【感想・ネタバレ】創元アーカイブス エセンシャル・ユング ユングが語るユング心理学のレビュー

あらすじ

イギリスの著名な分析心理学者の一人であるストーによる、ユングの代表的著作および諸論文からの精選抜粋集。ユングは生涯を通じて精力的に著述活動を続け、18巻におよぶ全集、2巻の書簡集、フロイトとの往復書簡集、自伝がある。それら全てを読破するのは困難だが、本書は、10章に分けてユングの文章をそのまま引用し、各章に編者による解説と案内文が付されており、1冊でユング心理学の本質的特徴を汲み取ることができる。

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Posted by ブクログ

私はストー著の「ユング」という本も読みましたが、その中でストーはユングの「タイプ論」や「共時性」などを批判していました。
このエセンシャルユングでは、批判的な感じは見受けられず、ユングの文献から重要な文章を選出して解説することに専念しているようです。素人がユングの長文を読む機会はないと思うので、その点では、貴重な本だと思います。
(これは当然ですが)河合隼雄さんの本によく出てくる話の元ネタが、ユングだったことが随所でわかります。
河合さんがよく「自分はなんにもしない、話を聞いているだけで、患者は自然に治っていくんや」と言いますが、これは河合さんが体験的に学んだことだとは思いますが、ユングも「私は理論的な見解はすべて避け、単に患者が自分自身で夢のイメージを理解しようとするのを援助し、そして法則とか理論は適用しないように努めた」と同様のことを述べていました。

最後の8章は人類を滅ぼすことが可能な核爆弾の解釈について言及しています。ユングが人類の未来の社会論まで述べていたとは知りませんでした。
また、「精神的でない性質をもって顕現するもののなかに、精神的性質が潜在していることを信じる「十分な根拠」がある」などと「量子もつれ」のような話題が出ていたのには驚きました(実証されたのは2022年でつい最近なのに)

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2025年09月18日

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