中西嘉宏のレビュー一覧

  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ロヒンギャの歴史、難民が大量発生した背景と国際社会の反応について学べる。
    民主化とともに発生したナショナリズムが、国民と敵(ロヒンギャ)を作り出すことが原因であるというのは非常に興味深い。政治をまとめるために「仮想敵」を作り出すのは良くある話だが、ミャンマーの場合はそれが国内にいた国籍を持たないイスラーム教徒だったという話。
    現在の日本の政治においても、移民難民問題が何かと注目される中で、読んでおくべき一冊だと思う。

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    2025年10月22日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ロヒンギャの話、アジア難民なのにあまり話題にならないし、なんだろうと思って読んだら、これは面白い。
    ロヒンギャとはバングラデシュとミャンマーの国境に住むイスラム教徒なんだが、そもそもその地に住むミャンマー仏教徒はビルマ人ではなくて、ラカイン人という少数民族で、この三者の関係が植民地時代からこじれにこじれている。
    そして、軍事政権が半分民主政権になったために、ビルマ人、少数民族やイスラム教徒の間での攻撃的な表現が自由になって、それぞれに過激派が生まれたこと、(なんか今のSNSの時代の右翼みたい)
    などが複雑に絡み合っている。

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    2025年05月06日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    国民国家というシステムの副作用として生まれた民族問題の現実をありありと活写されており、読む方も無力感しか感じ得ない。最後の「おわりに」が本書の全て。

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    2021年12月25日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ミャンマーにおけるロヒンギャ問題の複雑さ。
    差別の構造、なぜアウン=サン=スーチーは黙認するのか
    そもそも国軍があれほどまでに力を持っているのはなぜか
    解決の糸口はあるのか

    今まで日本語の文献でこれほど広い視野で客観的に書かれたものを目にすることができなかったので、ミャンマーで起きていることに興味のある人は必読だと思う。
    クーデター前に書かれているので、もちろん今とは状況が変わっているが、これを読むとクーデターの背景も見えてくる。

    沈黙していることが我々のすべきことではないことだけは確かだ。

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    2021年04月23日
  • ミャンマー現代史

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    孤立をやめ豊かになっていくかと思われた国が、何で国民に暴力を振るい仏像を建てるのか。民主化→社会分断表面化→軍の強権統治→国民抵抗→民主化…の袋小路の中でスーチーの時代は終わってしまった。
    日本は調子の良いときだけ金儲けに来る奴のままでいいのかな?再民主化の道程が見えない現在でもできることはあるんじゃないのかな

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    2024年08月16日
  • ミャンマー現代史

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    オンラインで日本語を学びたい外国人と日本語で交流している。ミャンマーの20代女性が政権が変わり大学進学をあきらめ日本での仕事探しをしているという話を聞きミャンマーの現状をしりたくてお取り寄せ。

    市民に暴力をふるう軍はミャンマーの何をどうしたいのか、スーチーはなぜクーデターを防げなかったのか。民主化勢力に勝機はあるのか。国際社会は事態をなぜ収束させられないのか。これからこの国はいったいどこに向かうのか。近代史を振り返りながら考察。
    民主化、自由化、市場経済化、グローバル化の試みがクーデターによって頓挫している状況。
    軍は常にミャンマーの政治経済社会あらゆる領域で強い影響力を保持、脅威であるスー

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    2024年07月30日
  • ミャンマー現代史

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    ミャンマーの過去と現在、今後の示唆に富んだ一冊。ミャンマーで検討中の案件があり、それを進めるべきか、止めるべきか、考えるために読みました。

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    2023年02月25日
  • ミャンマー現代史

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    1988年から2021年のクーデターまでのミャンマーの現代史を描いた本。
     軍部と民主化を目指す団体との対立という単純な構造ではなくて、軍内対立や、少数民族、欧米、ロシア中国の思惑がこんがらがって現在の状況となっていることがわかる。
     この本を読み終わっても、何が正解かがわからなくてもやもやする。
     例えば、統治の形。独裁はトップ次第な部分があって不安定だし、政党政治は党派争いばっかりして自己利益追求してしまう。
     独裁から民主化に舵を取るにしても、急に軍人ポストを減らすと実務が滞るし、残してても軍事政権イメージが拭えない。
     クーデターという結果になる前にどうしたらよかったのかってのを考えさ

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    2023年01月02日
  • ミャンマー現代史

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    1988年の反政府運動とそれに伴う軍によるクーデターから民政移管、民主化を経て2011年のクーデターに至るミャンマー現代史を描き、今後を展望。
    2011年のクーデターをもたらした背景について理解を深めるとともに、ミャンマーの厳しい現実を認識した。カリスマ頼みの急激な民主化の負の側面についても思い至らされた。それにしても、認識の歪みから自国民にも平気で銃を向ける軍は本当に酷いと感じる。

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    2022年12月03日
  • ミャンマー現代史

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    現地で滞在したときに民主化の影響を「道路のアスファルト工事」に感じた。ということに深く頷けた。民主主義の重みを感じる。こうした部分にも着目し、丁寧にミャンマーの現代史を追っていてよくわかった気分になれる。しかし、スーチーの功罪のうち「罪」についての記述はなぜかあいまいというか、ぼかされたままであり、このぼかし方がミャンマーの風土を反映させたものかと勘繰ってみたり。良い意味でも、批判的な意味でも余韻の残る一冊。

