佐藤卓のレビュー一覧
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齋藤孝の「段取り力」で紹介された著者の本で気になり読む
塑する思考というのは、徹底的な客観視に基づく対象の理解をベースに他のものとの繋がりを考えたり、役に立つものへの変換を考えること。自我に基づいた「弾性」的な思考と対照的。今まで自我の上での思考をしていたことをひしひしと感じた(人との会話、業務理解、音楽など公私両方)ので、塑する思考の大切さに強く納得した。常に自分の自我をベースに思考をしているため、「のめり込む」という塑する思考の局地を経験したことがない。徹底的に対象を客観視する習慣をつけたい
また、対象物を徹底して客観視した上でそこで感じたことを世の中に役立つものに変換するのがデザイナ -
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ネタバレ・元電通のアートディレクター佐藤卓の著書
・「分からない」から全てがはじまる。ニッカウィスキーの自主プレゼン
・柔らかさには2通りあり、弾力性と塑性。外部から力が加わった後のあり方が違う。塑性は粘土のように、力を加えたら戻らない。
・自分の意識がどこから来るのか、その基礎となる自分すら分かっていない中で、自我や自己を固めるよりも、その場に応じて柔軟に変えていく方がよい。
・発想とは、ある目的のために今まで繋がっていなかった事物同士を繋げる試みである。
すでにあるのに気づかずにいた関係を発見して繋ぐ営為とも言える。
・あらゆる仕事の基本は「間に入って繋ぐこと」
・明治牛乳のパッケージ。技術者の牛 -
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自分の中の無責任な「デザインする」意識が変わりました。
私はデザイナーという肩書きで仕事をしているにも関わらず、世の中の著名なデザイナーの方々に関する知見が浅いです。仲間内で「尊敬するデザイナーは誰か」という質問があがると決まって黙り込んでいました。
本書では、世の中に蔓延る無責任で本質を捉え損ねた、一般大衆的な「デザイン」を否定し、デザインの本来あるべき姿を改めて示しています。
誰が何のために何を生み出すのか。
デザインには答えがないよ、正解がないよ、
という人はデザイナーにも沢山いると
思いますが、
定められたルートはないにしろ、必ず達成すべきゴールは決まっています。
こうあるべき、 -
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佐藤卓さんの、「クジラは潮を吹いていた」が好きで、本書も手に取った。
デザイン論というよりも仕事論という印象。
自分なりに要約すると下記。
デザインを含む仕事全般は、「あらゆる間をつなぐこと」である。
間をつなぐために、対象の価値を発見(※)し、つなぐ相手に、価値が分かるように伝えることがデザインの本質。
そのために必要なのは自我ではなく、
対象や相手によって思考を変える力
=塑する思考である。
そして、すべての仕事(=あらゆる間をつなぐこと)は「これから先」のためにある。
現状を把握し、これから先を想像し、
そのために今何をしておくべきか(=何をつなぐか=仕事)が決まる。
相手の立 -
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人間は猿人からの進化で体毛がなくなった。もじゃもじゃの方が怪我もしにくいし暖かいのに。
身体が弱くなった、不便になった。ちょっと転んだだけで擦りむくし痛い。でもその代わりに、全身の末端までに行き届いた神経のお陰か、体の外のことが感じやすくなった。感受性が豊かになったらしい。
不便と口にするが実はそうではないことがありそうだ。
便利だと口にするが実はそうではないことがありそうだ。
何が自分達にとって良いことなのか?
著者は考える。感じている。
最近、これだけ豊かな身体を持ちながら、この身体を使わないことが多くなった。1階から2階に行くにもエレベーターを使ったりする。でも一方では健康に気を使 -
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養老孟司先生が新聞の書評で「この本を読んで、自分もデザイナーになってみたくなった」と書かれていたのを読み、自分もこの本を読んでみたくなった。
これは、ニッカウィスキーの「ピュアモルト」明治の「明治おいしい牛乳」ロッテの「クールミントガム」などのデザインを手がけ、日本を代表するグラフィックデザイナーの一人である著者が(私は門外漢でお名前を存じませんでしたが)、それらの仕事を通じて思考し、たどり着いたデザイン論である。そのポイントを一言で表すとすれば題名にあるとおり「塑する思考」という著作オリジナルの言葉になるのだろう。「塑」とは、外部からの力に従ってどのような型にもなるが、決して元の型に戻ろうと -
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ネタバレ中盤にあるような、クールミントガムや明治おいしい牛乳、ニッカウヰスキーのデザインを思考プロセスと併せてひも解く部分は読みごたえがあり面白い。佐藤さんのデザインは、一言で言うならオリジナリティの探究だと私は理解した。どうオリジナリティを出すかの研究ではなく、あるものだとして対象を多くの視点から観察することで隠れたオリジナリティを見つけだす探究から、フォルムや表面のアウトプットに繋げていく。今の時代だと良くも悪くも表面的なものに成り下がった引き算のデザインが多いが、真の引き算のデザインはおそらく著者のような思想を持って取り組まれているモノを指すべきだと思う。
反面残念なのは、全編通し細かい部分で