斎藤修のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人口が増えたから生産も増えたのか?生産が増えたから人口は増えたのか?
人口が増えたからイノベーションが起きるのか?イノベーションが起きたから人口は増えたのか?
人口が増えたから人類は繁栄できたのか?繁栄があったから人口は増えたのか?
人口とは、あらゆる社会問題の原因と同時に結果でもあり、しかもその要因はそれぞれ独立していない。
出生率、死亡率、生産量、資源量、技術革新、労働力。
全てのバランスが動態的に変動する事象を、読み解くことができるだろうか?
本書は約300ページの長編ながらも、論文のような精細さと読みにくさが同居しており、
ただでさえ要素が多い人口問題に、さらなる問題提起を重ねてく -
Posted by ブクログ
経済史の観点から、森林崩壊がいつどこで起きたのか、起きなかった場合と比較するという試み。立論や実証の過程で、環境経済学や開発経済学の理論・実証研究を援用しているが、結論では「市場か国家か」という経済学でしばしば見られる二項対立的な枠組みを批判している。こうした筆者の経済学との絶妙な距離感が、歴史研究としての本書の価値を高めているように感じられた。ただ、森林の維持・回復の要因については、筆者が重視する市場的要因だけでなく、やはり宗教や地域共同体の慣習など非市場的要因も重要だったのではないだろうか。筆者も非市場的要因を全く軽視している訳ではないだろうが、両者についてもう少しバランスの良い記述でも良
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Posted by ブクログ
列強は森林破壊をして伸びてきたが、日本は独自の自然観を持ち、自然と共生してきた、明治頃の日本はエコロジカルな点では理想郷である…みたいな雰囲気がある。
果たしてそれは本当か。という視点から、森林と国家の発展を考えてみる。
日本の歴史を紐解いてみると、決して美しい森林がいつもあったわけではなく、江戸時代にも明治にも危機を迎えている。お上(国家)が名采配をして切り抜けた、というのが通説であるが、すべてお上がコントロール出来ていたわけではなく、結果として多様で多層な対応が取られた、というのが市場の役割だった。お上に頼りっきりではろくな事にならないが、市場任せにすると、とんでもないことにな -
Posted by ブクログ
日本の人口は減っている。本書にも比較があるが、2050年には世界のベスト10にも残らない。歴史上、人口というのは繁栄、安定、安全と同義であるという。確かにそうだ。人は石垣、人は堀。
その人口が7億人でも700億人でもなく、どうして今、70億人超なのか。生物としてはこのぐらい産める、という値から、地域・年代による出生数の違い。農耕に落ち着いたら安全かと思ったら、どうやら狩猟よりも死亡するケースも多かったらしい。そうこうしながら人は仕組みと知見を調え、人口を増やしてきた。
さて、人口減少に転ずる今、繁栄、安定、安全はどうなってしまうのか。訳者あとがきに、ジャレド・ダイヤモンドに代表される作品に