菊池秀明のレビュー一覧

  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    非常に深刻な内乱。
    もし足りない部分があるとするならば、どれだけ悲惨な被害を長江流域にもたらした大災害だったのか?という記述が、さらりと書かれていることでしょうか。

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    2021年12月17日
  • 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国

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     このシリーズを12巻から読み進めているのですが、こに「ラストエンペラーと近代中国」は現代中国を理解するために必読の本だと思います。
     中国は辛亥革命以降僅か100年余りしか経っていないのですが、常に変化してきました。中央集権的な2000年が続いた国ですが、春秋戦国時代や列国に分断された時代など、地方分権的な時代もあって、今の中国の姿から全部の中国を決めつけるのは危険です。この本を読んでやっと日本の近現代史が少し理解できました。
     日本で終戦の玉音放送が流れているときに、蒋介石もラジオ番組に出演していて、その時に「われわれは報復してはならず、まして敵国の無辜の人民に汚辱を加えてはならない。もし

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    2021年06月26日
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

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    ネタバレ

    華南の移民史や社会構造、思想がわかったのはよかった。
    しかし時系列がバラバラすぎて頭に入りにくい。
    特に台湾は台湾だけで通して読んだほうがよさそう。
    あとがきに出てくる筆者の広西の友人が全員収賄関連で人生を狂わされていて、しかもおそらく冤罪とのことで、やっぱり中国は大変だなと思った。
    筆者は中央政府に逆らう越境のエネルギーをポジティブに捉えようとしており、過酷な競争社会に苦しんでいるのは漢人自身と言うが、周辺民族にとってはたまったものじゃないのは事実である。

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    2025年01月28日
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

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    日本人にとって馴染みのある中国はだいたい北部で華南には馴染みがない、と言われてまずなるほどと思った。華南が中華世界に組み込まれたのは遅く、歴史の表舞台に立っていたのはいつも華北であった。本書はそんな華南が辿った歴史を解説している。華南には福建人、閩南人、潮州人、広東人のような漢民族のサブグループの他にイ族やチワン族などが入り乱れている。彼らはみなそれぞれに貧しく、18世紀の人口爆発に押されて移動を余儀なくされる。華南の歴史は彼らの闘争の歴史であり、ひたすらに暗い歴史が綴られる。彼らの生き方は「ワンセック」と呼ばれる、食べるために様々な事業に手を出すという、華北の儒教的価値観とは齟齬のあるものだ

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    2023年06月18日
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

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    「越境」には地理的な意味と文化的な意味を持たせたらしい。

    人口爆発と均等相続、中央集権的政治圧力を背景に辺境を侵食する漢人とそれに対応・対抗する原住民。

    現代のアフリカやウィグルで起こっていることが、共産党以前の中国の歴史の延長線上にあることがよくわかる。

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    2023年04月24日
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

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    華南がどのように中国の版図に入っていったか、王朝の政策を超えた、貧しさから抜け出そうとする漢人の向上心が領土を広げ、今もその勢いが続いていることを思い知らされる。
    中ほどは飛ばし飛ばしで読んだが、参考になる本だった

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    2023年04月08日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    一時話題になった本である。太平天国について統一から分裂までを描いている。そこで現在の中国、あるいは毛沢東の政策に続けている。したがって、現在の中国の体制を考える視点を与える本のひとつであろう。

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    2022年03月18日
  • 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国

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    太平天国の乱から日中戦争開戦直前まで。国民党と共産党に至る近代中国の苦難の歩みを中心に描かれており、副題には挙がるものの溥儀の存在感は薄い。時代の中心が移ったことがよく分かる。

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    2021年05月17日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    帯には民主化への分岐点となった「人類史上最悪の内戦」という惹句があり興味を惹かれたが、「最悪の内戦」というイメージはあまりわかなかった。が、期待以上に内容的には面白かった。

    副題にもあるとおり、太平天国は「皇帝なき中国」を目指したが、その理念は実現できず、1851年から1864年まで足かけ14年にわたる内戦で多くの犠牲を出しつつ終結した。

    太平天国の指導者であった洪秀全の特異なキリスト教理解は、それまでの中国の皇帝支配を否定するものであったが、はじめから「滅満興漢」を掲げたものではなく、太平天国が拡大していくなかで作られていったスローガンであった。「つまり太平天国の滅満興漢の主張は旗人(*

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    2021年04月27日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    キリスト教を母体とした独自の宗教を創設した洪秀全の指導のもと、農民らを巻き込みながら独立国家として清の打倒を目指した太平天国の乱を巡る概説書である。

