斎藤修のレビュー一覧

  • 人口の世界史

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    多数の統計を分析して、例えば18世紀ヨーロッパの死亡率低下の要因がジャガイモなどの新作物のおかげとする説 (McKeown) を批判する。いろいろな概念が出たり複雑な分析をしたりと難しいので自分の興味のありそうな部分を拾い読むので精一杯

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    2023年07月15日
  • 人口の世界史

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    人口が増えたから生産も増えたのか?生産が増えたから人口は増えたのか?
    人口が増えたからイノベーションが起きるのか?イノベーションが起きたから人口は増えたのか?
    人口が増えたから人類は繁栄できたのか?繁栄があったから人口は増えたのか?

    人口とは、あらゆる社会問題の原因と同時に結果でもあり、しかもその要因はそれぞれ独立していない。
    出生率、死亡率、生産量、資源量、技術革新、労働力。
    全てのバランスが動態的に変動する事象を、読み解くことができるだろうか?

    本書は約300ページの長編ながらも、論文のような精細さと読みにくさが同居しており、
    ただでさえ要素が多い人口問題に、さらなる問題提起を重ねてくれる。

    なんとか統計的に「GDPが低いと出生率は大きくなるが、GDPが一定値まで高くなると出生率は低い値から動かなくなる」と読み解いてみても、
    「出産にかんする夫婦の意思決定に、物的財の入手可能性はほとんど影響しない」と言われるし、さらには
    ・「フランス農村部において出生率の低下は、より豊かで進んだイングランドよりも早く始まった」
    ・「多くの国々について、教育水準、農村的習性、工業化、といった社会経済的指標は出生率低下のわずかしか説明しえない」
    ・「文化的要因ー民族や言語集団、宗派や政治団体への帰属ーが、経済的要因よりも出生率低下には重要だったようにみえる」
    などなど、例外はいくらでもあげられてしまう。

    また、人口増加と経済成長の因果関係にしても、
    ・資源の限界には未だ到達しておらず、資源価格は低下を続けているが、今後の見通しは不透明
    ・死亡率の低下は長期的計画・投資を可能としたが、生産年齢人口と従属人口の比率は偏っていく
    ・知識と技術の進歩は人口に比例するように思えるが、歴史的な実証はされていない
    などなど、単純に増えると良い悪いの話で終わらず、常に変わり続ける方程式が示され、

    「人口増加はそれ自身では、1人当りの生産物の増加に対して拡張的効果と抑圧的効果の両方をもつのであって、これらの効果の重要性は他の要因との関係で異なってくる」
    「人口と経済は、従属変数であると同時に独立変数である」
    という、面白みには欠けるが科学的に正しい結論が示される。

    本書は世界目線で主に人口増加に焦点を当てたものであるが、現代日本においては少子化対策が当たり前のように叫ばれる人口の、あるべき姿とはなんだろうか?
    かつては頻繁に見られた人口移動も、移動元・移動先の双方が経済資本や文化資本を重視する資本主義下では難しくなっている。
    世界人口の歪みにより、貧困や栄養失調の割合が減っても絶対数が増えた場合、それは人類の進歩としてカウントできるだろうか?
    人口均衡のための地道な政策を提示しつつ、生じた問題には個別に対応し続けるという、面白みのない対策のみが、現在のところ得られる回答なのかもしれない。

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    2021年03月31日
  • 人口の世界史

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    人口増加が規模の経済を作り出すと言う考え方は当てはまらない。これからは、人口を抑制することが鍵になる。あまりの人口増加は食料不足、貧困、教育などで、すべての人間に行き届かなくなり、貧困の 絶対数を増やしてしまう。また、地球という資源は、有限であり、有限だからこそ住める人間の数も有限である。

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    2026年03月15日
  • 環境の経済史 森林・市場・国家

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    経済史の観点から、森林崩壊がいつどこで起きたのか、起きなかった場合と比較するという試み。立論や実証の過程で、環境経済学や開発経済学の理論・実証研究を援用しているが、結論では「市場か国家か」という経済学でしばしば見られる二項対立的な枠組みを批判している。こうした筆者の経済学との絶妙な距離感が、歴史研究としての本書の価値を高めているように感じられた。ただ、森林の維持・回復の要因については、筆者が重視する市場的要因だけでなく、やはり宗教や地域共同体の慣習など非市場的要因も重要だったのではないだろうか。筆者も非市場的要因を全く軽視している訳ではないだろうが、両者についてもう少しバランスの良い記述でも良かったのではないだろうかという気もする。いずれにせよ知的好奇心を刺激する魅力的な一冊。

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    2015年04月19日
  • 比較経済発展論 歴史的アプローチ

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    全部は読まなくてもいいかもしれない。農業生産、特に小農経済については注目か。友部先生の引用があるので、もしかしたらそちらと一緒に読めるかも。

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    2012年10月23日
  • 環境の経済史 森林・市場・国家

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    日本の森林被覆率は変動がなかったのではなく史料がなかった。江戸初期100年には乱伐があり、森林は疲弊した。その後にトップダウン、ボトルアップ双方のベクトルが働いて持ちこたえた。日本がイースター島のように滅亡してしまわなかったのは、やっぱり「ひと力」なのかなぁ。

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    2014年11月11日
  • 環境の経済史 森林・市場・国家

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    列強は森林破壊をして伸びてきたが、日本は独自の自然観を持ち、自然と共生してきた、明治頃の日本はエコロジカルな点では理想郷である…みたいな雰囲気がある。



    果たしてそれは本当か。という視点から、森林と国家の発展を考えてみる。



    日本の歴史を紐解いてみると、決して美しい森林がいつもあったわけではなく、江戸時代にも明治にも危機を迎えている。お上(国家)が名采配をして切り抜けた、というのが通説であるが、すべてお上がコントロール出来ていたわけではなく、結果として多様で多層な対応が取られた、というのが市場の役割だった。お上に頼りっきりではろくな事にならないが、市場任せにすると、とんでもないことになる可能性もある。そういう意味では、日本はそこそこうまくやってきた、といえるかもしれないし、その結果が先の日本礼賛かもしれない。

    さて、現在の森林に目を向けると…というのは本書のテーマではないかもしれないが、結びに「社会を破壊するほうが社会を構築するよりずっと簡単」という言葉をひいている。身に沁みるねえ…。

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    2022年06月01日
  • 人口の世界史

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    日本の人口は減っている。本書にも比較があるが、2050年には世界のベスト10にも残らない。歴史上、人口というのは繁栄、安定、安全と同義であるという。確かにそうだ。人は石垣、人は堀。

    その人口が7億人でも700億人でもなく、どうして今、70億人超なのか。生物としてはこのぐらい産める、という値から、地域・年代による出生数の違い。農耕に落ち着いたら安全かと思ったら、どうやら狩猟よりも死亡するケースも多かったらしい。そうこうしながら人は仕組みと知見を調え、人口を増やしてきた。

    さて、人口減少に転ずる今、繁栄、安定、安全はどうなってしまうのか。訳者あとがきに、ジャレド・ダイヤモンドに代表される作品においても人口は重要なファクターでありながら、人口減少そのもののメカニズムは説かれていないので、それを本書でやっているぜ、という話。たしかにそういう面はあるのだけど、横書きでグラフと脚注が多く、どうも論文を読んでいるような感じになる。ついつい、現代の人口問題を気にしてしまうし、そこへの言及もあるのだけれど、やっぱり推測も含めながらの叙述として味わいたい。読み物としてより楽しむために、縦書だったらよかったのになあ。

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    2022年06月01日