あらすじ
生きのびられたのは偶然(チャンス)だった。
ぼくと家族が生きのびたのは、まったくの偶然(チャンス)だった。
『よあけ』や『あめのひ』など、日本でもよく知られる絵本作家、ユリ・シュルヴィッツ。ユダヤ人である彼が第二次世界大戦にまきこまれたのは、まだ4歳の頃でした。ナチスドイツ軍の攻撃のあと、ポーランドを脱出し、家族とともに各地を転々とした日々の生々しい記憶を、豊富なイラストとともに描き出します。
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Posted by ブクログ
絵本作家の著者が第二次世界大戦開戦後ポーランドから逃れて場所を転々と移動しながら難民として過ごした子ども時代の過酷な体験を綴った自伝。
豊富なイラストと平易な文章で読みやすい。辛く厳しい生活の中でも家族のエピソードには愛とユーモアを感じられた。
本書のタイトルはユダヤ人であるユリ一家がホロコーストから逃れられたのはまったくの偶然=チャンスだったから。
ホロコーストから逃れられても危険な目に遭い、飢え・貧困・病気に苦しむ難民生活。終戦後に帰国するも安寧ではないのが辛い。
ユリ・シュルヴィッツが戦争を生きのびて数多くの絵本とこの自伝を残してくれたことに感謝。戦後80年の今読んでよかった作品。
過酷な難民生活の日々のユリの支えは絵を描くことだったという。絵本『おとうさんのちず』のエピソードも出てきて本書を読んでから読むと感慨深い。
Posted by ブクログ
こんな小さな子どもが良く生き延びてくれました。ユダヤ人がドイツやポーランド以外でもこれほど大変な思いをさせられていたとは初めて知りました。今もウクライナやガサ地区、その他世界中で、同じように逃げ惑っている人々が大勢います。ホロコーストの経験すら生かすことのできない人間。なんて情けない生き物なのでしょう。抑止力なんて幻想、政治家と軍需企業の金儲けの作り事です。我々は人間の能力の低さをもっと自覚し、武器は捨てるべきです。
Posted by ブクログ
戦争下な生活の大変さ、つらさが伝わる作品。1章の中でも、イラストや写真など解説も丁寧でとても読みやすい構成になっている。作者の絵本とともに紹介したい。高学年から。
Posted by ブクログ
絵本作家のユリシュルヴィッツの自ら記した一家のファミリーヒストリー。
親しんでいた絵本作家一家の過酷な体験に驚き、と同時に、あまり親しみのない地域東ヨーロッパの戦中戦後のドキュメンタリーでもある。
ロシアウクライナ戦争の地域も舞台となり、今の時期の和訳も意味がある。
児童書なので読みやすく、短い段落に多く区切られ読みやすく、情に訴えず、口語調の一人称でユーモアさえ散りばめられている。本人のイラストがふんだんに使われる。
Posted by ブクログ
「よあけ」などで有名な絵本作家ユリ・ジュルヴィッツの自伝的作品。
ユダヤ人としてポーランドに生まれた作者が、第二次世界大戦の時代をいかに生き延びたか、それは「偶然(チャンス)」に助けられたから。それも何度も何度も。
チャンスは良い事よりも悪い事の方が多かったが、結果的には最悪の事態を逃れ生き延びることができた。当時、運が悪かった人々はもっと呆気なく命を落としていたことだろう。
人間の運命とは全く何が作用するのかわからないものだなぁ。
作者による挿絵や写真も豊富で、子どもでも読みやすい日記のような文章。
Posted by ブクログ
絵本作家の著者が戦争中に体験した難民としての壮絶な暮らし。短い文章の積み重ねなのですぐ読める。自分たちが助かったのは信仰心や行いの良さではなくただの「チャンス(偶然)」だ、と思えるところに強さを感じた。
イスラエルによるパレスチナでのジェノサイドが続けられている今、著者がこの状況をどのように感じているかも知りたい。
Posted by ブクログ
運の良さ?でユダヤ人でありながら第二次世界大戦を生き延びたユリ・シュルヴィッツの話。生きることは飢えとの戦いだった。というか、親子3人よく生き延びられたなあというか。ただし、戦争を生き延びた後も生活はなかなかラクではなかったなようで、過酷な生活にため息が出る。