田上孝一のレビュー一覧
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倫理学の説明から動物倫理について分かりやすく書かれている。
最後は主研究であるマルクスと動物倫理を重ねた章になっていて、とても面白い。
主に動物の権利についての是非を問う本であるが、そこから付随して人間中心主義、環境問題・倫理についても言及されている。
犬と暮らしている身としてはとても学びの深い本でした。
倫理は自分を基準にせず、万人があまねく実行できるように考えなければならない。
なので、今から全ての動物を殺しません、とはまだ言えない。肉食を辞めますとは言えない。が、しかし、昨今の環境問題や国際問題で少しずつ意識が変わってきている。
AIなどの技術の進歩もあり、目覚ましい発展が今後も窺え -
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ネタバレ動物倫理学の入門書でもあるが、倫理学、厳密には規範倫理学の入門書でもあります。動物倫理学といえばお恥ずかしながらピーターシンガー氏くらいしか分からず、功利主義的な立場からの物言いは理解はできるけど、地球の裏側のキッズことまで考えられへんな〜という稚拙な印象しかなかった私ですが、本書では規範倫理学の3つ(2+1)の柱をもとに展開されていく動物倫理学を明快な文章で書かれていました。動物が可哀想という感情に訴えるのではなく、理路整然とした動物倫理学には批判すべきところが見当たらず私も小さい一歩から始めてみようと思いました。
また、マルクス研究者でもある筆者は最終章でマルクスと動物倫理学を架橋しようと -
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かなり読みやすい
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労働は分業化によって効率化する、
効率化された労働が社会に集約され資本(疎外された労働力)となり、自身の敵となる
つまり、社会の一員である限り疎外され続けることを意味する
マルクスはそれを打破するには疎外されない生産、社会全体の在り方を模索することが必要と言っている。
(ただこれはありがちな、過剰な物の生産や消費への批判と形式上は同じになる??)
いい意味でも悪い意味でも理想論と感じた
読んでいくとアレントの批判とつながってきた気がする
個人単体だけでも疎外されないようにするため、↓を切り離して考えるのが良さそうと思った
(救いのない絶望からの逃避のような気もす -
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マルクスが再評価、注目されたのはリーマンショックがきっかけだったか。その後、トマピケティの『21世紀の資本』が出版され、似たような時期に佐藤優の『いま生きる「資本論」』を読んだため、私個人としては、佐藤優の印象が強い。至近時では、斎藤幸平氏の効果が大きいだろうか。名言を引くような進め方だが、決して浅い内容ではない。マルクスについては知れば知るほど興味が沸く。
例えば、資本主義ではない社会とはどのような社会なのか。分かりやすく言語化される。
― 雇う人がいて雇われる人がいるという賃労働の世界に当たり前のように生きていると実感し難いが、搾取のない世界を想像するのは容易だし、原理的な困難もない。 -
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日本において、マルクスは経済学的な視点での研究が多く占めているが、著者は哲学の観点からマルクス主義を考察することにこだわっており、マルクス思想の入門書としてよくまとまっている。
■資本主義とは?
