中村すえこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
少年院経験者でもあり、少年院出院者支援も行っている著者と少年院入所者らとの面会・交流の様子をルポ風にまとめたもの。少年に限らず、犯罪者には風当たりの強い世の中だが、多感な時期の若者が様々な理由から犯罪に手を染め、また検挙・少年院入所等をきっかけに立ち直ろうともがく姿が描かれる。
犯罪に手を染めてしまったとはいえ、被害者のことを思い、そのことを後悔したり、著者との交流で前を向く決意をしたりするところは読んでいて感動してしまった。悪いことをしたら子供も大人も関係ない!重く処罰しろ!なんて簡単には言えない。社会で起きていることは自分にも関係していて、何が必要なのかを考えることが必要、という著者の考えには共感できる。それにしても、人とのいい出会いこそ、犯罪を食い止める大きな要素を占めている。このことを実感した。少年法や保護処分の仕組みや現状も知ることができる。
重罰化・厳罰化論者にこそ、一読してもらいたいが、そうした人には本書は目に留まらないか、留まっても一笑に付されるとすれば、残念極まりない。 -
Posted by ブクログ
女子少年院に入った経験のある著者が、それを映像化するために、全国の女子少年院を渡り歩いて入所している少年(女子)に行ったインタビューを元に書かれたもの。
自分が選んだわけでもない劣悪な環境に生まれてしまった彼女たちが、生きるために選んだのが「犯罪」という道だった…理由はそれ以外の道を「知らなかった」からだ。
経験者の著者から見ても、最近の彼女たちの行動には理解のできない部分が多いという。中でも著者が強く感じたのが、あまりにも周辺に愛情の気配がない、という事実だ。でもそれは必ずしも親たちだけに責任のあることではない。親たちも同様、愛のある環境に育ってきた訳ではない、というケースが少なくないからなのだろう。
それでも、多分私たちが思う「常識」より遥かに長い時間をかけて、彼女たちに「愛情」を感じさせることはできる。そのことを著者は読者にも、自分にも言い聞かせるように噛み締めるが如くに繰り返す。
自分の周辺にいる彼女たちにも、驚くほど似たシチュエーションがあることに、改めて気づく。愛情に飢え、そのために依存が強くなり、逆に人間関係を狭めてしまい、他の愛情に気づく機会を自ら潰しているように思える彼女たち。
一緒に映画を見てみたい、と思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ非行少年(少女)を支援する大人の中で、どれほどの人が本当に当人たちのことを考えているだろうか。
少なくとも第1章に出てきた中間支援施設の職員は上から「助けてやっている」という態度がありありと見える。こうした態度は当然支援を受ける側にも見抜かれるだろう。もちろん、支援側には支援側の言い分もあるだろう。しかし、さまざまな問題を抱える触法少年と関わることの覚悟なしに中途半端に関わるのは一番良くないと思う。
幸い、この本に出てくる四人の少女は理解者を得、本が上梓された時点では立ち直ることができている。だが、肝心なのは少年院を卒院したあと、信頼できる人に出会うことができるかどうかだと思う。「人は変われる」本書の中で繰り返し述べられる言葉だが、人は良い方にも悪い方にも変わるのだ。変わるべきは、社会からはみ出した者に不寛容なこの世の中、また失敗を許さない社会構造そのものであると感じた。