フリート横田のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後、新宿駅東口で開かれた闇市「新宿マーケット」。その創設者である尾津喜之助が本書の主人公。
不法占拠の土地に作られた市であり、所有者からの明け渡し訴訟などもあったことから、残念ながらその隆盛の期間は長くはなかった。だが、わずか終戦5日後の1945年8月20日には、建築資材を集め、警察からの許可も取得した上でマーケットを開設しており、その行動力と目利き力には感嘆するほかない。
新宿を「つくった」とまで言い切ることに抵抗はあるが、新宿の街づくりに多大な影響を与えたことは間違いなく事実であろう。なにより尾津喜之助のキャラクターが魅力的であり、戦後日本復興のアイコニックな存在であったのだろうと推察 -
Posted by ブクログ
幼い頃から知っていた場所がいくつも閉鎖になったり取り壊しされてたりするのをこの本で初めて知りました。
賑わっていた頃を回顧する地元の方々の話は、そこ出身でなくても胸の奥がキュッとする想いにかられました。
戦争や高度成長期を経て形成された風景は、やっぱり何ともいえない力を持ってるように思います。
バブル期や再開発以降のビルたちも、数十年たてば同じように回顧されるのか…今はまるでピンとこないけど。
五反田有楽街の片隅で、意地をはるかのように残っている昭和の風景もいつか消えてしまうんだろうな。
幼い頃、習い事への行来で界隈を通るたびに雰囲気に飲まれてはいけないとペダルを漕ぐ足に力が入ったことが懐か