山中康裕のレビュー一覧

  • 臨床ユング心理学入門

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    入門書として、様々な概念や療法が、とても分かりやすく解説されている。巻末の文献一覧も、とても参考になる。

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    2017年10月05日
  • 臨床ユング心理学入門

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    第3章までがユングを取り巻くフロイト、アドラー等の当時の関係性が分かりやすい描かれていて、整理しやすい。第4章以降が具体的な臨床例を加えた内容。
    方法論は違えどクライアントの内包する感情をどのように引き出すか、それが絵を描かせるのか、箱庭を触らせるのか等の違いであって目指すところは一緒。
    心身症を抱えたクライアントとの応対について書かれているが、この方法論については日頃、誰かと何気なくコミュニケーションしている場面において、一歩立ち止まることで重要なヒントとなると考える。

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    2016年09月24日
  • 臨床ユング心理学入門

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    「臨床」の冠がタイトルに見られるように、真摯にクライエントに向かい合ってきた精神科医・カウンセラーのユング論である。

    時に、ユングの考えを批判的にとらえつつも、一つ一つの異なる病態に対して、心、いや、魂の次元からの洞察をする筆者の姿勢は、非常に説得力がある。

    特に私は不登校、自閉症のとらえ方にうなづくことしきりであった。

    また、病状が「悪くなること」は「まだ良くなる可能性がある」という意味の裏返しである、という発言は、治療者としての山中氏の良心を見る思いがした。

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    2012年03月09日
  • 臨床ユング心理学入門

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    あくまでも臨床の現場で、クライアントと向かい合ってきた筆者が、精神医学の分野にいながらユングの方法論に触れ、それを取り入れていく、という部分がこの本の肝であるように思う。心理学でも精神医学でも、目指すところは
    クライアントそれぞれが自分らしい生を生きるところにあるということを、考えさせられた。

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    2009年10月04日
  • 創元アーカイブス エセンシャル・ユング ユングが語るユング心理学

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    私はストー著の「ユング」という本も読みましたが、その中でストーはユングの「タイプ論」や「共時性」などを批判していました。
    このエセンシャルユングでは、批判的な感じは見受けられず、ユングの文献から重要な文章を選出して解説することに専念しているようです。素人がユングの長文を読む機会はないと思うので、その点では、貴重な本だと思います。
    (これは当然ですが)河合隼雄さんの本によく出てくる話の元ネタが、ユングだったことが随所でわかります。
    河合さんがよく「自分はなんにもしない、話を聞いているだけで、患者は自然に治っていくんや」と言いますが、これは河合さんが体験的に学んだことだとは思いますが、ユングも「私は理論的な見解はすべて避け、単に患者が自分自身で夢のイメージを理解しようとするのを援助し、そして法則とか理論は適用しないように努めた」と同様のことを述べていました。

    最後の8章は人類を滅ぼすことが可能な核爆弾の解釈について言及しています。ユングが人類の未来の社会論まで述べていたとは知りませんでした。
    また、「精神的でない性質をもって顕現するもののなかに、精神的性質が潜在していることを信じる「十分な根拠」がある」などと「量子もつれ」のような話題が出ていたのには驚きました(実証されたのは2022年でつい最近なのに)

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    2025年09月18日
  • 臨床ユング心理学入門

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    ひとりの医師としてどう取り組んできたかというのがベースで、その軸にユング心理学がある。なので臨床ユング心理学ということに。フロイトやアドラーも踏まえつつ、心理学の軌跡をユングー河合隼雄を踏襲しつつ少し引いたところから様々なことを踏まえて書いてある。やり甲斐はあるかもしれないけど大変だなというのが印象に残る。

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    2017年12月18日
  • 臨床ユング心理学入門

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    ネタバレ

    こういった心理学というのは
    えてして難しい、というイメージがついて
    回ってくるかと思います。

    ところがこの作品は
    そういった難しさがなく
    ユング心理学というものがどういうもので
    どういう視点で患者を見ていくかを
    実際の患者の例をもちいて
    わかりやすく説明しています。

    その中には新設する学会に対しての
    心得もあります。
    やはり大事なものというのは
    実績なんですよね。

    知っている人は知っているであろう
    絵画療法や箱庭療法も出てきています。

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    2017年01月05日
  • コッホの『バウムテスト[第三版]』を読む

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    ・「描かれたものをそのまま言葉に置き換えてごらん。そうしたら、もうほとんど半分以上解釈になっているよ」

    ・ある独特の身体症状を持っている方が、ある言葉で表現していることが、実は、内界で起こっている身体症状の表現そのものであることがあるわけです。一つだけ例を挙げれば、ある方が、肺がんの脳への転移を、「雁が大陸移動する」という夢を語る、という形で表現された。

