【感想・ネタバレ】ドレミファソラシは虹の七色?~知られざる「共感覚」の世界~のレビュー

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Posted by ブクログ

共感覚は、色と音など異なる感覚ががリンクして頭に浮かぶ現象です。著者が共感覚の保有者にインタビューを取ったところ、ドは赤、ソは青、、と、ドレミファソラシが虹の七色のグラデーションに近い配色になることを発見した話から始まります。

面白いのは、共感覚を持っていなくても、ドの色を無理矢理決めるとすれば赤だ、と答える人が多いということです。

著者はその理由を突き詰めていきますが、個人的にはその過程で、虹はなぜ七色なのか、ピアノはなぜ七音なのか、という解説に感心しました。そもそも七という数字が一致したのはなぜなのか。

実は虹を観察したニュートンは当初、五色にしか見えなかったそうです。しかし、ピアノは七音であることから、半ば無理やり七色だと結論づけました。

では、なぜピアノは七音なのか。なぜドは赤色なのか。私のように音楽の知識がなくても肩の力を抜いて読める本なので、ぜひ読んでみて欲しいです。

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2021年09月21日

Posted by ブクログ

刺激(音、文字、色、味、形等)に含まれないはずの感覚を感じるという脳の現象である共感覚、その中でも代表的な音から色を感じる共感覚をメインに、7つの壁、7つの不思議、音階の成り立ち、虹色のニュートンの分析等を取り上げ、その基本原理を解き明かしていく1冊。読み物として楽しませてもらった。

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2021年05月27日

Posted by ブクログ

音に色を感じるという共感覚の持ち主に、色と音階の関係を尋ねると、有意にドレミと虹の色の順番と一致する場合が多いことを見出す。そのなぜを追求していくと予想外の展開が待っていた。知的刺激をそそられる本だ。スーパー戦隊やAKB、鬼滅の刃等の例示で解説もわかりやすい。

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2021年05月09日

Posted by ブクログ

伊藤浩介(1972年~)氏は、京大理学部卒、京大理学研究科(霊長類研究所)博士課程修了の認知脳科学者。新潟大学脳研究所特任准教授。新潟交響楽団の副団長・クラリネット奏者でもある。
私が最初に「共感覚」という言葉・概念を知ったのは、しばらく前に、サヴァン症候群の英国人ダニエル・タメット氏の著書『ぼくには数字が風景に見える』を読んだときである。サヴァン症候群とは、ダスティン・ホフマン(とトム・クルーズ)が主演した1988年の映画「レインマン」で、ダスティン・ホフマンが演じた(モデルとなったのは、米国人のキム・ピーク)ことで有名になった、驚異的な記憶力を持つ自閉症の一種で、しばしば共感覚を持っており、タメット氏も本の題名通り、数字が風景に見えたり、言葉に色や質感が伴っているという。
本書は、ドレミファソラシという音階に色が伴っているという共感覚について、共感覚を持つ100人を超える人々へのインタビュー・調査を通じて、考察したものである。
そのエッセンスは概ね以下である。
◆共感覚とは、音や文字に色を感じたり、色から音を感じたり、味から形を感じたりする現象である。音から色を感じる共感覚を色聴という。現時点では、誰もが納得する科学としての共感覚の定義は存在しない。
◆一般的な学説では、色聴における音と色の結びつきはランダムとされているが、著者が33人の共感覚者を対象に実験をしたところ、ほとんどの人にとって、ドは赤、レは黄色やオレンジ、ソは水色であるなど一定の傾向があり、平均色で見ると赤から黄色や緑を経て青や紫へと、虹のような並びのグラデーションとなった。
◆「音」から「色」に結びつくとすると、①「音」から(ドレミファソラシという)「言葉」が結びつく、②「言葉」から「色」が結びつく、という二段階が存在するが、検証の結果、共感覚者の脳の中では「言葉」に対して「色」を感じていることが判明した。つまり、①は音楽能力(絶対音感)、②は共感覚、という全く別の脳機能である。
◆音階が7音であるのは、ヒトの脳における音の処理の限界(それ以上周波数が近いと不協和を感じる)に拠るもので、物理法則などに基づくものではない。
◆虹(のスペクトル)が7色であるとしたのはアイザック・ニュートンで(それ以前は5色とされており、現在では一般には6色とされている)、ニュートンは虹と音階を円環にしたものの分割比が一致していることを示し、音階が7音であることと虹が7色であることに科学的な裏付けがあると考えていた。しかし、ニュートンの仮説には致命的な欠陥があった。
◆音階も虹の色も物理現象ではなく、脳の中で起こる主観的な心理現象である。音階にも色にも、それぞれの性質に応じて自ずから「序列」が存在する(音階であればド→ソ→レ/ミ・・・、色であれば赤→青→黄/緑・・・という具合に)。そして、共感覚における音と色の結びつきは、単にこの序列が無意識に反映されたもので、ドレミファソラシが虹のように見えるのは偶然の結果に過ぎない、というのが著者の仮説である。
興味深い問題設定に対して、著者の結論・仮説は正直拍子抜けする感は否めないのだが、私は、「共感覚」については、今後更なる研究が行われ、科学的な解明があるのではないかと期待しており、その端緒としての本書の意義はあるように思う。
(2021年3月了)

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2021年03月23日

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