。トモノミヤツコ層は6位以下の官人となったが、元は地方豪族であり官からの給与はそう有難いものではない。忠勤して官位が上がっても上級官僚になれる訳でもない。官人として免税特権を得られれ -
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『天皇に仕えた怠惰な面々』というサブタイトルに惹かれました。
常々、日本の公務員の堅苦しいまでの生真面目さがどこから来るのだろうと思っていました。
他の国での、露骨な賄賂要求のようなことはもちろん、業務をサボタージュするのが当たり前になっていないという、生真面目さ。
いやいや、田舎での役場の職員に対する評価の厳しさは知っていますよ。
公務員ほど楽な商売はない、的な。
でも時間に厳しいところとか、書式にうるさいところとか、まあ生真面目でしょ?
いーよ、いーよ、適当で、なんて絶対言わない。
アジアって緩そうなイメージあるじゃないですか。
古代日本は全然緩かったですな。
古代日本の官僚というのは -
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まず、帯のコピーにやられた。
「古代の役人たちの怠慢ぶり」
「天武天皇は目をつぶり、桓武天皇は顔をしかめた」
こんなコピー掲げられたら、読むしかない。
この本は、天武朝から平安初期までの官僚の勤務実態に迫る。
官僚制度の仕組みを説明する部分など、少し難しいところもある。
それに、やはり特有の用語もある。
だから、誰でもすいすい読めるとは言わない。
が、そういうところを読み流したとしても、なかなかのインパクトを感じられると思う。
さて、その天武朝あたりのころ。
律令制の移入期にあたる。
だから、天皇に対し忠勤するという観念がない。
が、律令により、官人の身分が家柄で縛られる。
六位以下の非貴 -
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官僚というと、今時だと忖度、改竄、隠蔽とかネガティブなイメージが浮かんでくる。高級官僚ではない一般の公務員というと、真面目に働いているというイメージが今でもあるだろう。
古代の日本が大陸の唐などに倣って、天皇を頂点とした律令国家となり、それに仕える官僚たちもさぞかし真面目に働いていたとばかり考えていた。、しかし、そうではなかったという話である。その怠慢ぶりもすごい。重要な儀式には出てこない、勤務時間がルーズ、転勤先には行かない、行ったら行ったで、その地で私腹を肥やす。
そんなではさすがに、今でいうところの懲戒処分や刑事罰をくらう。しかしそれが本来の規定とか通達より、かなり緩々の運用とな -
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ネタバレ2024.10.7再読
怠惰なのは儒教的な勤勉さが我が国に根付いてない
ことと、朝賀儀で天皇臨席への君臣関係意識が薄い
下級官人(六位以下)は位階の昇進は給与に反映し
ない(逆も同じ)からか制裁されない
2021.8.27 古代の専制的と思われる天皇の元
優秀な官僚たちは、その智慧をサボる事に費やした
規則は規則が官僚的だと思うのだが、どうにも怠惰
な出来事ばかり記録に残り、遅刻したらダメみたい
な、つまらない事が法律で何度も出される
出席しなければ〇〇を失う、という条件でも平気で
欠席して〇〇だけはチャッカリ受け取ろうと詭弁を
弄するし、天皇や官僚機構もなし崩しに許そうとす
る、歯がゆ