    ・私は、小学校の一年生から中学校三年生まで、同一例(三クラスだったので120例なのですが)のバウムを9年間とっているのです。毎年行って、9年間描いてもらったわけです。そのときに、木が天に抜けるという形で紙の上端を抜け出る、風景構成法でいえば≪川が立つ≫と言われる表現に相当するのですが、上方に抜けてしまって下のほうだけ描かれるというのが、小学校四年生から五年生に見られるということも見出しました。ところが中学生になると、みんな戻ってきます。枠(用紙)の中におさまってくるのです。

    ・今でも忘れられませんが、木の葉っぱの一枚一枚を200何枚、非常に克明にお描きになった。そして、さらにそれを落とすのです。一枚ずつはらはらと。描いたものは落とせないので、画面の上で落としていって、根っこの部分に洞があるのですが、その洞を一枚一枚の葉っぱが隠していくんです。そして、一枚一枚うず高く積もって、落ちた葉で洞が全部隠れるのです。そういうのを見ていて、直感的に、この人は性的な凌辱を受けたに違いない、だけど、そんなことを人には言いたくなくて、隠したい、だけどそのことを思わざるを得ないという気持ちが、一枚一枚描かれていく葉っぱの描き方で伝わってくるのです。はらはらと落ちながら一枚、はらはらと落ちながらまた一枚と。これはすごいテストだと思ったのがいちばん最初です。

    ・バウムテストには、エネルギー領域(木の各領域)、運動領域(木が伸びていく方向)、空間感覚領域(用紙の各領域)の少なくとも三つを区別して図式を用いる必要がある。

    ・「早期型の一覧」
    1.一線幹、2.一線枝、3.二線枝、4.直線枝、5.水平枝、6.十字型、7.空間倒置、8.日輪型・花形、9.低在枝、10.枝が無くて(あるいは貧弱な枝の)上端が閉じた幹、11.幹上直、12.幹下縁立、13.幹の根元がまっすぐ、14.多数の木を描くこと。
    健常児の子どもで幼い場合の他に、発達が遅れているためにその指標がでてきている場合や神経症的に退行している場合があるが、その前に「コッホは各指標の年齢別の出現率をきちんと見ている」ということを強調したいと思います。
    たとえば、≪一線幹≫であれば、小学校入学のときにすでに0%に近い数値になっていて、入学前にほとんど消えている指標であるのに対し、≪一線枝≫ですと、小学校入学のときに60%くらい、小学校を卒業するときでも20%くらいは描く。

    ・幼児性と十分取り組むことなしに幼児性から自由になることはできない。その際、単なる知的な知識だけではどうしようもなく、本当に効果があるのは、再び思い起こすこと、言い換えれば、“再体験”することである。時は矢のように流れ、時々刻々に発見される世界が圧倒的な勢いで流入してくるために、多くのことが手つかずのまま取り残される。しかしそれは、“自由になっている”のではなく、ただ“遠ざかっている”に過ぎない。それゆえに、何年も後になって幼児期の記憶へと戻っていくと、自分の人格の生き生きとした断片を見つけ、今なおそれとしっかりと結びついていて、幼年の感情が心を満たしているのに気づく。しかし、それらの断片は、まだ幼児期のままの状態にあるので、強烈で直接的である。それが大人の意識と結びついたときにだけ、その幼児的な側面が失われ、修正される。
    ―C・G・ユング 心理学と錬金術

    ・ヴィトゲンシュタイン指数。
    ミリメートルで表したバウムの高さ(h)を、年月で表した描き手の年齢(a)に換算する。その際、一つの指数(i)が得られる(i=h/a)。これをもとに、当該の患者の人生において、重大な意味をもつが半ば忘れられたような日付をバウムに読みとる事ことができる。
    たとえば40歳の男性が120mmの高さのバウムを描いたら、指数は3(120/40)となる(3mmで1歳)。地面との境界線からほぼ13mmのところで、左側の幹の線が破断面になっていた(太い主枝が破断している場合もあり、その場合はそれに相当する高さを測る)。
    そこで、彼に4歳4ヶ月(13/3=4.3=4歳4ヶ月)のときに、女性または母親に関する体験で、何が起こったのか尋ねてみると、患者は蒼い顔をして、まさにその時に母親が亡くなったのだと述べた。

    ・in vivo(生体のなかで)とin vitro(試験管のなかで)の比較をしたと言うが、細胞を家にたとえてみれば、一家団欒で食卓を囲んで食事をしているところに電信柱をぶちこんで右往左往しているのを、君らは正常の細胞の働きを調べたと言っているんだ。そのことをよく考えてみたまえ。

