フェーリクス・ザルテンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
冒頭部分、生まれたばかりのバンビの成長の日々は読んでいるこちらも幸せになってしまいますが、長くは続きません。
突然森に現れる災いのもと【あいつ】。あいつが体の一部から轟音と炎と嫌なにおいを放つと、離れた場所にいる森の仲間が血を流して倒れ、死んでいく・・・。
あいつってなんだろう。あいつは何がしたいのだろう。
森の仲間はあいつの思うがまま死んだり、生きたりしているのだろうか。
森の古老と触れ合ううちにバンビは気づきます。あいつも、自分たちも同じ、より偉大な存在の一部ではないのかと。
対象年齢は小学5~6年以上ですが、自分が小学5年生だったら、どこまで深く読めただろうか、単に物語の筋を追 -
Posted by ブクログ
ネタバレ動物の生態を、五感を、こんなにリアルに描けるなんてすごい。
自分も生き物としての五感をフル活用して、鹿になったような気分で読んだ。
生きることは、常に危険と隣り合わせ。
いつ、誰に食べられるかもわからない。
そんなヒリヒリするスリルと、誰にも邪魔されずに広い草原で思い切り駆け回れる喜びが、同時に感じることができる。それが生きることだ。
この物語の中で、人間は「アイツ」と呼ばれ、森の動物たちから恐れられている。
ゴーボという幼馴染が人間に撃たれたその後のエピソードが印象的だった。
偶然優しい人間に手当てをされて帰還してからは、全能感丸出しお気楽鹿になってしまう。
だけどその油断が仇となり、結 -
Posted by ブクログ
バンビというとディズニーのアニメやキャラクター、もしくは子鹿の愛称というイメージしかない方も多いでしょう。そのイメージで読み始めるとあっという間に覆されます。
ここに書かれているのは自然の全て。美しく雄大な姿だけでなく、厳しく冷淡な姿もまたそのままに書かれています。
生まれたばかりで何も知らず、何にでも興味を示すバンビ。母鹿はそんなバンビにそれらを教えるのですが、中には敢えて教えないことも。読者はバンビの視点で自然と接するので、その教えてもらえないものに対してバンビとともに不安を感じます。そしてついにバンビが「あいつ」に出会った時に、ともに恐怖しショックを受けるのです。
この書き方は実に怖いで -
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Posted by ブクログ
バンビは(ディズニーの映画は有名だけど)原作を読んでいる人はあまりおらず、映画とはかなり違う、ということは知っていた。
岩波少年文庫で読んでみようかと思ってからもう長いこと経ってしまったが、酒寄さんの新訳が出たのでいい機会だから読んでみることに。
ディズニーアニメでは火事が大きな事件だったが、こちらで森の動物たちの恐怖の対象となるのは人間。
ハンターがしばしばやってきて、鹿や鳥を殺していくことが最大の恐怖で、それに比べれば鹿同士の喧嘩や冬の寒さや飢えなどは大した問題ではない。
狐はいるが、鹿を捕食するような大型の肉食獣はいないので、人間さえ来なければ平和で豊かな森なのである。
ザルテンは他にも -
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