原田勝のレビュー一覧
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絵本作家の著者が第二次世界大戦開戦後ポーランドから逃れて場所を転々と移動しながら難民として過ごした子ども時代の過酷な体験を綴った自伝。
豊富なイラストと平易な文章で読みやすい。辛く厳しい生活の中でも家族のエピソードには愛とユーモアを感じられた。
本書のタイトルはユダヤ人であるユリ一家がホロコーストから逃れられたのはまったくの偶然=チャンスだったから。
ホロコーストから逃れられても危険な目に遭い、飢え・貧困・病気に苦しむ難民生活。終戦後に帰国するも安寧ではないのが辛い。
ユリ・シュルヴィッツが戦争を生きのびて数多くの絵本とこの自伝を残してくれたことに感謝。戦後80年の今読んでよかった作品。
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この本に出会えて良かった。これが、率直な感想です。ウクライナの人々の、嘘偽りのない心からの叫びがつまっている本です。先日、新聞にウクライナ市民の声が載せられており、その中の「世界の人々は、この戦争を忘れ始めているように感じます。」と記されている部分を読んだとき、ハッとさせられました。
ウクライナのことを思うとき、大好きなウクライナの絵本「てぶくろ」を思い出します。ウクライナの人々の心を象徴している絵本だと思います。なぜ、ウクライナの人々が現在も辛い状況におかれなければならないのか。
市井の老若男女、様々な立場の職業の方々の証言を、しっかり心に留めておこうという気持ちで読みました。筆者による -
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興味深い本を紐解く時、「頁を繰る手が停め悪くなる」という感を覚える場合が在る。本書に関してはそういう感を少し通り越し、「頁を繰る手を停めてはならない」というような、何か強いモノを感じることを禁じ得なかった。英国人の著者による英語の本を訳したモノだ。
本論は24篇で編まれている。何れも淡々とした、著者が話しを聴いた人達が語った内容である。決して激越な調子でもない「普通な話し方」の素朴にも感じられるような談話の内容を書き綴っているのだが、読む側を強く掴んで離さないというような感だった。淡々と衝撃的な「戦禍の中での様子」が語られて、読む側に迫るのだ。
本書の題名に在る「わたしのことも思いだして」は、 -
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アミーリア12歳。
春休みには、クラスのみんなみたいにフロリダへ遊びに行きたいと思っていた。
英文学教授のお父さんは、旅行なんて苦手で、いつも憂鬱で悲しそう。
お母さんはアミーリアが2歳の時に死んだので、とくに思い出もない。でも、オブライエンさんという女性がいつもそばにいて、最高のマフィンを焼いてくれる(お母さんの妹だ)
結局春休みはいつも通っている近所の陶芸教室で過ごすことになるのだが、そこに遊びに来ていた男の子、ケイシーと心を交わしていく。彼もどこか傷を抱えていて、普通の人みたいにアミーリアのことを「かわいそうに。」とは言わない。そしてケイシーとの遊びのうちに、お母さんの幻影のような人に -
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2022年2月、ウクライナは突然、戦禍に見舞われた…。過去のことではなく、現在のこと…こうしてレビューを作っている間にも、起きていることであってそれを忘れてはならない…。
この作品は、ウクライナの老若男女様々な立場の方が現状を語ったものです。そして、添えられているのがバトラーが描いたスケッチ…。写真とはまた違う大事なことを訴えかけてくるかのよう…。
たくさんの人にこの作品を手にしていただいて、平和への思いを共感できたら嬉しく思います。一日も早く、世界中の戦争や紛争が終わり、どこにいても誰もが安心して生活できるそんな世の中になってほしいです。 -
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とても繊細でこまやかな物語。
1999年の春休み、12歳のアミーリアは、ほんとうはフロリダに行きたかったのに、英文学教授の父がちっとも話に乗ってくれないので、つまらない思いをしながらも、近所の陶芸教室にかよいます。
アミーリアは2歳のときに母を亡くしていて、しかもいちばんの親友がフランスへひっこしてしまったばかり。ゆううつな気持ちでいたとき、陶芸教室で新しい友だちと出会い、また不器用な父の愛情をたしかめることになる出来事に遭遇します。
陶芸教室の粘土の感触が伝わってくるような。たよれるものが何もなくなってしまったアミーリアの生活のなかで、粘土をこねてウサギを作るというのは、目の前の世界との -
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