小島和男のレビュー一覧
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反出生主義の最も平易な概説書であるとともに、原典であるベネターの翻訳者である著者の意見も付け加えられている。
ベネターのとっつきにくさを著者はうまくカバーしているし、著者自身が考える記述についても精緻されており、中高生の読み物としては、ここ数年読んだ本の中でこれ以上のものはない。
原典の紹介が最後にされているのもよい。本書にツッコミをいれたければ原典に当たってみればよいし、さらに深めたければ結局は原典に当たるしかない。どちらにしても原典やさらに深めたい人のための文献がほしい。本書を手に取って、学びを自ら探究する中高生が増える事を願ってやまない。 -
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ネタバレ退屈という感覚は単なる個人の心理状態ではなく、政治的・経済的に構築された構造の一部として生み出されているのだと思った。退屈は、仕事と余暇の分断、そしてそれを支える資本主義的イデオロギーのなかで制度的に再生産されている。
ギグエコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方のこと)に見られるように、現代の労働は短期的かつ不安定であり、アルゴリズムや他者の評価に左右され続ける。その結果、労働は自己実現の手段ではなく、主体性を弱めるものとなり、常に刺激に晒されながらも満たされない退屈を生み出している。これは暇だから生じる退屈ではなく、常に不足を感じさせられる構造から生じる退屈である。この -
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『生まれてよかったか? はじめての反出生主義』というタイトルから、反出生主義そのものの体系的な解説を期待して読むと、期待とのずれを感じると思います。
とりわけベネターの非対称性論証をめぐる説明については、平易さを優先した結果、なぜその非対称性を認めるべきなのかという核心部分に物足りなさを感じました。
一方で、「親ガチャ」「家族」「ふつう」「がんばれ」といった、今を生きる若い読者が実際に直面している圧力を、哲学的な言葉で解きほぐしていく手つきは丁寧です。
その意味では、本書を「反出生主義を体系的に学ぶための一冊」と見るより、「生まれることや家族や生き方について、当たり前と思っていた前提をい -
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『生まれたくなんかなかったのに』というタイトルから、人生そのものを否定している本かと思いましたが、生まれてきてしまったからには、苦痛をできるだけ減らし、有意義に楽しく生きていこうという生きることに対して前向きな論が展開されていました。
小学生の頃、病気を苦に「生まれてきたくなんかなかった」と思っていたことが一時期ありましたが、それ以降は、そう思わなくなりました。
ただ、「産んでくれてありがとう」とは今まで一度も思ったことがありません。
もちろん、楽しかったこと、嬉しかったこともたくさんありますが、どうしても「産んでくれて…」とは思えないでいます。
親不孝なのではないかと申し訳ない気持ち -
Posted by ブクログ
取り上げるテーマ(労働、結婚、友達など)が多すぎて、どれも中途半端(どこかで聞いた話)になっている印象でした。
同じ著者の『反出生主義入門』が面白かったので読んでみたのですが、反出生主義という出オチ感のある思想、分析哲学系の思想に、面白い展開は不可能なのか? などと穿った見方をしてしまいました。
ただし、僕があまりにも著者の主張(かなりの左寄り)に違和感を感じないことが多すぎて(古典的フェミニズム等、一部には大いに違和感がありましたが)、得るものが特になかったから、こういった感想になってしまった可能性もあります。
(追記)
いろいろと文句を言わせてもらおう。
「…『私は紙の本が好き』という者