佐藤卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ中盤にあるような、クールミントガムや明治おいしい牛乳、ニッカウヰスキーのデザインを思考プロセスと併せてひも解く部分は読みごたえがあり面白い。佐藤さんのデザインは、一言で言うならオリジナリティの探究だと私は理解した。どうオリジナリティを出すかの研究ではなく、あるものだとして対象を多くの視点から観察することで隠れたオリジナリティを見つけだす探究から、フォルムや表面のアウトプットに繋げていく。今の時代だと良くも悪くも表面的なものに成り下がった引き算のデザインが多いが、真の引き算のデザインはおそらく著者のような思想を持って取り組まれているモノを指すべきだと思う。
反面残念なのは、全編通し細かい部分で思い込みや極度に単純化された知識を元に論理を展開している点が多かったことだ。出典の記載もなく、信頼して読めない印象を持つにいたる。具体的には、進化論の誤用やカロリーベースの自給率で日本はもっと貯水機能を持つべきだ等と批判につなげているところ等で、後者に関してはチェリーピッキングの代表事例のような展開だ。比較対象国との年間降水量の差や、小麦など日本の土壌に適していない穀類がカウントされやすいカロリーベースで自国を批判しつつ重量/金額ベース自給率といった指標には一切触れないのは主観的と言わざるを得ない。また自国の自給率が40%だから単純計算60%他国の貯水機能に頼ってしまっているとし、だから(発言の真意は皆で考えたいとのことだが)自国でもっと貯水機能を持つべきなのだと言うが、これに関してはもはや何から突っ込んでいいのか、話にならないレベルで論理破綻している。
私は何も偏った言動を慎んでほしいとは言うつもりはない。しかし情報の精度に注意を傾けられないのであれば教育に関わらないでいただきたい、と思う。著者の言う未来を考える場を持つためにはまずフラットな視点で一次情報にあたり適切な発信を努めることからすべきではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
「明治おいしい牛乳」や「ロッテクールミント」などのパッケージデザインを手がけた、グラフィックデザイナー佐藤卓さん。
「デザインを通して人の営みを考える」ことの面白さ。「日常生活、無意識に触れている事物の中に潜む数多くのデザイン」を紐解いた一冊。
何だか難しそうなタイトルたけど、内容はとても分かりやすく読みやすい。
数々のプロダクトの写真も白黒だけどしっかり掲載されているところもポイント。
・卓さんは、藝大デザイン科に一浪して入学。その後、電通に入社する。面接のときは、幾何学模様のプレゼンをしたという。
(どんなポートフォリオだったんだろう。見てみたいな)
・電通入社後、自身の転機となったのは、ニッカウィスキーの商品開発の自主プレ案件。
依頼ではなく、自主プレのため、商品の容量や値段、パッケージ、ネーミングも全て卓さんが検討したという。
空き瓶を二次利用してもらうことも考え、シールを剥がしやすくした、というアイデアも良いなと思った。(意図的にぼかされているけど、表紙で使われている商品です)
無事展開され、ウイスキーの瓶が青山のブティックのウインドーでディスプレイとして二次利用されているところを見たときはとても嬉しかったという。
・デザインの起源を遡る記述も興味深かった。
印象派の時代に印刷物としてのポスター制作を行なっていたロートレックの存在がデザインの歴史を辿る上では大きいという。
そして、ロートレックと同じ時代に活躍した印象派画家達に影響を与えたのは江戸時代の浮世絵だという。
・「クールミントガム」
これは卓さんを語る上で外せない。卓さんのデザインした商品の中で、個人的には一番好きだ。(2枚目)
電通を通じてガム全体のリデザインの依頼があり、7社ほどの競合コンペで勝ち取った案件とのこと。
店頭でガムがどのように見えるかを考えたとき、正面だけでなく、天面も重要だと気づき、そこに、既存で入れていたペンギンくんを配置した。
そのペンギンくんの人間のような感じが良いんだよな−。
「デザインがあまり変わり過ぎて欲しい商品を見つけられなくなったら本末転倒。」という考えに納得。
リニューアルという考え方は、さじ加減が難しい。既存のペンギンくん(3枚目)を残してリニューアル感を出したところはさすがだと感じた。
(ただ、2014年再リニューアルで卓さんデザインのパッケージは姿を消したようです。残念。。)
・「明治おいしい牛乳」
明治から出てきた、絞られた3案のネーミング案は卓さんは最初、どれも気乗りしなかったという。
ただ、実際に手を動かしてデザインに当てはめたとき、その中の一案の、「明治おいしい牛乳」というネーミングをしていないような、演出を感じさせないネーミングが力を持ち始めたという。
必要以上に施していないデザイン。演出をできるだけ抑えること。
・「デザインの解剖」
この企画も、卓さんの代名詞の1つですね!
身近な物事をデザインの視点で解剖しようとした試み。
「多くの人が何気なく使っている大量生産品を介して、いわばデザインとは何であるかを考えるきっかけが作れないか。」
と考えたことから始まった。
自身がパッケージデザインを担当した「キシリトールガム」や「おいしい牛乳」(4枚目)。
「写ルンです」では、カメラの断面などを見せて構造を紐解き、
「リカちゃん人形」では、「眼」の変遷などを通して、時代の化粧を反映していることがわかることを解説。
・「21_21 DESIGN SIGHT」
東京ミッドタウンの一角にある展示場。
三宅一生氏が発起人で、卓さんと深澤直人氏が組んでそこで行う展示を計画。建物は安藤忠雄氏が設計。
久々に行ってみたくなった。
・「デザインあ」
デザイン教育に力を入れ始めた卓さんは、「にほんごであそぼ」のアートディレクションを経て、「デザインあ」の制作を進める。
身の回りに潜むデザインをどうすれば面白いと感じてもらえるか、その考えを膨らませて番組が出来上がったという。
デザインあ。
毎回録画するほど好きな番組だったので、今休止となってしまったのがとても残念です・・・。
早く再開してくれますように。