    本書を読むまで高校レベルの世界史で教わる程度の知識しかなかった自身にとってまず驚かされたのは、太平天国の乱による死者数2,000万人という数値である。これは第一次世界大戦の死者数(約1,500万人)を超えており、わずか14年間に中国という一国での死者数ということを考えると、この乱がどれだけのインパクトを後世に与えたかがわかる。

    なぜ、現代において太平天国の乱に注目する必要があるのか?その答えは、現在の習近平指導体制で一層強化された中央集権的体

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    2021年01月30日
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

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    「中国近代史は華南から」であり、その越境の動きを見れば今の中国を見る見取り図も得られる、という本書の問題意識には大変共感するのだが、内容は事実が時系列でベタベタと羅列されている印象。
    ところどころ読むのが退屈になってしまったので、各章の意義づけや結論との関わりなどがもう少し明示されていると読みやすかったと思う。

    日本と比較しながら18世紀中国の人口爆発のくだりを説明したところや、械闘の要因や事例紹介は興味深かったが、出典が全く示されていないエピソードがたくさん出てきて、読んでいて少しむずむずした。

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    2024年07月28日
  • 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国

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     読み進んできた中国史が一気に現代史になった印象。その中で、日本が果たしてきた存在の大きさを改めて噛み締める。有名な蒋介石の言葉「報復してはならない。憎しみは憎しみを生み、永遠に終わらない」との言葉は昭和天皇の終戦ラジオ演説と同時に行われたラジオ演説だった。全く誉められないとしか思えない蒋介石のそれまでの歩みを振り返る時に、中国の懐の深さには感服する。その蒋介石がこの書物の後半では最重要人物のように登場する。ここ数年の習近平政権の強引な政策は毛沢東路線の回帰という前に、蒋介石、また袁世凱の圧政と同じ!との断言で、現代の中国の原点とでもいうべきことを端的に説明していると感じた。そして台湾と清国の

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    2022年07月28日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    太平天国の概説書。基本は時系列を追う形。
    はじめに、や結論で現代の香港・台湾問題に引きつけようとするのは飛躍があるかなと思った。何か意味合いを引き出すのであれば、その後の清朝の展開や民国の話をすれば良かったのではないか。

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    2022年02月22日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    教科書でチラっと見て清朝末期の中国でキリスト教系の反乱があった、くらいの認識だったのだけど帯に今の中国の一党独裁はこの事件に起源がある的なことが書いてあったので興味を持った。結果言うと自分の読みが浅いのかなぜそう言えるのか分からなかった、とうのが正直なところ。太平天国の乱とは科挙に落ち続けた洪秀全という男がある日、キリストの啓示を受けて自分たちの国を作るために立ち上がり一時は大都市南京をはじめかなりの勢力を持つに至ったが結局は鎮圧された、という事件である。既に弱体化しつつあった清朝が更に弱くなり、地方に軍閥が生まれるきっかけにもなったようだ。作者は太平天国が権力の分散のきっかけになったのでは、

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    2021年06月18日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    岩波新書って地味だよね・・。ドラマチックに書けそうなテーマだけどわざと退屈させようとしてるかというくらい淡々としている?太平天国の初めのほうは男女が別れて生活させられたのに洪秀全は1000人の女官とたくさんの妻に囲まれて生活していたとか、内容はショッキングなのに、読者を煽らずアッサリとした文章でむしろ好感持てるくらい。
    アヘン戦争が終わったばかりのぼろぼろの中国で、1843年、科挙試験に挫折した洪秀全は初期の中国人キリスト教徒が書いたプロテスタントの伝道パンフレットを読んで自分なりに目覚め(?)、自分が上帝(キリストの当時の中国語訳)に選ばれた末裔と思い込む。偶像崇拝の誤りや上帝が唯一の神であ

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    2021年03月08日
  • 太平天国 皇帝なき中国の挫折

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    ネタバレ

    太平天国の乱の通史。
    洪秀全の説く拝上帝会はキリスト教を教義としながらも、官として出世する現世利益や中国固有の天朝制度華夷思想を盛り込んだ独自のものだった。ヨーロッパ近代が「文明」を自任し「野蛮」を排斥した論理をも含み込んでいる。
    タイへ天国の乱の当初は教義に基づいた天朝田畝制度や男女の別などの理想主義的な政策が特に貧民に対して受け入れられたが、やがて現実との摩擦で変容を余儀なくされるのは古今東西の革命軍の倣いの通り。太平天国は自らの支持基盤である下層民以外の地主や旗人といった旧体制側の人間を取り込めず発展性を失った・
    南京を落とし天京として制度を整えた洪秀全は、自ら天兄・真主として形而上形而

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    2021年01月25日