虎尾達哉のレビュー一覧

  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    文章が読みやすいです。
    国家形成期やその直後というと専制君主と機械的な官僚たちというイメージがありましたが、必ずしもそうでないことを学びました。

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    2024年02月01日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    真面目な題材乃新書で、面白かった!笑った!という感想を持てるのは珍しいこと。
    第一章で古代日本の官僚制度や位階の仕組みを説明し、二章以降は数多くの実例で官僚の怠業の実態を明らかにする。

    天皇列席の儀式に出ない、なんなら3日続けて無断でサボる。それを咎める側も、決して厳罰を与えない(理由についての考察も本書内で展開される)。
    その他、古臭い礼法が(禁止されてから)数世代にわたって受け継がれるなども。帯に「桓武天皇は顔をしかめた」とあるが、なぜ桓武の顔が歪んだのか、必読です。

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    2023年02月09日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々。虎尾 達哉先生の著書。古代日本の中下級官僚たちの「怠惰な」勤務実態を検証したとても個性的な一冊。怠惰な中下級官僚たちはいつの時代にもいるということ。怠惰な中下級官僚たちは古代でも現代でもきっと将来でも存在している。怠惰な中下級官僚を上から目線で批判したり非難したり罵ったりするのは簡単なこと。でも人間はもともと怠惰な生き物というあきらめも必要なのかも。自分は怠惰でないと思うこと自体が自信過剰の思い上がり。

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    2022年07月23日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    律令制と聞くだけで何やら、スーパー官僚などがいて、一糸乱れず行政を遂行するイメージを持っていたが、古代の官僚(貴族)は、まったくの反対であった。
    今までの常識を覆えされただけで本書を読み価値がある。
    決してワクワクしたり、為になったり、読みやすいわけではないのだが、知らないことを知れただけで★5としました。
    儀式には無断欠席するわ、仕事はさぼるわ、目が届かなければ私腹を肥やすわで、もう「ザ・未開国」という状況。
    それも天皇が出席する儀式に、6位以下の下級官僚が集まらず儀式が始められず、偉い人達が、昼夜問わず出席者が来るまで待ち続けるとか、サボタージュしても、1年に1回の昇進が遅れるくらいで、罰

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    2021年12月26日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    なるほどこういう見方もできるんだと目からうろこの本。「続紀ばかりボーっと読んでんじゃねえよ」といわれたような気が。やはり詔勅や官符など含めいろんな史料をちゃんと読まなければいけないよう。しかし、古代史もかなり進んでいるんだなと感じた。もっといろいろ本や講座などで様々な説に触れていこうと思わせる本だった。(もちろんすべて鵜呑みにするということではない)

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    2021年06月21日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    古代の天皇や国家の姿を勤怠から考えた本。
    律令などを見ていると、勤怠についての規定は厳しくて精勤の度合いは少なくとも6つくらいの段階で細かく定められているような印象だったが、結構怠ける人がいたというのは驚きだ。
    驚いたのと同時に、きちんと精読すればこういった視点からも新たな研究ができるのだということに感動した。

    また、これほど儀式や日常の執務に欠席する人がいても様々な大規模事業が行われていたのはなぜなのかも改めて考えると面白い。
    どうやって中国由来の律令をローカライズしたのか、従来の日本列島で築かれてきた大王と豪族の関係や支配の構造とどのような齟齬があり、どうやって解決していったのかという点

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    2021年05月04日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    目から鱗が落ちるとはまさにこのこと。今まで何の疑いもなく、古代官僚は律令制のもと勤勉に働いていたと思い込んでいました。ところが、怠業・怠慢が当たり前で、「位階は天皇からの距離を示す」「儀式は君臣関係を確認する場」といった古代史の共通理解が誤ったイメージだったと思い知らされました。あまりにも衝撃的すぎて、読み終えてもなおまだ心のどこかに信じられない思いがあります。
    虎尾さんの律令官人制のご研究は個人的にとても興味があり、私のかつての研究テーマとも近いので、頑張って専門書の方も読んでみようと思います。

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    2021年04月25日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    虎尾達哉「古代日本の官僚」(中公新書)律令国家の官人達がいかに職務をサボってきたかについて多くの事例で語る。律令国家が緩んだから官人がサボるようになったのではなく、そもそも律令国家が成立する前から官人は働かなかったのだという。
    5-6世紀の日本では大王とマエツギミ層が朝廷を主導し、実務をトモノミヤツコ層が世襲的に務めていた。大化の改新から天武・持統朝までの間に、それを律令官僚に転化しようとしたが上手くはいかなかった。トモノミヤツコ層は6位以下の官人となったが、元は地方豪族であり官からの給与はそう有難いものではない。忠勤して官位が上がっても上級官僚になれる訳でもない。官人として免税特権を得られれ

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    2025年11月26日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    キャッチーで読みやすいのに中身は予想以上に硬派でよかった。
    中国に倣って専制君主国家の体制を整えたものの、元々礼を美徳とする精神を持ち合わせない日本人による国家運営はいかに緩いものであったか。
    官庁もそれをよく承知した上で、官僚機構を維持しようとしたことが分かる。官僚も官庁も現実的で強か。

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    2024年04月18日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    『天皇に仕えた怠惰な面々』というサブタイトルに惹かれました。
    常々、日本の公務員の堅苦しいまでの生真面目さがどこから来るのだろうと思っていました。
    他の国での、露骨な賄賂要求のようなことはもちろん、業務をサボタージュするのが当たり前になっていないという、生真面目さ。
    いやいや、田舎での役場の職員に対する評価の厳しさは知っていますよ。
    公務員ほど楽な商売はない、的な。