    ・診断を行うものにはその力のやりくりが求められる。
    …インスピレーションが働いているときには存分に演じることができる。しかし、インスピレーションは、いつも訪れるとは限らない。だからテクニックが必要となる。テクニックを充分に習得すれば、インスピレーションが働いているかどうか、観客に気づかれることはない。

    ・私はもう、臨床は毎回が演劇と同じだと思っているんです。演劇の場合、演ずることは毎回同じだと思われるかもしれませんが、同じではないんですね。たとえば『屋根の上のバイオリン弾き』なんかはもう1000回やっているわけです。1000回もよく同じことがやれるなと思うでしょ。違うんです。観客が違うからです。俳優さんに聞いたらすぐにわかります。「1000回もよくやりますね」と聞かれると、彼らは「見ている人が違いますからね。一人ひとりの反応を見ていたら全然違いますから、心意気が違ってきます」と答えられます。

    ・木は動けない代わりに上に向かって育つ。人間も5年前と10年後とでは違うが、その年月の差が木にはちゃんと内包されている。

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    2013年12月29日
  • 臨床ユング心理学入門

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    人には誰でも「生きられなかった人生の半分」がある。
    その影の部分に光をあてて、「自己」を実現して生きることが人生の真の目的であると、心の医者・ユングは考えた。
    著者は、自らの臨床経験を踏まえて、ユング心理学における無意識・夢・自己実現、クライアントたちとの心のドラマ、河合隼雄氏との出会い等を、平易な語り口で解き明かしていく。
    本書で語られる「臨床ユング心理学」は、これまで気づくことのなかった人生の豊かな可能性を教えてくれる、新しい心理学である。

    [ 目次 ]
    序章 臨床ユング心理学への道
    第1章 臨床ユング心理学の歴史
    第2章 ユング心理学の基礎
    第3章 ユングの個性化過程
    第4章 臨床ユング心理学の実践
    終章 臨床ユング心理学の未来

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月23日
  • 臨床ユング心理学入門

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    ユングの理論を基調としながら、
    自身の精神科医・心理カウンセラーとして行ってきた治療法の数々から得た経験を加えて、
    心に関して著者の考えを述べた本。
    ユングの人となりや、ユングの理論を広めるにあたって大きな貢献をしたという河合隼雄の紹介もされている。
    ユングの人生後半の課題として、
    自分でなければできないことの発見と実現というものが紹介されていたが、
    漠然と考えていたことだったので強い共感を覚えた。

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    2010年01月03日
  • 臨床ユング心理学入門

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    ユング派の心理学者である著者が、わが国におけるユング受容の経緯を踏まえながら、臨床的な立場に立ってユングの理論を解説した入門書です。

    著者は、ユングの心理学だけを唯一正しい理論だとは考えてはいません。フロイトの精神分析理論は、3歳から30歳くらいまでの心の問題、とくに神経症の説明に有効であり、行動療法は、ある特定の病状の特定の時期におこなえば、他のどんな理論よりも効果があるとしています。これに対してユングの心理学は、人間の一生や、人間の心の全体性をとらえるためには一番ふさわしいと、著者は述べます。

    ただし、錬金術やシンクロニシティに接近するユングの理論には、ある種のいかがわしさが付きまとっているのも事実です。この点で、わが国にユング心理学を導入した河合隼雄の功績は大きいと著者はいいます。河合は箱庭療法を中心に臨床的な経験を積みかさね、ユング心理学が治療法として十分な信頼を獲得することに力を注いできました。著者は、河合の箱庭療法や、著者自身が精力的におこなってきた絵画療法などを「表現療法」と呼び、そこにユング心理学の臨床的な可能性を見いだそうとしています。

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    2017年12月23日
  • 臨床ユング心理学入門

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    臨床の「臨」とは臨在すること、隣にいることを意味する。そして、「床」はかつて「死の床」を意味していた。
    つまり死の床にある人の傍にいて、この世からあの世に魂を渡す手助けをするのが「臨床」(クリネー)の本来の意味であった。だから、臨床家といつのは、かつては僧侶のことであった。

    ユングというと、どうしても夢分析なんかの話が出てくるとどうしても、オカルトチックになりがち。

    本書前半は、かなり思想、哲学、宗教色が強く、後半からようやっとユングの話へ。
    後編の診断の具体事例紹介は、実に興味深かった。身近にあったことと、かなり重なることもあり。

    カウンセリング心理学と対比して読むと、より理解が深まる。

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    2013年03月21日