資本とは疎外された生産物怪物的転化であり、資本主義の最も根本的な本質は労働が疎外されていること。
■マルクスが理想とした社会
労働が疎外性的性格を帯びることなく、労働者が自らの生産物に支配されることがないような社会。
■ソ連の社会主義
ソ連は現実社会主義国の代表国として知られているが、その基本的構造は軌を一にするものだった。確かに資本家の存在はなかったが、労働者は国家官僚のもとについていたため、 -
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ネタバレペットや害獣駆除の話だけでなく、ブラッドスポーツに動物性愛、動物園や水族館など守備範囲は広い。特に本書は食肉生産と動物実験についての是非が中心。前者については実践に対する筆者の冷静なバランス感覚が絶妙。後者については医療用だけでなく食品や化粧品分野が小さくない市場であることを教えられた。
映像資料が氾濫する現在において、動物園や水族館が歴史的役割を終えた遺物である…というのは納得できる。
「動物」と一括りにされてるが、線引きがかなり曖昧。ある動物が苦痛を感じるかどうかは未だ未知のところが多いだろう。一説で魚類や鳥類が後付けで含まれるようになった経緯を知って、今だってまだ過渡期ってことよねと思っ -
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動物倫理学という聞いたことのない分野に興味を持ち、流し読みした。
確かに、人間は牛や豚を食べるためなら彼らを殺すことを厭わないが、こと犬や猫に対しては、人間並み、とまではいかないが人間に準じた倫理観を持って「愛護的に」接している。
牛豚の殺生、これは肉食は人間の生存のために必要であるという大義のもとであるが、むしろ現代を生きる我々は、彼らを生きるために必要な栄養分として見ているというよりは、より娯楽的なものとして、「楽しんで」「おいしく」食べているといっていいかもしれない。
一方で屠畜の現場は生々しく、文字通り「食欲をなくす」ようなかたちで牛や豚は殺されている。そのリアリティは現代社会の -
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動物倫理学の学問史と、研究の中心に置かれてきた社会問題について網羅的に解説した本。後半では、動物倫理学が批判してきた西洋的な人間中心主義の考え方に対して動物倫理学がとる立場と、動物倫理学の論点をさらに越えようとした倫理学的立場として環境倫理学とマルクス主義の動物と環境観が紹介される。
この本では、はじめに、動物の権利を考える上での基本的な考え方として、規範倫理学の学説を大きく「功利主義」「義務論」「徳倫理」の3つに大きく分ける。その後、こうした倫理学的原理から、肉食や動物園・水族館、野生動物の狩猟、駆除、コンパニオン動物(ペット)、動物性愛といった具体的な動物に関わる善悪問題について、それぞ -
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新書という形式では本邦初の動物倫理学の入門書。これまでの人類の動物への扱いは基本的に不当であり、動物に権利を認め、動物を「生きた道具」として使わない文明とライフスタイルをこれからの人類は構築すべきだと主張。
倫理学の3つの主要学説である功利主義、義務論、徳倫理のエッセンスの解説から始まり、それぞれの立場に基づく動物倫理学の経緯や考え方を解説した上で、人類は動物とどう付き合っていくべきかの考察や人間中心主義の問い直し、環境倫理学との対比、マルクスから得られる示唆へと論が展開していくが、動物倫理学やその周辺について理解が深まり、とても勉強になった。
しかし、動物倫理学の考え方には違和感が拭えず、著 -
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マルクスと現代社会の結び付きについて述べた本。現代社会の諸問題をマルクス的視点から読み取るというスタンスで、マルクスの予測・理論・危惧が現代の中にどんな形で潜んでいるかが分かる。ただし、ポスト資本主義の社会がどうあるべきなのか、という部分については、経済構造の話というよりも個人個人の道徳心や感性に依存している気がした。
全体の傾向は「古典としてマルクスを読む」というスタンスではあるが、マルクスをかなり肯定的に捉えているので、私のような初心者はそのことに注意して読む必要があると感じた。また、『資本論』の解説本ではなく、あくまでマルクスの入門書であるので、『資本論』の内容に繋がる理論を知るというよ -
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疎外論をマルクスの思想の中核に位置づける立場から、アクチュアルな問題に対してマルクスの思想がどのような寄与をおこなうことができるのかということを解説している本です。
著者はすでに『マルクス哲学入門』(2018年、社会評論社)を刊行しており、そちらでもマルクスを「古典」として読むとともに、そのなかから現代社会の批判原理をつかみとるというスタンスに立っていましたが、本書では「ブルシット・ジョブ」やワーキング・プアといったより具体的な問題に焦点をあてて、マルクスの思想の現代的意義が論じられています。また、ソ連や中国などの「現実社会主義」がマルクスそのひとの構想した社会主義とは異なるすがたであることを -
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