川瀬和也のレビュー一覧
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3月のNHK Eテレ100分de名著はヘーゲルの「精神現象学」の再放送でした。たぶん前も視聴したはずですが、なぜか今回はよりわかったような気分になりました。講師の斎藤幸平の解説も鮮やかに思えて、ふむふむの連続でした。『絶対な実体である精神とはすなわち、「私たちである〈私〉であり、〈私〉である私たち」なのである』とかメモしちゃいました。たぶん同じタイミングで読んでいた野中郁次郎「野生の経営」のキーワードである「相互主観」との重なる部分を勝手に感じていたのだと思います。なので、勢いでちくま文庫「精神現象学」上下二巻をポチッとしてしまいました。届いてペラペラしたら、やばい…この本、難物過ぎ、というこ
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Posted by ブクログ
今、ヘーゲル「精神現象学」にトライ中。もちろん素人がいきなり読むのはムリだと言うことは分かってるつもりで、何冊かの入門書を事前に読んでおいたのだが、半分で敢えなく挫折(それでも数ヶ月かかった)。一年のブランクを経て再度チャレンジ、ようやくラスト近くの「宗教」章まできたが、解説書では理解できても原書はナニを言っているのかさっぱり、というところが大半で読むのが苦痛。一旦柔らかめのヘーゲル本で頭をリセットし、自分の現在地を確認すべく本書を購入した次第。
著者は若手のヘーゲル研究者。内容は現代的テーマが多く取り入れられ肩肘張ったところがなく、ビジネスをはじめとする実践の場での活用と、ヘーゲル哲学 -
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『精神現象学』と『大論理学』のなかから、著者がヘーゲル哲学においてもっとも重要な意義をもつと考えている「流動性」にかかわる議論を紹介し、ヘーゲル哲学に対する従来のイメージを刷新する試みがなされている本です。
一般にヘーゲル哲学といえば、近代哲学の完成者であり、壮大な形而上学の構築者であるというものですが、近年の研究ではこのようなヘーゲル像は否定されており、日本でも加藤尚武がさかんにヘーゲル哲学の体系性を否定する議論をおこなってきました。しかし著者は、旧来のヘーゲル哲学のイメージに代わる、あらたなイメージはいまだ提示されていないと指摘し、「流動性」というキー・ワードにもとづいて、ヘーゲル哲学の -
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「自分の生き方、仕事の仕方を見つめ直してみたいと思っているビジネスパーソン」を対象に書かれたヘーゲル哲学の入門書です。
ヘーゲルといえばドイツ観念論の大成者であり、およそ現代のビジネス・パーソンの興味とはかけ離れた思弁的な議論を展開している哲学者というイメージがありますが、本書ではヘーゲル哲学を学ぶことが役立つというメッセージを強く押し出しています。そのさいに著者が注目しているのが、ヘーゲル哲学の「どっちつかず」な性格であり、そのような彼の思想を学ぶことで「結論が出ない苦しみに辛抱強く耐える」能力をはぐくみ、「考え抜く」態度を身につけることができると語られます。
本書で「どっちつかず」と呼