伊藤浩介のレビュー一覧
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共感覚は、色と音など異なる感覚ががリンクして頭に浮かぶ現象です。著者が共感覚の保有者にインタビューを取ったところ、ドは赤、ソは青、、と、ドレミファソラシが虹の七色のグラデーションに近い配色になることを発見した話から始まります。
面白いのは、共感覚を持っていなくても、ドの色を無理矢理決めるとすれば赤だ、と答える人が多いということです。
著者はその理由を突き詰めていきますが、個人的にはその過程で、虹はなぜ七色なのか、ピアノはなぜ七音なのか、という解説に感心しました。そもそも七という数字が一致したのはなぜなのか。
実は虹を観察したニュートンは当初、五色にしか見えなかったそうです。しかし、ピアノ -
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大雑把にまとめれば、これまでの音楽理論で言われてきたことを、心理学や脳科学によって説明し直した本なのだが、その射程がすごい。
最終的に、音楽とは何かを考えようとしているのだ。
まず音とは空気の振動ではなく、人の耳に入って脳に知覚された感覚のことだということから話が始まる。
音の説明として、音波の形や振幅などを取り上げていくものはこれまでにもいくつかの本で目にしていたが、本書ではその音波の振動が耳の中で処理され、電気信号となって脳に伝わっていくかが説明されていく。
脳科学的な説明が加わることで、経験的に知られていることの理由がわかっていくことが面白い。
例えば、一オクターブ離れた音が同じ音と -
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ネタバレ音楽の不思議はだれもか思っていることなんじゃないかと思うけれども、
こんなに解像度を上げて考えたことは無かったので、とても新鮮でした。
ピアノを最近独学的に始めて、楽譜とか音楽の理論は全く知らない中で生きてきた。
誰もが毎日触れるような、みんなにとってこんなに身近なものなのに、
四則計算や言語と違って、みんなが共通に学ぶ基礎知識基盤はそこまで固くなく、
音楽の授業会ったけど結局歌って、リコーダー吹いたぐらいしか覚えていない。
つまり、音楽は、なにげなく、感覚で触れてきた。
かといって、この本にあるように、
音楽理論が、科学の法則のように存在するわけではなく、
慣習法のようなも -
Posted by ブクログ
小さい頃にピアノを弾いて、この音は悲しいとか、楽しい感じみたいな感情を味わった記憶がある。それ自体はテレビか何かで既に刷り込まれた映像と音のリンクを再現させただけかも知れないが、音楽には人間の感情を揺さぶる力があり、それが先天的なものなのかが気になっていた。本書が、脳と音楽の関係性を語ってくれると期待して読み始める。
正直、「面白いと思う内容」と「難しくてついていけない」という部分がある。面白いのは脳と音楽の関連性や音楽そのものの多様性について。難しいのは音楽理論の話。音楽については、ジョンケージの無音とかスティーブライヒとかハイドンの「びっくり交響曲」とか。本書にQRコードがついているので -
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伊藤浩介(1972年~)氏は、京大理学部卒、京大理学研究科(霊長類研究所)博士課程修了の認知脳科学者。新潟大学脳研究所特任准教授。新潟交響楽団の副団長・クラリネット奏者でもある。
私が最初に「共感覚」という言葉・概念を知ったのは、しばらく前に、サヴァン症候群の英国人ダニエル・タメット氏の著書『ぼくには数字が風景に見える』を読んだときである。サヴァン症候群とは、ダスティン・ホフマン(とトム・クルーズ)が主演した1988年の映画「レインマン」で、ダスティン・ホフマンが演じた(モデルとなったのは、米国人のキム・ピーク)ことで有名になった、驚異的な記憶力を持つ自閉症の一種で、しばしば共感覚を持っており