    でも時間に厳しいところとか、書式にうるさいところとか、まあ生真面目でしょ?
    いーよ、いーよ、適当で、なんて絶対言わない。
    アジアって緩そうなイメージあるじゃないですか。

    古代日本は全然緩かったですな。
    古代日本の官僚というのは

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    2023年12月17日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    まず、帯のコピーにやられた。
    「古代の役人たちの怠慢ぶり」
    「天武天皇は目をつぶり、桓武天皇は顔をしかめた」
    こんなコピー掲げられたら、読むしかない。

    この本は、天武朝から平安初期までの官僚の勤務実態に迫る。
    官僚制度の仕組みを説明する部分など、少し難しいところもある。
    それに、やはり特有の用語もある。
    だから、誰でもすいすい読めるとは言わない。
    が、そういうところを読み流したとしても、なかなかのインパクトを感じられると思う。

    さて、その天武朝あたりのころ。
    律令制の移入期にあたる。
    だから、天皇に対し忠勤するという観念がない。
    が、律令により、官人の身分が家柄で縛られる。
    六位以下の非貴

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    2022年08月21日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    主に9世紀までを対象に、律令国家の担い手であった官僚達の怠惰な勤務実態を具体的に検証する内容。事例そのものも興味深いが、取り入れた律令の運用がローカライズされ、日本独特の国家運営となっていく様子が面白い。

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    2022年06月28日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    目次からもう面白い。儀式に出ない、無断欠勤、遅刻…などなど古代の官人たちはこんなに怠慢な態度であり、それを国家として許容していたことが現代とはあまりに違い、笑いながら読んだ。だが後半で不正を働く官人の様子が語られるようになると、この怠慢の陰で当時国民とも見なされていない市井の人々がいかに苦しんだのかに思いをよせてしまい、もう笑えなくなった。特権を許されると、職務を果たさずに特権だけを享受しようとする、現代にもいる人間や組織の姿と重なった

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    2022年04月17日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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     官僚というと、今時だと忖度、改竄、隠蔽とかネガティブなイメージが浮かんでくる。高級官僚ではない一般の公務員というと、真面目に働いているというイメージが今でもあるだろう。

     古代の日本が大陸の唐などに倣って、天皇を頂点とした律令国家となり、それに仕える官僚たちもさぞかし真面目に働いていたとばかり考えていた。、しかし、そうではなかったという話である。その怠慢ぶりもすごい。重要な儀式には出てこない、勤務時間がルーズ、転勤先には行かない、行ったら行ったで、その地で私腹を肥やす。
     そんなではさすがに、今でいうところの懲戒処分や刑事罰をくらう。しかしそれが本来の規定とか通達より、かなり緩々の運用とな

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    2022年03月20日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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     仕事をしない、覚えもしない、そもそも出勤してこない。
     忠良にして勤勉でなくてはならない、律令官人達の姿。

     飛鳥から平安まで、政府と天皇を支えた役人たち。上級官僚から下級役人に至る、目眩を起こしそうな勤務実態を抜き出すことで、官僚としての姿と豪族としての姿をしたたかに使い分けた律令官人達の姿を描き出す。
     古代ものを見聞きしたときのイメージがそれはもう大きく変わるインパクトと、そんなひどいのに国家はきちんと動いてた、と言う事実に瞠目する一冊。面白いです。

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    2021年10月03日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    重要儀式を平気でサボるなど古代日本の官僚たちの決して勤勉でない怠慢な実態と、そのような官僚たちに寛容な律令国家の姿を明らかにしている。
    少し著者が想像をたくましくして盛っている部分もあるように感じたが、これまで知らなかった非常に興味深い史実を知ることができ、面白かった。

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    2021年05月09日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    帯にひかれて思わず手に取った。日本史関連の本を読むのは久しぶりだったが、いやぁ面白かった。軽い筆致で、「昔の官僚は真面目だったのか?」というユニークな問に答えていく。飛鳥時代から平安時代にかけての新生・官僚たちが実はそんなに真面目ではなかった…ということが見えてくるのがただただ愉快であるとともに、自分が今生きている価値観というのが、あくまで「最近」作られたものだったのだなぁと気づかされる。新書の醍醐味を味わわせてくれる、素敵な題材。

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    2021年05月03日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    ネタバレ

    2024.10.7再読 
    怠惰なのは儒教的な勤勉さが我が国に根付いてない
    ことと、朝賀儀で天皇臨席への君臣関係意識が薄い
    下級官人(六位以下)は位階の昇進は給与に反映し
    ない(逆も同じ)からか制裁されない

    2021.8.27 古代の専制的と思われる天皇の元
    優秀な官僚たちは、その智慧をサボる事に費やした
    規則は規則が官僚的だと思うのだが、どうにも怠惰
    な出来事ばかり記録に残り、遅刻したらダメみたい
    な、つまらない事が法律で何度も出される

    出席しなければ〇〇を失う、という条件でも平気で
    欠席して〇〇だけはチャッカリ受け取ろうと詭弁を
    弄するし、天皇や官僚機構もなし崩しに許そうとす
    る、歯がゆ

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    2021年08月27日
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

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    ◯平安時代の前くらいに宮仕した官僚たちが、いかに怠慢であったかを解説。ただ、この本、それだけである。
    ◯様々な角度で怠慢であったかを説明している。儀式に出ない、仕事に来ない、などなど。しかし、それだけでは困る。なぜ来ないのか、こないだ何をしていたのかが気になるのだが、全く説明がない。
    ◯この点、記録がまだ発見できていないのか、仕方ない感もあるが、しかし推察でも知りたいと思ってしまう。
    ◯各省庁が怠慢を擁護していることなども説明されているが、これは現代でもある権限争いと考えられるため、やはり特別な感はない。

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    2021年06月30日