普通の、今まで自分が読んできた事件のルポルタージュや本とは一線を画す内容だと思う。
まず、被害内容がほぼ書かれていない。被害者がどのような目にあったかの具体的内容が書かれていないことがとても印象深かった。追跡団火花が被害者の事を考え、事件をただの消費物としないように最大限配慮している事が伝わってきた
...続きを読む。センセーショナルな書き方は避け、あくまでも追跡団火花が行ってきたことを視点として書いている。なので、前知識がないと少し事件を把握するのが難しいところがあるかもしれないし、n番部屋事件を知りたいという欲求には少し物足りなさを感じるところがあるかもしれない。でもそれはこの事件をセンセーショナルに消費したい欲望がそうさせているような気がしてきてそれを自省しながら読んだ。
とくに本の中盤。追跡団火花の2人の事件とは一見関係ない日常についての文章が、かなりページを割いて掲載されている。n番部屋についてが知りたかったのでこの部分は必要なのか?いるのか?と思いながら読んでいたが、徐々にそれが必要であるかを理解した。
ともすれば日本よりも厳しい男尊女卑が韓国には溢れている事を知ったし、追跡団火花の2人がどうして追跡団火花として活動するに至ったのかをより深く理解することができた気がする。(何しろ髪をショートヘアにするだけでもかなりの決断を強いられるという衝撃)
韓国の話だけど、まるで日本の話のような気持ちだった。性犯罪に対してのあまりに軽い刑罰、一向に減らない加害者、政治家の無理解、などなど。
それに男性不信になりそうというかちょっとなる。加害者はもちろんだがデジタル性犯罪には傍観者という存在もいて、それがひょっとしたら身近な人かもしれないというのがとても恐ろしく感じた。
後半に今後どのような法整備が必要かなども書いてあって、それはそのまま日本にも当てはまる内容だと思った。日本も韓国のように変わっていってほしいし、そのために微力ながら力を尽くしたいと思わせる1冊だった。