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    2022年10月10日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    中西先生の著書は初めて読んだが、さまざまな方向からロヒンギャ問題について論じられていて、明確に解決策も提示いていたので読みやすかった

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    2022年01月08日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ロヒンギャ迫害、難民がどのような歴史的背景から生じてきたのかということが詳細に描かれている本である。
     単なる事件の説明だけではなく、人々の移動、日本の敗戦からの国土の建設、など様々な理由が改訂ある。

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    2021年10月02日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつであるロヒンギャを巡る2017年の国軍による掃討作戦以降の大量の難民の発生等の一連の危機について、危機がどうして起きたのか、その余波が世界にどう広がっているのかといった点を、歴史的背景の考察も踏まえながら検討し、将来に向けての展望と日本が果たすべき役割についても考察。
    ロヒンギャ危機はもちろんのこと、2021年2月に発生した国軍のクーデターに至る歴史的背景等についても理解が深まった。
    民主化にもかかわらずロヒンギャ危機が発生したのではなく、民主化したからこそロヒンギャ危機が発生したとの指摘が印象深かった。
    アウンサンスーチー氏がロヒンギャ危機に際して

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    2021年06月20日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ミャンマー問題の背景を知ろうと購入。背景はおぼろげに見えてくるも、問題の複雑さと解決困難さに言葉を無くす。ミャンマーは長らくにわたり国内紛争と難民問題を抱えてきた国であり、ロヒンギャ危機もそれらの一つの側面である。民族間の対立、暴走する国軍、多宗教との軋轢等、あらゆるステークホルダーの板挟みに置かれるスーチーさんの立場は困難を極める。

    スーチーさんを中心とした民主化運動により、長らく続いた軍事政権は終わらせることができた。しかしめでたしめでたしとはいかず、民主化自体が暴力を生みだしてしまうという皮肉な現実もある(民主化とは「人々」による統治であり、「人々」が民族を意味することになれば、民主主

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    2021年04月15日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーでひどい目にあっているというニュースをよく目にするがどういう問題なのかわかっていないと思ったので手にとってみた。現時点、軍がクーデターを起こして政権を奪ってしまいロヒンギャの話をあまり目にしないけれども...。真面目な学者の作品らしくわからないことはわからない、と明記されていて好感を持った。ミャンマーというのは多民族国家で100以上の民族がいるらしい。まず政治経済を牛耳ったインド人、中国人への国民的な反感があり、ミャンマーの土着民族を優位にするという政治決定があったこと、またロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーの中でも最貧のラカイン州という土地に暮らして

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    2021年03月26日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    大変難しい問題だ。
    ロヒンギャとはミャンマーのバングラデシュ側にいる少数のムスリム。
    宗教、歴史、国籍等多くのファクターが絡み合って、問題を複雑化している。
    最後に日本の出来ることとして5つあげているが、たしかにやるべきだと思うがその反面他国に日本1国がそこまで立ち入る権利があるのかと悩む。国際機関が規律を曲げて介入するのが一番だと思うが、その際、差別は差別を生み、暴力は暴力を引き起こすことは教訓として覚えておいてほしい。

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    2021年03月04日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    ロヒンギャが抱える問題について、根本底なところから解説をしている。
    単に難民を容認すればいいということではなく、もともと持っている偏見や、民族間での問題もあり、
    根本的な解決が非常に難しいということではないことがわかった。
    ミャンマーの滞在中も、ロヒンギャに対する不満は現地の方から聞いていたので、今回改めて本を読むことで民意という視点からスーチーさんがなかなかロヒンギャ問題に踏み出せないことがわかった。

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    2021年02月26日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    民主化の象徴であるアウンサンスーチーさんがジェノサイドを容認している?ニュースで見て以来ちゃんと調べずにモヤモヤしていたので勉強になった。
    事実がフラットな視点で描かれている印象。著者も言及しているが、読めば読むほどロヒンギャの問題に対する具体的な解決策は無いように思える。

    以下思ったこと箇条書き
    ・スーチーさんはロヒンギャを自国民と認識していない。
    ・その目線でいくとロヒンギャ弾圧はテロとの闘い。
    ・ナショナリズム仏教←日本には無いワード。新鮮。

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    2024年07月17日
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相

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    アウンサンスーチーさんの言動、豹変かと思ったが、元々、ロヒンギャは、守るべき「国民」の範疇に入ってなかったのか。
    国の成り立ちから関係する根幹の問題のようで、おそらくだが、マジョリティ、あるいは、ロヒンギャを抑圧しながらも抑圧されて来た層にとっては、何が問題やねん、という話でもあるのではないか。

    外から綺麗事言うのは簡単。

    とはいえ、当事者にとっては綺麗事ですらない。
    要は、馬鹿みたいに簡単にルール決めて万事幸せになるような世界ではないと言うことだ。

    それだけはわかった。

    この本の後、またスーチーさんを取り巻く環境も変わっている。
    ただ、最終章にあるような、今日本が何をできるか的な主張

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    2023年07月11日
  • ミャンマー現代史

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    ミャンマーについて軍事政権がクーデターを起こして何回も政権を取る、といった経緯を明らかにした本である。科研費を使った研究成果の本であるために、一般向けよりもより専門向けである。ミャンマーについての卒論執筆では基本書となるであろう。

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    2022年09月30日