中西嘉宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
オンラインで日本語を学びたい外国人と日本語で交流している。ミャンマーの20代女性が政権が変わり大学進学をあきらめ日本での仕事探しをしているという話を聞きミャンマーの現状をしりたくてお取り寄せ。
市民に暴力をふるう軍はミャンマーの何をどうしたいのか、スーチーはなぜクーデターを防げなかったのか。民主化勢力に勝機はあるのか。国際社会は事態をなぜ収束させられないのか。これからこの国はいったいどこに向かうのか。近代史を振り返りながら考察。
民主化、自由化、市場経済化、グローバル化の試みがクーデターによって頓挫している状況。
軍は常にミャンマーの政治経済社会あらゆる領域で強い影響力を保持、脅威であるスー -
Posted by ブクログ
1988年から2021年のクーデターまでのミャンマーの現代史を描いた本。
軍部と民主化を目指す団体との対立という単純な構造ではなくて、軍内対立や、少数民族、欧米、ロシア中国の思惑がこんがらがって現在の状況となっていることがわかる。
この本を読み終わっても、何が正解かがわからなくてもやもやする。
例えば、統治の形。独裁はトップ次第な部分があって不安定だし、政党政治は党派争いばっかりして自己利益追求してしまう。
独裁から民主化に舵を取るにしても、急に軍人ポストを減らすと実務が滞るし、残してても軍事政権イメージが拭えない。
クーデターという結果になる前にどうしたらよかったのかってのを考えさ -
Posted by ブクログ
ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつであるロヒンギャを巡る2017年の国軍による掃討作戦以降の大量の難民の発生等の一連の危機について、危機がどうして起きたのか、その余波が世界にどう広がっているのかといった点を、歴史的背景の考察も踏まえながら検討し、将来に向けての展望と日本が果たすべき役割についても考察。
ロヒンギャ危機はもちろんのこと、2021年2月に発生した国軍のクーデターに至る歴史的背景等についても理解が深まった。
民主化にもかかわらずロヒンギャ危機が発生したのではなく、民主化したからこそロヒンギャ危機が発生したとの指摘が印象深かった。
アウンサンスーチー氏がロヒンギャ危機に際して -
Posted by ブクログ
ミャンマー問題の背景を知ろうと購入。背景はおぼろげに見えてくるも、問題の複雑さと解決困難さに言葉を無くす。ミャンマーは長らくにわたり国内紛争と難民問題を抱えてきた国であり、ロヒンギャ危機もそれらの一つの側面である。民族間の対立、暴走する国軍、多宗教との軋轢等、あらゆるステークホルダーの板挟みに置かれるスーチーさんの立場は困難を極める。
スーチーさんを中心とした民主化運動により、長らく続いた軍事政権は終わらせることができた。しかしめでたしめでたしとはいかず、民主化自体が暴力を生みだしてしまうという皮肉な現実もある(民主化とは「人々」による統治であり、「人々」が民族を意味することになれば、民主主 -
Posted by ブクログ
ロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーでひどい目にあっているというニュースをよく目にするがどういう問題なのかわかっていないと思ったので手にとってみた。現時点、軍がクーデターを起こして政権を奪ってしまいロヒンギャの話をあまり目にしないけれども...。真面目な学者の作品らしくわからないことはわからない、と明記されていて好感を持った。ミャンマーというのは多民族国家で100以上の民族がいるらしい。まず政治経済を牛耳ったインド人、中国人への国民的な反感があり、ミャンマーの土着民族を優位にするという政治決定があったこと、またロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーの中でも最貧のラカイン州という土地に暮らして
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Posted by ブクログ
アウンサンスーチーさんの言動、豹変かと思ったが、元々、ロヒンギャは、守るべき「国民」の範疇に入ってなかったのか。
国の成り立ちから関係する根幹の問題のようで、おそらくだが、マジョリティ、あるいは、ロヒンギャを抑圧しながらも抑圧されて来た層にとっては、何が問題やねん、という話でもあるのではないか。
外から綺麗事言うのは簡単。
とはいえ、当事者にとっては綺麗事ですらない。
要は、馬鹿みたいに簡単にルール決めて万事幸せになるような世界ではないと言うことだ。
それだけはわかった。
この本の後、またスーチーさんを取り巻く環境も変わっている。
ただ、最終章にあるような、今日本が何をできるか的な主張